第6話
 

 必殺技は使えない・・・通用しない・・・

体はズタボロ・・・・

デビルマンが逆転する要素は何一つ残されていなかった。

 そんな獲物を見逃すはずもなく、ムゴイは自分が立てた計画にのっとりデビルマンを攻め続けた・・・

一歩一歩確実に死の階段を登らせていったのだ。

 そして、その大きな一歩の効果がデビルマンを襲った!

ムゴイ:すぐに立ち上がった方がいいぞ、デビルマン・・・

デビルマン:お、俺に・・・な、何を・・・した?

ムゴイ:君の体内のその液体・・・・君の体を硬化する液体なのだよ・・

デビルマン:こ、硬化?!

ムゴイ:安心したまえ・・・問答無用に固めるわけじゃない・・・

デビルマン:ど・・どういうことだ・・・

 唐突にムゴイに告げられた事実・・・体が固まってしまう。

 この衝撃の異常事態に本当なら立ち上がれないほどのダメージがすでに溜まっているが、

無理してでも立ち上がらないとならない!

そう考えて、ムゴイに立ち向かった。

ムゴイ:動きを止めると固まるようになっているのだ・・・

デビルマン:・・・う、動いていれば・・・いいってわけか・・・

ムゴイ:そうですね・・・・頑張らないと・・ほら

デビルマン:・・?!・・・・くそっ・・・・

 ムゴイの指差す先、自慢の触角が紫色の粘着質の中で完全に硬化していたのだ。

まるで石でも触っているような感覚だった・・・

硬化が始まっている!この事実にデビルマンは必死で動きまわり始めた。

 無理に動いているために必死に庇いたい股間に気を回す余裕はなく、

動くたびに少しずつ少しずつダメージが蓄積され、毒でも盛られた様にダメージを負い続けることになってしまった。

ムゴイ:愉快・・愉快・・しかし、貴様はもう終わりだデビルマン!・・・

     キシャァァァァァァ

デビルマン:ま、まだ・・・これから・・・?!

       ・・・な、何んだこれ・・・くそっ・・・・

 ムゴイの周りを一定距離を置き、ダメージから自由にならない体で動き回るデビルマン。

そのデビルマンを目で追うことなどムゴイでなくとも簡単なことだった・・・

 目で追いながらムゴイは口から大量の透明な粘着液を獲物に浴びせ始めた。

粘着液がデビルマンの体に付着すると薄く体に張り付き流れ落ちることはなかった。

デビルマン:・・・な、なんだこれ・・・くそっ・・・?!・・・ま、まずい・・・

ムゴイ:綺麗に汚れましたね・・・・素敵ですよ、デビルマン

 体に浴びせられた粘着液を拭い落そうとしたが、体に薄く薄く広がった粘着液は剥がれ落ちる気配はなく、落すことは出来なかった。

それよりも、拭い落そうとした自分の指先が触角と同じく硬化していることに気が付いたのだ・・・。

動くことに必死になり、指先までは意識が回らなかった・・・

そこで改めて自分の脛の筋肉や肩など動かし続けることが出来ない部分が次々に硬化していることに気が付いた。

デビルマン:くそっ・・・時間がない・・・・

ムゴイ:その体についた液体・・・それも同じです・・・

     君の体表を硬化させる液体なんだよ・・・

デビルマン:ち、ちくしょぉぉぉぉ・・・・

 時間が経てば経つほど体は固まり動きは封じられていく、このままでは勝機はない!と覚悟を決め、ムゴイに襲い掛かるデビルマン。

ムゴイ:その考えはよかったんですが・・・時すでに遅しですね

デビルマン:・・はっ?!・・・・グワァァァァァァァ・・・・

ムゴイ:ゲームオーバーです・・・・ふははははは・・・・

 瞬時に判断し行動に移したデーモン族の戦士だったが、すでに体の様々なところが硬化し、動きが完全に遅くスローモーションのようだった。

 ムゴイはこれ以上ないくらいの力を込めて股間を蹴り上げた。

蹴りに気が付き、反応しても硬化した腕では防御するには動きが遅く、防ぐことなど全く出来ず、股間に最期の一撃が下された。

 崩れる動きすらも鈍く、のろく・・・股間を押さえ、地面に頭をつけて叫び声をあげるデビルマン。

ムゴイ:苦しいか?悔しいか?デビルマン・・・

     裏切った代償だ・・・ふははははは・・・・

デビルマン:ち、ちくしょ・・・体が・・・動か・・・な・・・・い・・・・・

 嘲笑うムゴイを悔しさと痛みに震えながら顔だけをムゴイに向けた姿勢のまま、股間のダメージで動くことが出来ずに体の硬化が加速度的に進んでいった。

デビルマン:(くそっ・・・・もう体が動かない・・・・・・・俺も終わりか・・ミキ・・・・・・ミキ・・・・・)

ムゴイ:おいおい、これで終わりだと思っていないか?デビルマン

デビルマン:(?!)

 ムゴイは右手から溢れ出る輝く液体を動かなくなったデビルマンに浴びせかけた。

 よけることも防ぐことも出来ないオブジェと化したデビルマンにデコレーションを始めるムゴイ・・・・。

デビルマン:(こ、これは・・・・)

ムゴイ:貴様が二度と動けないように封印したのさ・・・

     貴様は意識こそあるが、物言わぬ黄金の像として、デーモン一族の繁栄を見るがよいわ

デビルマン:(くそっ・・・・くそっ・・・・・)

ムゴイ:最愛の人間一人救えない・・・哀れだな・・デビルマン・・・・

     お前を葬ったことで私が人間界侵略を任されることになる・・・その記念にしてやるわ・・・・

 ザンニンに代わり人間界を攻める指揮権を得たムゴイはうずくまった姿勢で固まったデビルマンの黄金像に座り人間を駆逐していった。

 永劫に続くデビルマンの叫び声をBGMに・・・・。