内なる地獄

(9b)

 

 ウルトラマンの目は虚ろになりつつある。

正義の心に燃え、眩い光を放っていた瞳も今では薄暗く光量が減少し風前の灯という言葉に似合うほどだった。

そして、自分が今何をされているのか、ここがどこなのか、兄弟達はどうなっているのか、

全てがわからなくなりつつあり、どうでもよくなっていた。

 

ヒッポリト星人:さぁ・・・まだ強がることは出来ますか?

マン:・・・・・・・・・・・・

ヒッポリト星人:おや?興奮に口も開けなくなりましたか?

マン:・・・・・くっ・・・・馬鹿に・・・・しやがって・・・・・

ヒッポリト星人:あなたは本当に素晴らしい。予想通りの反応だ・・・・・

 

 ヒッポリト星人の笑いに合わせて胸の刺激も、股間の刺激も、

電流も全てのレベルが上げられていた。

ヒッポリト星人の様に触手もまたウルトラマンを嘲笑っている様に容赦なく

刺激の具合は上げられていた。

 体のそこかしこが興奮し股間目掛けて興奮によるエネルギーは集められるが、

快楽によりたまったエネルギーは股間に張り付いた触手により堰き止められ放出できない。

ウルトラマンの体には爆発的に性的なエネルギーが蓄えられていた。

今、磔られている四肢の戒めが解かれ様ものならば、体は地面をくねくねと這いばり、

快楽で溜まりに溜まったエネルギーは一気に放出されただろう。

正義に燃え、真っ直ぐに生きてきたウルトラマンにはこの上ない拷問であった。

折れかかっていた心もついに崩壊し、決して口にはしないと決めていた言葉が

口をついて出てしまったのだ・・・・。

 

マン:・・・も、もう・・・・・だめだ・・・・・助け・・・て・・・・くれ・・・・・

ヒッポリト星人:おやおや、もう降参ですか?情けないですねぇ

マン:きょ・・・協力する・・・・・頭が・・・・割れそうだ・・・・はや・・・く・・・・

ヒッポリト星人:早く!がお望みなんですね・・?

 

 邪悪な笑みを浮かべたヒッポリト星人の合図に全ての触手の責めが極限まで高められた。

触手に合図を送るヒッポリトの目はこの上なく邪悪に輝いていた。

 

マン:ち・ちが・・あぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁあ・・・・・・・・・

ヒッポリト星人:やっと、崩壊しましたか・・・・

マン:・・・・・・・

 

 違う!と言いかけ、襲い来る快楽の波に言葉を失い、人形の様に動かなくなったウルトラマン。

 さきほどのヒッポリト星人の戦士の様に生きているのか、

それとも死んでしまったのかもわからない状態だった。

瞳は完全に沈黙し、光がないのではなく邪悪な紫色に灯され、

体は全く動かない・・・・完全な人形になってしまった。

 

ヒッポリト星人:さぁ仕上げに入りますか・・・・・

 

 彫刻の球体に磔にあい、屈辱と快楽の混ぜ合わされた拷問を施され、

何かが弾けた様に動かなくなってしまったウルトラマン。

すでに、この段階でも光の国の戦士にとっては十分な最期であるが、

屈強な戦士達をモルモットと呼ぶ彼らにはまだ物足りない様だった。

ヒッポリト星人:種になる者に意思はいらない。

        このステップが少し面倒ですが・・・・

        所詮、ウルトラマンと言えども雄。

        簡単なことです
 

マン:・・・・・・

 

ヒッポリト星人:快楽で自我が崩壊する、何とも惨めな最期でしたね・・・・

        いえ、これが始まりでしたね、ウルトラマン

 

 カラータイマーに被さっていた触手が外れると、

ウルトラマンの象徴でもあるカラータイマーが爽快な青ではなく邪悪な紫色に輝いていた。

 一番高い部分にある触覚から、細い触手が伸び、ウルトラマンの股間を覆う触手に突き刺さった。

伸びてきた触手は脈動し、何かを股間に送り込んでいる様でもあった。

 

ヒッポリト星人:これであなたの種は一生枯れません。

        あの卵と共に未来永劫、増え続けるのですから・・・・

 

 卵の細胞が股間に送り込まれた後、触手は元の場所に戻っていった。

 体を拘束していた触手が、体を支えるのに必要な分だけを残し、外れていった。

そう、あのヒッポリト星人の戦士がそうだった様に。

 そして、ウルトラマンが目撃した衝撃の光景が再び繰り広げられようとしていた。

ギャラリーを一人減らして・・・・。

 ウルトラマンの両足が球体の中に吸い込まれ始めた。徐々に徐々に沈み行くウルトラマンの両足。

くるぶしを越え、膝、そしてエネルギーが溜まりに溜まった股間を越え、

瞬く間に胸元までが沈んでしまった。

しかし、先ほどの戦士とここからが違った。

拘束されている両手が後ろに引っ張られるように取り込まれていったのだ。

首と額の拘束がないため、胸元から前にもたれかかる形になっており、

両手は後ろに引き伸ばされている。

まるで、両手を壁につながれた奴隷が重力に任せて、だらしなくぶらさがっている様だった。

 

パキッ パキパキッ

 

 レオが魂を抜かれた時と同じ乾いた音が木霊する。

球体から外に出ているウルトラマンの体がブロンズに包まれ始めたのだ。

ウルトラマンが磔にあい、心のどこかで望んだ結末が、本人の意思が崩壊した後に

繰り広げられたのだった。

 

ヒッポリト星人:これであなたは体も朽ちず、魂も枯れない。

        私達に力を与え続ける存在になったのです。

        ふはははははは・・・・・

 

 邪悪に輝き続けるカラータイマーを残し、球体と一体化した様に体は

ブロンズに変えられてしまった。

 

ヒッポリト星人:これはほんのお礼です。

        永遠に楽しんでください・・・・・

 

 ヒッポリト星人の目が紫に輝くと、ウルトラマンのブロンズ像が一瞬、

紫のオーラに包まれた。

 ウルトラマン、ヒッポリト星人の戦士、卵、この三つが合わさり、

最強のヒッポリト星人を生み出すため、怪しげな彫刻は動き始めた。

これからのヒッポリトを繁栄させるそのためだけに・・・・・・。

 

 別れ際にヒッポリト星人が放った光線は、ウルトラマンに残された魂に向けたものだった。

種を絞り続けられるブロンズ像の中では、今もなお球体による責めが微弱なまま続いていた。

正確には、球体内部のブロンズになっていない部分と魂の両方で行われていた。

 

マン:・・・うっ・・・・あぁ・・・・ああ・・・・・・・

 

 堕ちた魂の内では、ウルトラマンに対する刺激が絶え間なく与え続けられ、

変わらず体は動かせず、エネルギーは放出できない。

おまけにヒッポリト星人が分かれ際に贈ったエネルギーはウルトラマンの体に残る

光エネルギーを性エネルギーに変換するもの。

そして、この魂の部屋では常に昼・・・これが意味するのは何とも残酷なことだった。

部屋の中では太陽光線が止まない・・・正義の心を燃やす光の国の戦士であることが

仇になってしまった。

細工をされた体で、光エネルギーが性エネルギーに変換されるそばから

太陽エネルギーが補充されていく。

つまり、時間が経てば経つだけ興奮が増幅されていくのだ。

 

マン:・・・・たす・・・け・・・・・て・・・・・・・

 

 完全に心が折れた光の国の戦士は、助けに来るかわからない誰かに

助けを求めずにはいられなかったのだ。

こうして、魂では解けることのない拷問を受け続け、

球体の中に残された生身の部分から宿敵に種を供給することを運命付けられたウルトラマン。

彼の責務が終わることは永遠にないのだ・・・・