made in サロメ

第3話



  敵のアジトに潜入し、ロボットの製造を止める・・はずだった、ウルトラマンエース。

 彼を待っていたのは想像もしない罠だった。

 サロメ星人の罠にまんまとはまり、捕まえるどころか捕まってしまう窮地に立たされたのだ。

 捕獲のための部屋でエネルギーを相殺・消滅させられ何1つ抗うことも出来ずに

冷凍ガスの雲海に沈んだエース。

 冷凍状態を保ったままに出来る特別な寝台に寝かせられ体を拘束されていた。

エース「・・・・こ・・・ここ・・は・・・・」

サロメ星人「目が覚めましたか?エース」

エース「(体が・・・全く動かない・・・)」

サロメ星人「あなたの体は完全冷凍状態。

       会話の出来るエネルギーを頭部に注いでいるんですよ」

エース「こ、殺すなら・・・殺せ・・・・わたしが死ん」

サロメ星人「いえいえ、そんなことはしませんとも。

       簡単な死などというものを与えはしない!」

エース「ご、拷・・・問でも・・・な、何でも・・・するが・・・いい」

サロメ星人「ふふふふ・・・・それはそれはよい覚悟ですね」

 エースの視界から一瞬消え、再び現れたサロメ星人の手には意外なものがが握られていた。

 彼の手に握られていたのは医療用の器具だった。

エース「(解剖するつもりか・・・くそっ、光の国の秘密が・・・)」

サロメ星人「私たちはニセセブンを最初に作りました。

       ウルトラセブンを捕まえ、調べ上げて・・・。

       しかし、あなたもご存知の通りの結果に・・」

エース「し、所詮は・・・ニセ・・・物だから・・・な」

サロメ星人「そう!そうなんです」

エース「・・・?」

サロメ星人「まがい物で本物を越えることは出来ない・・・

       これはもう間違いないこと」

エース「な、何が・・・言いたい・・・?」

サロメ星人「本物を改造すればいい!

       そこにわたしたちはようやく到達したんです」

エース「・・・?!・・・」

サロメ星人「本物を改造し、我が物とすれば越えるべき者はなくそれこそがオリジナル!

       量産など必要ないのですから」


エース「・・・?!・・ま、まさか・・・最初から・・・・」

サロメ星人「えぇ、そうですよ?

       あなたが手に入るのだからニセエースなど全滅しようとも惜しくはない。

       現にこうして最高の結果が出ています。」


 計画の全貌を明かし、その手に握られた医療道具は冷酷にエースの右肘に侵入を始めた。

 冷凍された体には痛みという感覚がなく、何をされているのかもわからなかった。 

サロメ星人「今や宇宙であなたたちウルトラ兄弟を知らないものはいない・・・

       そんなあなたが暴れだしたら誰が止められるでしょう?

       それも、ロボットではなく本物だとわかっていたら・・」

エース「ひ、卑怯な・・・(早く・・早く、なんとかしないと・・・・)」

サロメ星人「助けは誰も来ませんよ?」

エース「ど・・・ういう・・意味だ・・・・?」

サロメ星人「あなたのウルトラサイン、アジトに入った瞬間に消しておきましたから」

エース「・・・・・・・・・」

 救援の可能性を絶たれたエースに追い討ちをかけるような事実が突きつけられた。 

エース「(ど、どういうことだ・・右手が勝手に・・)」

 サロメ星人が細工を施した右肘から先が本人の意思とは無関係に動き出したのだ。 

それもとても滑らかに・・・。

 手術の具合を確かめると、手際よく左肘にも同様な処置をする。

サロメ星人「私たちのニセエースがとある惑星を襲ったら防衛隊は全力で向かってくるでしょう」

エース「(とある惑星?)」

サロメ星人「今やあなた達の守護さえも要らないほどに進歩した惑星」

エース「ち、地球・・・の・・・ことか・・・」

サロメ星人「そうです、地球です。ニセエースでは侵略は出来ない・・

       しかし、あなたならどうでしょう?」

エース「・・・」

サロメ星人「判断は遅れ、攻撃に集中を欠き・・・」

エース「や・・やめろ・・・」

サロメ星人「もうじき、あなたの体はあなたの意思では何も動かなくなります・・・

       残念でしたね」


 足元に回ると右膝に悪魔のメスが振り下ろされていく。

 エース「(な、何かないのか・・・・何か・・・)」

 奪われつつある自らの体の支配権。

 光の国に情報を伝える手段・地球を守る方法・

兄弟を守る方法・・・問題ばかりが湧き出してくるが、解決策は見当たらず、

その焦りの渦に飲まれるばかりであった。

 どんどん瞳の光が暗くなっていくエースに追い討ちがかけられた。

カシャン!カシャン!カシャン!カシャン!

 寝台に体を拘束していた漆黒の金属ベルトが解除されたのだ。

 しかし、それは脱出や反撃のチャンスではなく

エースを絶望に突き落とすためのものでしかなかった。

 エース「(か、体が・・わたしの体が・・)」

サロメ星人「どうです?自分の体が勝手に動くという気分は?」

 四肢の間接につながった電極から遠隔操作され、意思に反して動き回る自らの体。 

目の前に主犯格がいるのに捕まえるどころかかすり傷1つ与えられない。

 その歯がゆさは今のエースにとって十分な精神攻撃になりえた。

エース「こ、こんなこと・・・やめるんだ・・・」

サロメ星人「あなたに残るのは意識だけですよ?

       もう手遅れなんです」

エース「そ、そんな・・・・」

 絶望にまた1歩、コマを進めたエースに笑みがこぼれるサロメ星人。

 その手には液体金属の入った容器が握られていた。

 うねうねと蠢く銀色の液体を豪快にエースの股間部にぶちまける。

 その瞬間、意志を持っているようにビキニ様に広がりを見せ、

股間部を包み込んでしまったのである。

エース「な、何をっ?!」

サロメ星人「あなたの体は生身のまま・・・実験材料のために種も無駄にはしません」

エース「(・・・くそっ・・・どこまでも卑劣な・・・)」

サロメ星人「さぁ、続きをやりますよ」

 暗くなりつつあるエースの心に響くサロメ星人の言葉・・・・。