壮絶の獅子ライガー(4)

 

 「ガッブ・・ガッブ」と両手に食い込む新たな生首のトラップ・・・

そしてそれまでにも増して俺の全身を襲う激痛と遅効性の猛毒・・・・

即に噛まれた右足首などはもうすでにやや紫色に変色しつつある・・・

毒が廻り始めたのだ。

そして、リングの中央で無様にもデーモン族の仕掛けたトラップに掛かり両手両足を

不気味な虎バサミに挟まれ正にリングにX字に磔にされてしまった!!!

しかし、まだ俺の背中の下の奴等のエンブレムはまだ作動はしてなかった。

俺は最後の気力を絞りだし震える両手両足に力を込め背中がこのエンブレムに触れない様な

体制をとった・・・しかしかなり無理な体勢だ・・背中がリングに付くのも時間の問題か?

今度、このエンブレムに力が加われば今まで以上の虎バサミに挟まれ俺の体は見事なまでに

切断されてしまうだろう・・・

そんなことは簡単に想像出来た。

 

だが、狡猾なデビルスコ−ピオンの狙いは俺のこの最後の「抵抗」を待っていたのだ!!

リングのキャンバス字に×字に磔られた俺の腹筋を踏みつけトラップを稼動させるより、

俺に最後のトラップの恐怖感を持たせて「抵抗」させるこの格好になるのを

待っていたのだ!!

デビルスコ−ピオンは「ライガー」と一際大きな声でリングのコーナーポストの天辺から

全体重を掛けたニーパッドを俺の腹筋に叩きこむ・・・・・

「ぐう・・ぼおぉぉぉぉ・・・・」

俺の口からは大量の鮮血が溢れ出る・・

そして、当然背中が最後のエンブレムに押しつけられる・・・・

俺の背中の下のキャンバス地が妖しく赤く光りを放つ・・・・

俺は巨大虎バサミから少しでも挟まれない様に体をキャンバス地から放そうとしたが、

すでに俺の両手両足の筋組織は俺の意思に添うことは無かった・・・・

遅効性の猛毒に侵され激痛しか俺に与えない!!

そんな絶望と恐怖心の中最後のトラップは稼動し始めた。

俺は「もう・・・これまでだ」と歯を食いしばると、目からは一筋の涙が零れ落ちた。

が、虎バサミが現れない・・・

今まではほんの少しでもエンブレムに俺の体が触れただけでも

瞬間に呪われたこの不気味なトラップは反応し俺の体に食いついてきたのに・・・・

俺が「?」と思っていると、デーモン族の首領の声が会場内に響き渡った・・・・

「ガァハハハ・・・無様だなライガーよもうお前の死は確実なものとなった

ハハハ・・・

デビルスコーピオンよご苦労だった役不足だっだろうが、小賢しいライガーは

あと数時間で確実に死ぬ

フハハハ・・・。我等デーモンの調合した猛毒により発狂死するか、

これからお前の背中から現れる物体によって背骨を絶たれ左右に真っ二つにされるかだ。

いずれにしても最早貴様の助かる路など無いわ・・・ハハハ・・・ハハハ・・・」と

高笑いが止むと同時に俺の背中の下から

「ウィィィン」と何かの機械が作動する音がし何か丸い硬い物が背中を突き上げてくる

それは丁度「蒲鉾」のような半円形の鉄板で徐々に背骨を圧迫して来る!

俺の両手、両足首はバサミによって完全にロックされている状態だから背中を

圧迫され続ければ両手、両足はピンと張られる・・

それでも尚も背中の圧迫は続く・・・・

俺の口からはもう悲鳴と鮮血・・・泡しか出ない・・・・

両手、両足が千切れんばかりにピンと伸び切った時に背骨への圧迫もMAXを迎えた・・・

俺の体は完全に弓なりの状態になり、背骨が砕かれるのはもう時間の問題だ・・

俺の意識はもう半ば朦朧とするどころか、奴等の猛毒の所為で完全に正常な状態が保たれ

激痛だけを感じさせる。

  
ピンと張られた両手、両足の間接はもう脱臼し筋もうこれ以上伸びないぐらい伸ばされ、

背骨の間接も「ミシ・ミシ・ボッキ・・・ボッキ」と砕ける音が仕出した。

「う・・・・・うおおぉぉぉぉわあああ・・・・あぁぁぁ・・・」

俺の口から・・・・最後の弱弱しい断末魔の叫びが漏れ出た・・・・・。

そして次の瞬間背骨への圧迫は加速を増し・・・・・・。

リングサイドの戦闘員達が次の瞬間目にしたものは・・・・・。

背中から胸を貫いてライガーの鮮血にまみれた半円状の鉄板の頭頂部分だった。

今、ここに若い英雄は短い生涯を閉じた。