(9d)
自らの自由を賭けてカプセルから出たジャックは勇猛果敢にヒッポリト星人に挑む。
だが、しかし、苦戦するどころか、全く歯が立たない・・・・。
その無謀な戦いの代償は敵の望む「奴隷」への変貌だった。
銀と赤の体から、ヒッポリト星で奴隷が着用する黒のラバースーツの様なもので体をピッタリと、
息苦しいくらいに包まれてしまった。
黒いスーツに体を呪縛された哀れな奴隷に迫るヒッポリト星人。
その目は冷酷に輝いていた。
動けないジャックの股間部にむけて力を込めた。
その手から放たれた光はジャックの股間を包み込み、フェードアウトしていった。
光の後には銀色のビキニの様なものが装着されていた。
ジャック:な・・何を・・・・・・
ヒッポリト星人:商品価値を高めるためです、あなたはこれから売られるんですよ、
ものとして・・・・
ジャック:も、もの・・・・
ヒッポリト星人:そうです、奴隷としてね
ジャック:・・・・・・・・・・・・
光の国の、名誉あるウルトラ兄弟の一員である自分が奴隷になる・・・・
しかし、体は動かず目の前の敵にやられるままだった。
屈辱よりも、これから自分の身に起こることへの恐怖で言葉が出なかった。
ヒッポリト星人は、どこか楽しそうにジャックに施しを続けた。
自分の意思では動かない両腕を優しく捻り背中に回した。
締め付けられるボディスーツに苦しみ、声を漏らすジャックに笑みを浮かべながらも、
束ねた両腕をブロンズ製の拘束具で固めた。
両手を束ねられ、両手が反対の手の肘を掴んでいる様な形で拘束されてしまった。
両腕だけでは飽き足らず、両足首にそれぞれブロンズ製の足かせを嵌め、
それらを鎖でつないだ。
ヒッポリト星人:どうだい?
これなら買い手が着きそうだろう?
ジャック:・・・・・き、貴様・・・・・
ヒッポリト星人:泣いて懇願するならやめてあげてもいいぞ、ジャック・・・・
くくくく・・・・
ジャック:・・・・・・・・・・・・・
首輪に手を伸ばすと光の綱が現れ、ヒッポリト星人の手に握られた。
光が止むと光沢を帯びた、決して切れることのない綱に変わった。
ヒッポリト星人:さぁ行くぞ、ジャック・・・・・
ジャック:くっ・・・・・・くそっ・・・・・・・・・・・
ヒッポリト星人の綱に引かれると自分の意思とは裏腹に勝手に動き、
引かれるままに歩いていった。
その背中は地球を守っていた時の勇敢なものではなく、今や恐怖に震え怯える完全な奴隷のものだった。
城の中を歩いている中、周りのヒッポリトから嘲笑われ、罵倒され、
屈辱にまみれた時間が過ぎていった。
永遠に続くのかとも思われた時間だったが、その歩みが突如として止まった。
ヒッポリト星人:お前をセリにかける場所に到着した・・・・・
泣いてみるか?ジャック・・・
くくくくくく・・・・・・
ジャック:・・・・・・・た、助けてくれ・・・・・・・・
ヒッポリト星人:・・・・ふぅ・・・・・・
ジャック:・・・た、頼む・・・・あぁ・・・・・
必死の思いで助けを求めたが、ヒッポリト星人の手に握られていたジャックのマスク・・・
それはまるでデスマスクの様なものだった。
最後の懇願の言葉をさえぎる様に重たい色のマスクを嵌められ、意識を封じられてしまった。
意識も、体も全てを封じられてしまった。今のジャックは言葉通りの操り人形になってしまった。
哀れな操り人形を引きつれ、扉の中に入るヒッポリト星人。
そこはセリの会場ではなかった・・・・
堕ちた奴隷を収める部屋だった。
ヒッポリト星人:さて、可愛いペットを作る仕上げをしますか・・・・
ジャック:・・・・・・・
操り人形にされたジャックはヒッポリト星人が何を言おうともまるで反応しなくなっていた。
自分のことをペットと呼ばれても抵抗も反論もせず、部屋の中に引かれ入っていった。
部屋の中央まで哀れな人形を引きいれると、ヒッポリト星人は得意のカプセルを出現させ
ジャックを包み込んだ。
側にある怪しげな機械を操作し始めるヒッポリト星人。
その操作に合わせカプセルの天井でもなにやら動きがあった。
ビィィィィィィィィィィィィ
警報音の様なものがなり、カプセルの天井からジャックに向けて七色に輝く光線が降り注いだ。
ひとしきり降り注ぎ終わると、カプセルは霧が晴れるように消え、
そこには何も変化がないジャックが立っていた。
ヒッポリト星人:それでは・・・ペットを起こしますかね・・・・・
ジャック:・・・・・うっ・・・・こ、ここは・・・・・
マスクを外され意識の封印がとかれたジャックはゆっくりと人形から奴隷へと回復を見せた。
ヒッポリト星人:おはよう、ジャック・・・・
ジャック:・・・お、俺は・・・セリに・・・・
ヒッポリト星人:あなたが懇願するので、私が買い取ってあげましたよ・・・
ここで一生奴隷として生きていけることを感謝なさい・・・・
ジャック:だ、誰が・・・感謝など・・・・・
ヒッポリト星人:いいんですか?そんな口をきいて?
あなたもレオや80の様になりたいですか?
ジャック:・・・・・・・・・・・・
脅しをかけるヒッポリト星人に対し、口を閉ざし震え始めるジャック。
頭の中では目の前で瞬殺され、魂をゆっくりと体内で冒されている二人の戦士の映像が
鮮明に蘇り始めた。
カプセルの効果で、死に対する恐怖が何倍にも増幅され、
逆に正義の魂は微塵も残されていなかった。
ヒッポリト星人:あの二人のようになりたくなければ、
ペットはペットらしくしなさい・・・・・
ジャック:わ、わかった・・・・・
ヒッポリト星人:なんです?よく聞こえませんよ?
ジャック:わ・・・わかりました・・・・・・
ヒッポリト星人:それでいいのです・・・・・
行きますよ、ジャック
ジャック:・・・・・・は、はい・・・・・・
死に対する恐怖、敵わない敵への恐怖から言われるがままに、
そして本当のペットの様に鎖を引かれ部屋を後にするジャック。
その背中は、うな垂れており、戦士だったころの面影はどこにもなかった。