壮絶の獅子ライガー(1)

 

ライガーこと竜夫はデーモンの戦士デビルスコ−ピオンの後を追って市街地を抜け

山間の今は廃院となった大きな病院の門をくぐって行った。

ここは廃院になってかなりの月日を経ているのだろう・・・・・・

壁には近隣の若者達がした落書きで以前の病院らしい白い壁の面影は今は無く

かえってその落書きの為この場所の不気味さを増幅している。

また、病院独特の消毒の臭いが今も残り、ライガーの嗅覚を惑わせた。

 

薄暗く1メートル先の物も見極める事が困難なぐらいの建物の中をデビルスコ−ピオン

の一味を追ってこの廃墟の地階へと警戒しながら歩を進める。

漆黒の闇だ・・・・・

そんな闇の中あらゆる方向から俺を襲うパンチやキック・・・・

しかし、俺はそんな攻撃を寸でのとこで全てかわしながら反撃に移り俺に攻撃を仕掛けて

くるデーモンの戦闘員等を次々と打ちのめして行く。

なぜなら、奴等は攻撃を仕掛ける際とても人の声とは考えがたい唸り声や奇声を発し襲い

かかる習性があるからだ。

そんな戦闘員達との闘いを有利に進めていた俺の鳩尾に激痛が走った・・・・・・・

戦闘員の1人の繰り出した手刀が俺の鳩尾にクリーンヒットしたからだ。

「ぐふうぅぅぅぅぅ・・・・・」

俺は思わず鳩尾を両手で押さえ床に片膝を着き体勢を崩した。

「クソー やりやがっ・・・うわぁ・・・・」

言葉が途中で途切れざるを得なかった。

別の戦闘員の蹴りが俺の後頭部に決まり意識が薄れてゆく・・・・・・

そんな薄れてゆく意識の中で聞こえてきたのは

「まだ止めは刺すな・・・グフフフ・・・・

あそこへ引きずって連れてゆけ お楽しみはそれからだ」と。

そして、俺は自分の頭が白くなりゆく中、二人の屈強な戦闘員に両腕を掴まれて長い長い

廊下を引きずられた。

そして、1つの部屋の前までくると当りは歩みを止めた。

「ライガーこれまで俺達の仲間を大勢殺してきてくれたな!

 ここの中で十分思い知るんだな

 お前に殺されて行った仲間達の思いを!」と言いながら何の抵抗も出来ない俺の

後頭部に強烈な打撃を加える・・・・・・

「う・・・・ぅぅぅぅぅぅぅ・・・んーーー」

短い唸り声を発し俺は完全に気を失った。

 

どれぐらいの時間が過ぎたのだろう・・・・・・・・・

俺の背中は何か堅い・・・でも布の感触のある・・・・

そんな場所に横たえられているのが解かった。

そして、ボンヤリとだが意識も戻り、この暗闇にも目が慣れかけて来た時だ・・・・

部屋中の電気・・いや照明が一斉に明々と点けられて、

今度はその眩しさに目が眩むくらいだ

その明るいくらいの照明で、セミロングの豪奢なブロンドのサラサラヘァーにこんがりと

小麦色に焼いたボディー、ウエストには大きな純白のベルトそして、ヒーローの俊敏さを

示すような・・・いや、ヒーローの局部をやっと隠す程度の小さな豹柄のビキニパンツを

穿き、そして脚部は驚異的な跳躍力を秘めた深紅のロングブーツを履いた若者が

浮かび上がる・・・・

あどけない少年の面影を残す若者・・・・それが俺・・・ライガーだ。

虚ろな頭で俺は今の自分の置かれた状況を判断しょうと全神経を張り詰めた・・・・・

そんな中、突然部屋の壁全体から敵の首領「デーモン」の地の底から響くような

薄気味の悪い声が響く・・・・

「ライガーよお目覚めかな?・・・お前の手に依って我々は

 かなりのダメージを受けてしまった・・・・実に残念な事だ。

 お前には、その償いをする義務があるはずだ!

 だから今日はお前の為にその特設のリングを戦闘員達に誂えさせた・・・・

 そのリングには我々を楽しませる色々な仕掛けが在るそうだが

 携わった戦闘員しかその仕掛けを知らない・・・・

 もし、お前かそれらの仕掛けを掻い潜り

 デビルスコー-ピオンを倒すことが出来たのならお前を解放し我々は組織を解体して

 武装を解除しお前達の言うところの「法の手」に裁かれよう・・・・・

 だか、それはお前が勝てた場合だぞ

 ・・・ではこれよりデビルスコーピオンとライガーとの

 時間無制限のデスマッチの開始だ!」

その声が終わらないうちに瞬時に照明が消されそして対角のコーナー付近に白っぽい

スーモークが立ち上ると同時にリングしたから「どっ」と歓声が沸き起こった・・・

それと同時に天井の照明が先ほど以上の明るさでリングを照らす・・・・

極度の明暗反応で俺の視覚とライガーセンサー(ヒーロー特有の第7感)が鈍らされる。

スモークが切れると同時に今日の敵デビルスコ−ピオンの禍禍しく不気味な姿が現れ周囲

の歓声が最高潮を迎える。