緑の欲望(1)

 

○ 渋谷センター街

  多くの若者たちが闊歩している。

  その中をトボトボと歩く葦原涼。元気がない。

涼「(溜息をつき)またバイト、やめさせられちまった。これで5回目だ・・・

  でもしょうがないよな・・あれのせいで満足に出られなかったからな・・・

  貯金も底につき始めたし・・どうしようか?・・・(地面を蹴飛ばすと)

  チクショー!!俺が何をしたって言うんだ??!!こうなったのもあの事故

  のせいなのか?・・・ウッ!!」!!」

  すると突如、全身の筋肉が引き千切られそうな激痛が涼を襲う。

  ギルス変身の後遺症だ・・・。

涼「グウウウウウ・・・いてえ・・・」

  路地裏にうずくまると激痛が治まるのを待つ。苦しげに息を吐く、

  額から冷や汗が流れる。

  その場にうずくまり暫くすると激痛が治まってくる。

  完全に治まるとゆっくりと立ち上がり、また元の街路に出る。

涼「俺は一体、どうなっちまうんだ??!!」

  大きく溜息をつくとまた歩を進める。ふと周りを見ると、ガングロ、長髪の

  遊び人風の男たちが街行く女性(ギャル)たちに声をかけている。

  それを見ていた涼、軽く舌打ちをする。

涼「また風俗かエロビデオのスカウトか。よくやるよな・・・」

  そこへ・・・

男の声「ちょっと、すみません」

  涼、“エッ?”と振り向くとそこにはキチンとスーツを着こなした一人の男性が

  立っていた。周りの男たちとは違い物腰が柔らかそうだ。

男「ねえ君。ビデオに興味ない?」

  涼、“プッ”と笑い・・・

涼「あんた、声かける相手間違ってんじゃないの?」

  男、“エッ?”と不思議な顔をするがまたニコッと笑うと。

男「いいや、君の事だよ。今、学生?」

  いつもはこういう手合いには無視して歩くのだが、男の優しげで人懐っこそうな

  表情にふと心が和み“ちょっとぐらい話を聞いてやろうか”と耳を傾ける。

  男の顔に別れた恩師の水泳コーチの顔を重ねたのかもしれない。

  だがそれが彼にとって・・・・・。

涼「大学を辞めて、今はフリーター」

男「そう・・・(涼の身体を見て)君、いい身体しているね。何かスポーツか

  やってたの?」

涼「水泳やってました。全国大会にも出た事があります」

男「水泳かぁ・・・カッコいいねえ・・・。ああ僕はこういう者といいます」

  涼に名刺を渡す。

  涼、名刺を見るとそこには“Jヒーロープロジェクト・ビデオ部門担当・ヨシキ”

  と書かれてある。

涼「Jヒーロー?」

ヨシキ「新しいヒ−ローを創造する企業で今度新しいビデオを出すんだ。で、

  君みたいなちょっとワイルドな感じの男の子を捜していたんだ。ねえ、君の

  カッコいいヒーローボディを披露してくれないかな?」

涼「それって裸になるんだろう?イヤだなぁ・・・」

ヨシキ「裸といっても競パン姿だけだから大丈夫!!お願い!!ギャラも

  弾むからさぁ・・・」

  内ポケットからチラリと札束を見せる。200万円はある。

  札束を見てドキッとなる涼。

涼「エッ!こんなに!?」

ヨシキ「そうだよ・・・だったらもっと出そうか?・・・どうだろう?」

涼「・・・・・・・・・・」

  思案する涼・・・“家賃も滞納しているし、しばらくは生活してゆける

  それに何故、変身するのか調べたい・・・“

涼「本当に水着姿だけだろうな?」

ヨシキ「もちろん。やってくれるの?(頷く涼を見て)よかった!!じゃあ今から

  スタジオへ行こうか」

  涼の肩を抱き歩く。

 

○ スタジオ

  涼、ヨシキが来る。スタジオの扉を開けるが中は真っ暗。

ヨシキ「今、照明を付けるから待ってて」

  照明を付け、パッと明るくなる。途端、スタジオのセットにびっくりする涼。

  鬱蒼と茂る熱帯樹、甲高く鳴く鳥、たわわと実る果物、河も流れていて

  アマゾンのジャングルがスタジオに存在している。

涼「スゲエ!!」

  呆然と見る。

ヨシキ「凄いでしょう。ワイルドな感じの涼くんにぴったりでしょう・・・

  じゃあ今から競パンに着替えて撮影だよ」

  エメラルドグリーンの競パンを涼に手渡す。照明の光に照らされてキラキラ

  輝く競パン。

ヨシキ「更衣室は向こうだよ。あとピアスと指輪は外してね」

 

○ 更衣室

  部屋に入ると着ているシャツ、ジーンズを脱ぐ涼。下着は濃緑のボクサーブリーフ。

  下着も脱ぐとデロンと巨大な涼の肉棒が現れる。動くたびにブルンブルンと揺れる。

  エメラルドグリーンの競パンに足を通す。腰にピタリとフィットする競パン。

  久し振りのビキニ競パン特有の締め付け感を楽しむ涼。

  軽くストレッチをしてみる。豊かなモッコリがプルプルと揺れる。

涼「久し振りだなこの感覚・・・この締め付け感がいいんだよな・・・でもちょっと

  小さいんじゃないの、尻がはみ出てるぜ」

  鏡で尻を見てみると、尻の割れ目がくっきりと出ている。それにサイズが小さい

  ので尻が水着からはみ出しそうである。堅く締まっているがたわわな尻の果物。  

涼「手入れしてねえから下がボウボウだ・・・」

  へそから下へモジャモジャと生える涼の陰毛。ジャングルである。

  鏡に向かって軽くポーズを取る涼。

  178cm、61kgのボディ。細身だが水泳で鍛えた逆三角形。割れた腹筋。

  それぞれのボディのパーツが逞しくかつ美しい。

ヨシキ「涼くん、用意は出来たかい?カメラマンも来てもうすぐ撮影が始まるよ」

涼「はい、今行きます」

  更衣室を出る涼。しかし、鏡の中のレンズを涼は気がつかない。

 

○ スタジオ・撮影

  カシャーン!カシャーン!と小気味良いシャッター音がスタジオに響く。

  カメラを撮っているのはモジャモジャ頭のキシン。ビデオカメラを撮影して

  いるのは短髪のテンメイ。色々とポーズの指示をする。

  ハイテンションで喋るキシン、乱暴調に喋るテンメイの対比。

  ジャングルをバックにポーズをとる涼。その姿はアイドルタレント並に

  慣れているみたいだ。熱帯樹にぶら下がったり、登ったりと色々撮る。

  笑顔、キッと睨んだり、憂いにある顔など様々な表情の涼。

キシン「いいねえ、いいよ〜!!・・・その顔最高だね!!カッコいいよ!!」

  寝転んだり、よつんばになったりとポーズをとる。その度にプルプルと

  揺れる涼の肉棒。腋毛も豊かに茂ってセクシー!!

キシン「君、前にモデルみたいな事やってたの?」

涼「いいえ、初めてです」

キシン「本当?前にやってたんじゃないの?」

涼「やってませんよ!!」

  笑い声があがり和んだ感じである。だが・・・

テンメイ「(強い口調で)じゃあ今度は、手を股間に当てて肉棒を揉んで」

涼「エッ!?」

テンメイ「エッじゃねえよ!肉棒掴んで揉み扱くんだよ!!お前のヨガル顔が

  撮りたいんだよ!!」

涼「(ムッとなって)出来ません!」

テンメイ「やるんだよ!扱くんだよ!やれ!!」

涼「出来ません!!」

テンメイ「やれ!!!」

涼「出来るか!ふざけんな!!」

  突如、フラッシュが涼の目を射る。ピカーーーッ!!

  するとどうだろう涼の意志と関係なく右手がゆっくりと股間へと伸びる。

涼「あっ!どうしたんだ!?腕が勝手に…止まらない!?…」

  股間に到着すると、エメラルドグリーンの競パンに包まれた肉棒を掴み、

  ゆっくり揉み扱く。“アアッ!!”声を上げる涼。

  次第に巨大に勃起する涼の肉棒。勃起した肉棒に競パンの布地がペタリと張りつき

  竿、亀頭の形やドクドクと流れる血管の線までもはっきりと浮き上がらせている。

  肉棒を扱くスピードが速くなりそれに合わせて涼の喘ぎ声が激しくなる。

涼「くそお…アアアッツ!!!ウウンン!!どう・・し・て…ハアア!ハアハア」

テンメイ「次にもう一方の手で乳首を摘むんだよ」ピカッ!フラッシュが光る。

  またも意思に反して涼の左手が小さい小豆のような乳首を摘む。

  涼、しきりに抵抗の意志を見せようとするが無駄である。手が乳首にたどり着くと

  コリコリと乳首を弄ぶ。激しく声を上げる涼。そして小豆を潰すように

  乳首を弄んだ手が強く抓る。

涼「アアアアア!!!!!」

キシン「その苦痛と快感の入り混じった顔が最高だね!ファンタスティック!!」

テンメイ「フン、まあまあだな。ほらもっと声を上げて喘げ!!」

涼「黙れ!…アアッ!!アアーーー!!!」

テンメイ「ワッハッハいい声だぜ!!ほらもっと喚け!!自分の中にある野生を

  目覚めさせるんだよ!!」

  巨大に勃起した肉棒が競パンに収まりきらず、亀頭が顔を除く。赤黒くテカル亀頭。

  そこから白濁の淫汁がトロリトロリと流れエメラルドグリーンの競パンにジワジワと

  染みる。涼のヒーロー臭がスタジオを包む。

  抵抗する涼と裏腹に肉棒を揉み扱くスピードが更に加速する。

涼(くそう・・どうなってんだ?…あのカメラ…そうか!あのフラッシュで俺を

  操っていたんだな!…よーし…)

  襲い来る快感に耐えながら、キシンに体当たりする!

  床に倒れるキシン。その反動でカメラが床に落ちる。火花をあげ壊れるカメラ。

  途端、身体が自由になる。

テンメイ「てめえ!何するんだ!?」

  涼、襲いかかるテンメイに回し蹴りを食らわし失神させる。そして床に落ちた

  ビデオカメラを足で踏みつけ破壊する。

  そして起き上がろうとするキシンの鳩尾にキックをかまし失神させる。

涼「ちくしょー!!ふざけた真似しやがって…帰るぜ!!」

  そこへフッと現れ、立ちはだかるヨシキ。

ヨシキ「困るなぁ…折角の作品を壊しちゃ……」

  目だけ笑っているヨシキ。さっきまでの人懐っこさは消え、明らかに不機嫌だ。

涼「水着姿だけと言ったろう。こんな恥ずかしい写真を撮らせやがって…俺はもう

  帰るぜ…」

  扉を開けようとするが鍵がかかっているのか、幾等ドアノブを廻すが開かない。

ヨシキ「フフフ…君をここから出す訳にはいかないよ。折角こんな最高のモデルが

  いるんだ、君をいたぶって最高のビデオを撮らせてもらうよ」

涼「ふざけんな!!誰がお前なんかに!!」

ヨシキ「それにこれが欲しくないの…」

  内ポケットから札束をちらつかせる。ドキッとなる涼。

涼「………」

ヨシキ「欲しけりゃもっとだしてやるよ…さぁどうなんだよ!」

  札束を出すと、涼の頬にピタピタと軽くビンタをする。札束のビンタ。

  涼、口から唸り声を上げるとヨシキから札束を奪い床に叩きつける。帯封が

  破け花びらのように舞う札束。ギロッと睨む涼。

涼「馬鹿にするなあ!!!!俺をなんだと思ってるんだ!たしかに俺は金が

  欲しい。だからってこんな事してまで欲しくない!!」

ヨシキ「(冷笑)フン、そう言いながらここまでついてきたのは誰かな?フフフ」

  グサッ!言葉に詰まる涼。

ヨシキ「おやおや、痛い所を突いたようだね、フフ。そんなに強がるなよ。

  本当はもっとやられたいんだろう?」

  ヨシキの言葉を無視する涼。

ヨシキ「フフ、可愛いやつ。さっきのヨガル顔は良かったよ。さぁ続きを

  始めるよ。ビデオを完成しなくてはならないからね」

涼「フン!完成させる前に、お前をぶっ潰してやる!!覚悟しろ!!」

  ファイティングポーズをとる涼。

ヨシキ「オオーッ、カッコイイねえ!!流石はヒーロー・仮面ライダーギルス!

  葦原 涼!!」

涼「どうして俺の事を!?お前は一体何者なんだ!?」

ヨシキ「新しいヒーローを創造する者だけ憶えてくれればいいよ。まぁそんな事は

  どうでもよい、君をたっぷりいたぶってあげるよ。(伸びている二人に)

  何をしている!!目覚めよ!!!」

  パシン!と指を鳴らすと、グググと不気味な声をあげ起き上がるキシン、テンメイ。

  すると二人の目が巨大な魚の目に変わり、肌から鱗が生え口が裂け牙を剥き、

  指と指の間にヒレが生えそしてピラニア怪人・ピラニザキシン・ピラニアテンメイ

  に変身する。

ピラニアテンメイ「サッキハヨクモヤッテクレタナ!!」

ピラニザキシン「コレカラ、サイコウデファンタスティックナエイゾウヲ、

  トッテアゲルヨ」

ヨシキ「さあ、たっぷりと涼君をいたぶってあげなさい!!」

  顔に手を翳すとフェードアウトするように消える。

ピラニザキシン・テンメイ「ギエエエエエエ!!!!!!」

涼「こい!!」今、長いバトルが始まる……