屈辱(1)

 

鉄十字団の秘密基地に人質となって捕われていた山城新子を、

首尾よく助け出したスパイダーマンは、出口へと急いだ。

 

長く続く薄暗い通路に、駆けて行く2人の荒い息づかいと足音がこだまする。

通路の前方に外の明かりが見えたその時、地下深くから低く響く起動音が2人を包んだ。

鈍い音を軋ませながら、両側の壁がせり出し通路を狭め始めた。

全速力で走り出す2人。

しかし、まだ出口は遙か彼方だった。

 

スパイダーマン一人なら通路を走り抜けるのは簡単だろう。

だがここには山城新子がいる。

(このままでは出口までたどり着けない・・・

 まずは新子を無事に脱出させなくてはならない)

そう考えている間にも両側の壁はますます近付き、

通路は既に人間が一人やっと走れるぐらいの幅にまで狭まっていた。

 

「君は出口に急ぐんだ!」

「あなたはどうするの?」

「君が安全に脱出するまで、私はここで・・・」

スパイダーマンは両腕両脚を広げて大の字になり、二人を押しつぶそうと迫る壁を、

全身をバネにして押さえた。

両側の壁は一段と近付き、それを支えるスパイダーマンの肉体をグイグイ圧迫する。

(もう時間がない!)

全身の筋肉は隆起し、窮屈に身体を包む赤と青のコスチュームは、

盛り上がった筋肉ではち切れんばかりだった。

 

「どうした?早く逃げるんだ!」

だが、新子は動くそぶりを見せず、

それどころかスパイダーマンの左手に鈍く銀色に光る金属製の枷を嵌めた。

「何をするんだ!」

新子が妖しく微笑むと、その姿は歪みぼやけ、

再びはっきりとした像を結んだ姿はアマゾネスであった。

「変身の術、気に入ってもらえたかしら?」

すかさず、スパイダーマンの左手と両足にも金属製の枷を嵌めるアマゾネス。

ニセの新子を助けるため身を挺して壁を押さえることで、

スパイダーマンは自ら手足を差し出し、自由を奪われてしまった。

ジリジリと迫る壁に両手両足を押さえ込まれ、

四肢の自由を奪われたスパイダーマンには、

宿敵アマゾネスを目の前にしてなす術がない。

全てが鉄十字団が仕掛けた罠だったのだ。

 

天井と床から、ケーブルがまるで生き物のようにギュルギュルと伸びて、

スパイダーマンの両手両足にはめられた枷に繋がった。

その直後、強力な電撃がスパイダーマンを襲った。

「うわぁあああああぁぁ〜〜〜〜〜!」

全身が痙攣し、意識を失った。

 

 * * *

 

「気が付いたか、スパイダーマン!」

モンスター教授の言葉が響く。

 

スパイダーマンが意識を取り戻した時、そこは見覚えのない部屋だった。

(ここはどこだ?)

身構えようとするが、体を動かすことができない。

部屋の中央にX字に磔にされていた。両手両足に嵌められてしまった枷が、

むき出しのコンクリートの天井と床から伸びたピンと張られたケーブルで、

ガッチリと固定されてしまっている。

両腕に力を込めるが、ただ上腕二頭筋が空しく盛り上がるだけで、

ケーブルを引きちぎることはもちろん、腕を動かすこともできない。

 

「無駄だよ、スパイダーマン。お前のパワーは計算済みだ」

 

「なにを!」

両腕に意識を集中しケーブルを引く。

広い大胸筋が力強く盛り上がり、上腕二頭筋、上腕三頭筋がくっきりと隆起し、

力がケーブルへと伝わるが、全く切れる気配はない。

(くっ、だめだ・・・ ビクともしない!)

こういった仕掛けに捕らえられる度に、いつも難なく破ってきたが、

今回ばかりはスパイダーパワーでも歯が立たなかった。

 

「ワッハッハ! インターポールのデータベースからデータは全て盗ませてもらった。

 いくら足掻いても、そのケーブルはお前の力では破れんのだ!」

インターポールへの協力の一環として、

瞬発力、持久力、ジャンプ、キック、パンチなど、全身のあらゆる筋力、

身体能力の全てを測定されたのは数週間前だった。

そのデータがこのような形で鉄十字団に利用され、自らを窮地に追い込むことになるとは

予想だにしなかった。

(俺のパワーは通じないということか・・・)

罠にはまり身体の自由を奪われた脱力感と、自らの能力を研究し尽くされた焦燥感が

ヒーローを襲う。

 

スパイダーマンは、自分の身体能力の全てを暴かれ、

四肢を広げた状態で無防備に全身を宿敵達の目の前に晒している事実に戦慄を覚えた。

(このままでは奴らの思うつぼだ。なんとか脱出しなくては!)

「いったい俺をどうするつもりだ!」

「ワッハッハ、威勢がいいな、スパイダーマン。

 だがその元気もいつまで続くかな?

 今までの恨みを思い知らせてやる。やれ、アマゾネス!」

 

「はっ、モンスター教授!」

スパイダーマンの前に、アマゾネスが進み出た。

マントと剣を外し、戦闘服だけになったアマゾネスの肢体を、

黒く光沢のある生地がぴったりと包む。

その豊満な胸の膨らみと絞られたウエストの対比が美しく、

女戦士とは思えないプロポーションだった。

 

「スパイダーマン、この私のアマゾン仕込みの技をたっぷりと味わうがいい」

迫り来る危険を告げるスパイダー感覚の発する警鐘が鳴り響き、肉体が戦慄する。

全身の筋肉に力を入れ、これから受けるであろう苦痛に備えるスパイダーマン。

だがアマゾネスの攻撃は予想外のものだった。

アマゾネスはスパイダーマンの股間を撫で始めたのだ。

 

「何をする!」

敵の意外な行動に動揺を隠せない。

アマゾネスの白く細い指が、スパイダーマンの股間を、袋の裏から竿を伝って先端まで、

優しく撫でるように、またある時には真っ赤な爪で掻くように、

微妙な力加減で撫で始めた。コスチュームの上からであるため、

恋人の佐久間ひとみとのSEXの様なダイレクトな快感とは違った、

経験したことのない独特な甘く柔らかな刺激に、

スパイダーマンの鍛えられ見事に割れた腹直筋の下の青い股間が、

次第に大きく膨らんでいく。

(な、なに・・・・)

 

「ふふふっ、どうだ、スパイダーマン、敵の手で勃起させられる気分は?

正義のヒーロー スパイダーマンがいいザマじゃないか!」

そう言いながら、嘲笑うかの様に執拗に股間を責め続けるアマゾネス。

突き上げる快感に必死に耐えるスパイダーマン。

「くっ・・・、どうするつもりだ?」

「教えてやろう。お前はこれから今まで味わったことがない快楽を味わうことになる。

 そして、最後には絶頂に達し敵に懇願しながら精を放ち、

 鉄十字団の奴隷となるのさ。」

「お前たちの思い通りになどなるものか!」

 

(このまま嬲り者にされるわけにはいかない)

マスクの下で目を閉じるスパイダーマン。

鉄十字団に無惨に殺された父の顔を、また、

拓也にスパイダーブレスレットを託したガリアの最後の姿を思い出し、

押し寄せる快感の波からなんとか抜け出そうと試みる。

(ガリアよ!我に力を!)心の中でそうつぶやくと、股間の勃起が萎え始めた。

 

「やるな!スパイダーマン。そうでなくては面白くない。では、これならどうだ?」

そう言うやいなや、アマゾネスはスパイダーマンの逞しく隆起した大胸筋に

ツンと浮き出た乳首を、赤いクモの巣模様のコスチューム越しに舐め始めた。

「あぅっ、ぅあっぁぁ〜!」

アマゾネスの絶妙な舌使いと竿さばきから繰り出される刺激に、

思わず喘ぎ声をあげてしまうスパイダーマン。

スパイダー感覚が告げる身の危険への警鐘と、股間と乳首からの快感が交錯し、

全身の神経を駆け巡る。

 

(だめだっ か、体が・・勝手に・・・)

快感を抑えようとする意志とは裏腹に、肉体の反応は刺激に対して正直だった。

萎えかけた股間の膨らみはみるみるその大きさを取り戻し、完全に勃起した股間には、

コスチュームの下の肉棒も亀頭も形がクッキリと浮かび上がっていた。

アマゾネスの細長い指が、勃起した竿に触手のように絡み付き、扱き始めた。

 

乳首責めと股間の快感から逃れようと必死でもがくが、

両手両足を固定されたスパイダーマンは、

無駄な脂肪の全くない引き締まった精悍な身体をくねらせることしかできない。

(な、なんて気持ちいいんだ・・・ くそっ このままでは・・・)

敵に敏感な場所を弄ばれる屈辱と、そこから伝わる快感に、

身を震わせ体をくねらせる度に、全身の筋肉を包む赤と青のコスチュームが、

鍛え抜かれた逞しい肉体をエロティックに際立たせた。

 

「あぁっ!くっ、うぅぅ・・・」

乳首を舌で弄ばれ、股間を撫でられ、

勃起した肉棒を扱き上げられるスパイダーマンにできることは、

ただ快感に耐え、体をくねらせ、悶えることだけだった。

乳首と股間へ続けられる刺激により、勃起は更に固くなっていった。

快楽の痺れがスパイダーマンの意識までも覆い始めた。

(はぁぁっ き、気が、遠く、なり そうだ・・・)

 

「敵に弄ばれる気分はどうだ?」

屈辱的な言葉で、スパイダーマンの僅かに残された理性を打ちのめすのを楽しみながら、

アマゾネスは勃起を責める手を動かし続ける。

スパイダーマンの股間で膨張する肉棒では拡張した血管がドクンドクンと脈打っていた。

アマゾネスは、その竿を上下に扱き上げながら執拗に責め続けた。

 

屈辱と快感の渦に責めさいなまれながらも、

なおスパイダーマンの理性は完全には失われてはいない。

「くっそ〜!貴様らの、思い、どおりになど、あっあぁぁ〜・・」

しかし、容赦なく加えられる巧みな指さばきによる快楽責めによって、

理性は寸断され、淫らに喘いでしまう。快感に耐え逆らおうとする心とは裏腹に、

肉体はそれを求め疼き、確実に絶頂に近付いていた。

 

スパイダー感覚が全身に鳴り響き、

いよいよスパイダーマンのピンチの到来を告げていた。

既に最高潮に達した勃起は、コスチュームを破らんばかりに膨張し、

竿の先端部分にはコスチュームの青が一際濃く青黒く光る先走りの染みが広がり始めた。

「はっはっはっ!スパイダーマン、上の口ではヒーローぶった事を言っていても、

 下の口は涎を垂らして欲しがってるじゃないか!

 体は正直だねぇ。そんなに欲しいならくれてやろう!」

 

股間を扱う指の動きが激しさを増し、裏スジをなぞり、カリを、肉棒全体を撫で扱き、

絶頂へ向けた快感の嵐が幾度となくスパイダーマンを襲う。

(も、もう だっ、だめだ・・)

ついにスパイダーマンの理性は押し寄せる快楽の大波に飲まれ、

肉体の要求に身を任せてしまった。

スパイダーマンは、アマゾネスの指が勃起を扱くリズムに合わせて大きく腰を前後させ、

自ら快感を高めて頂点へと昇り始めた。

コスチュームの股間の青黒い染みが瞬く間に大きく広がり、

絶頂へと向かう青い股間にぴったりと貼り付き、

竿と亀頭の形を一層くっきりと浮かび上がらせた。

 

しかし、スパイダーマンが頂上に登り詰め射精しようとするその寸前、

アマゾネスは全ての行為をやめたのだった。

 

「第一ラウンド終了!」

 

モンスター教授の声が響く。

部屋の明かりが消され、全ては闇に包まれた。