(7a)
地球を守護していたメビウスがやられ、偽のウルトラサインでおびき出されたAが罠にかけられた。
そして、過去の敗北と同様に惨めなブロンズ像に姿を変えられてしまった。
その毒牙はウルトラ兄弟全員に向けられ、偽のウルトラサインで集められた兄弟達は
まんまとカプセルに閉じ込められヒッポリト星人の本拠地へと転送されてしまった。
ウルトラ兄弟長男、そして警備隊の体長を勤めるゾフィーをもってしても・・・・
いや、戦いすら出来ていないのだからゾフィーが強いかどうかは問題ではなかった。
しかし、戦いが出来ていても敵う相手だったかどうか・・・・
いや、誰も敵わなかっただろう・・・・
カプセルの外は何も見えない、何があるのかわからない、何もないのかもしれない、そんな空間にカプセルごと転送されていた。
ヒッポリト星人:元気かね?名誉あるモルモット君?
ゾフィー:?!・・貴様ぁ・・・・弟達は無事なんだろうな?
ヒッポリト星人:おや、この空間にいても他の人の心配ですか?余裕ですねぇ
ゾフィー:殺すなら殺せ、悪趣味だぞ・・・・・・
ヒッポリト星人:殺す価値もない・・・
お前達はモルモットにしてもらえるだけありがたいと
思ってもらいたいと思いますよ
ゾフィー:・・・・・・調子にのりやがって・・・・・
ヒッポリト星人:あなたは運がいい・・・・
本当にモルモットになるのはあなただけ・・・・
ゾフィー:?!弟達には何をするつもりだ!!
ヒッポリト星人:まぁ時間ももったいない・・・
実験をしながら話をしましょうか?
カプセルの側から離れ闇に消えるヒッポリト星人。
何かを操作したと思った途端、明かりが灯され、部屋が明るくなった。
ゾフィーが転送された先は光の国にもある様な実験室の様な場所だった。
モルモットの入っているカプセルは部屋の入り口あたりにあり、
機械に囲まれ、部屋の中央部分には意味ありげな広場があった。
周りをきょろきょろ見回すゾフィーには目もくれず、
手元の操作盤を熱心に操作するヒッポリト星人。
その操作が終わった刹那・・・・
パァァァァァァァァァァァァ
カプセルの天井から虹色の光線が降り注ぎ床に吸収されていった。
ゾフィーの体を通り抜けるも、特に体に異常もなく、
どういう効果があるのか全く予想もつかなかった。
ゾフィー:な、何をした!!
ヒッポリト星人:見ていなさい、すぐにわかります。
身をもってね・・・・
くくくくく・・・・・
ヒッポリト星人の怪しげな笑いに合わせて部屋の中央の広場にカプセルが現れ、
中に充満している煙が晴れ始めると中には何者かが立っているのがわかった。
煙は濃く、シルエットから細身の二足歩行の何かというのまではわかるが、
それ以外は何もわからなかった。
ゾフィー:・・・・?!・・・・
ど、どういうことだ・・・・?
ヒッポリト星人:見覚えがあるでしょう?
ふふふふふふふふ・・・
煙が完全に晴れると、そこに立っていたのはゾフィーだった。
正しくはゾフィーのまがい物だった。
しかし、偽者であるのがわかっていてもどちらが本物か迷ってしまいそうなほどに
精巧なつくりだった。
いや、完全なるコピーなのかもしれない。
完全なる複製物は広場の中央で仁王立ちし、沈黙していた。
目に光は灯っているが動かない。
カラータイマーは青いが敵を撃たない。
カプセルの中で動かないこの偽者はまるでマネキンの様だった。
ゾフィー:偽者を光の国に送りつけるつもりか?
ヒッポリト星人:そんな必要ありませんから・・・・
あなた達が束になっても敵いませんよ・・・・・・
今にわかります
敵の思惑を見透かしたと思ったゾフィーを嘲笑いながら再び手元の操作盤をいじり始めた。
それは拷問とも思える光景だった。
ゴォォォォォォォォォォォォ
偽者の収められているカプセルの天井から炎が噴出し、マネキンのゾフィーを燃やし始めた。
マネキンが燃えるのを楽しそうに見つめるヒッポリト星人。
しかし、その楽しそうな目はいつまでもマネキンに向けられていることはなかった。
その目がゾフィーに向けられたと思った瞬間、ゾフィーの予想もしない出来事が起こった。