ウルトラマンレオ(6)

 

「ははははっ!聞いたかブニョよ。

 レオはどうしても我々の手でイカせて欲しいそうだ。

 正義のヒーローが聞いてあきれるではないか」

「まったくおっしゃる通りですな、ブラック指令様。

 『俺は快楽の虜になどならない!』

 な〜んて言っておきながら、このありさま。

 口ほどにも無いとは正にこのことですなぁ。

 ひっひっひぃ〜」

 遂にレオの口から敗北宣言とも取れる台詞を引き出したブラック指令とブニョは、

ここぞとばかりにレオに嘲笑を浴びせる。

「くぅっ・・・」

 屈辱のあまり声を詰まらせるレオだが、イキたいという願望に、

理性ばかりか戦士としての誇りすらも飲み込まれてしまい、

もはや反論することさえ出来ない状態だ。

 レオの強靭な精神力をもってしても、股間に塗りこめられた粘液毒の、

狂おしい程の快楽の誘惑には打ち勝つことが出来ないのだ。

 おゝとりゲンの姿のままでも簡単に撃退することができた惰弱な円盤生物ブニョは、その狡猾な知恵によ

てレオを生け捕りにしたばかりではなく、

今度は陰湿な快楽の甘い罠によって、その精神までも完全に屈服させることに

成功したのだった。

 

「まぁよい。そこまで言うのなら我々の手で快楽の終着へと導いてやろうではないか。

 さあ、ブニョよ!

 お前の好きなように料理するがいい」

 ブラック指令からエネルギー吸収の許可をもらったブニョは、

再び歓喜に体をクネクネと揺らす。

「はい!そりゃもう、おまかせ下さい。

 と言ってもこのまま簡単に引導を渡す訳にはいきませんね。

 こいつは偉大なるブラック指令様の手を散々てこずらせた不届き者ですからね。

 まだまだこんなものじゃ足りません。

もっとたっぷりと懲らしめてやりましょう」

「な!?なんだって・・・」

 やっと快楽責めの生き地獄から開放されると安堵しかけたレオに再び戦慄が走る。

「ひっひっひぃ〜!

 残念だったなレオ!

 フィニッシュはまだまだお預けだ。

 これからブラック指令様と二人でタップリと可愛がってやるからなぁ」

「やっ、約束が違うぞ!

 ……あ、ああぁ〜……たっ頼む!お願いだぁ、くぅ…くふぅぅ…

 …イ、イカせてくれぇぇ」

 快楽の終着を渇望するあまり、断腸の思いで屈辱的な台詞を吐かされた挙句、

簡単にその約束を反故にされたレオはたまらず抗議するが、

絶え間なく股間を焦がす甘美な刺激によって、その抗議の言葉も懇願へと

変わってしまう。

「約束だと?

 クックック、勘違いするな、レオよ。

 私はイカせてやるとは約束したが、今すぐにとは言っていないぞ」

 勝ち誇ったように邪悪に微笑むブラック指令は再びレオの耳元に囁く。

「世の中はそんなに甘くはないのだよ。

 何かを手に入れる為には別の何かを代償として差し出さねばな。

 ギブアンドテイクというやつだ。

 私とブニョでお前に快楽を与える代わりに、

 お前は私がこの世で一番好きな物を差し出すのだ」

「お、お前の一番好きな物……だと?」

「そうだ、それが何か聞きたいか?」

 一刻も早くこの絶望的な状況を終わらせたいレオは、

 わずかに動く首を縦に動かし頷く。

「それは恐怖と苦痛、そして屈辱に悶えるお前の悲鳴だよ!」

 吐き捨てるように言い放ったブラック指令はそのままゆっくりと立ち上がり、

処理台の上に横たわるレオを氷のように残忍な眼差しで見下ろし、言葉を続ける。

「今からお前はこの部屋が何故『身体処理室』と呼ばれるのかを、

 身をもって知ることになるだろうな。

 お前に許されるのは快楽に悶え、苦痛と屈辱に喘ぐことだけよ。

 是非とも私好みの悲痛な絶叫を上げて、存分に楽しませてもうおうか」

「くっ!無抵抗の俺をこれ以上嬲りものにしようと言うのか・・・

 貴様には戦士としての誇りは無いのか!?」

 ブラック指令の想像を絶する卑劣ぶりに、怒りの声をあげるレオ。

「戦士としての誇りだと?

 ふんっ!貴様はその誇りを先ほど捨てたばかりではないのか?

 貴様は敵である私にイカせて下さいと頼んだのだぞ!?

 その舌の根も乾かぬうちによくもヌケヌケと……」

「う……く」

 ブラック指令のもっともな指摘にレオは反論の言葉も出ない。

「それではレオの身体処理を再開するぞ・・・

 まずはそのガチガチに凍てついた身体を温めてやるとするか。

 ブニョよ、解凍作業開始だ!」

「・・・・・」

(くそぉ!こいつら最初からそのつもりで・・・)

 恐怖と絶望に打ちのめされ、呆然自失状態のレオはもはや何の言葉も発することは

出来なかった。

 この悪の司令官と卑劣な星人にとって、自分自身が既に抹殺対象ではなく、

彼等のサディスティックな欲望を満たす為の標的となっているという事実に、

ただ愕然とするレオであった。