(6)
ウルトラ兄弟が全て捕まり、誰一人、何も抵抗できずにいた現状から、
未来は絶たれたかに見えたが、そこに助けに入った80とレオ。
しかし、目の前で繰り広げられたのは自分達の救出劇ではなく、
自分達が助からないという証明でしかなかった。
瞬く間にやられた80を尻目に、兄弟達の指示のもと光の国に
情報を持ち帰ろうとしたレオだったが・・・・。
レオ:・・・ぐっ・・・・
な、なんだこれは・・・・・
ウルトラマン:何をしたっ!
ヒッポリト星人:マナーの悪い人を連れ戻すためにちょっとね
ヒッポリト星人が合図すると、空高く上ったはずのレオが消え、
80の脇にカプセルが現れた。
もちろん、中にはレオが捕らえられている。
ゾフィー:ど、どういうことだ・・・・
ヒッポリト星人;以前の私とは違う、そう叫んだのあなた達ではないですか?
レオ:・・・チャンスを棒に振ってしまった・・・・・・ちくしょぉ・・・・
ヒッポリト星人:悔しがることはないですよ、
どうせここに来た段階で助かる見込みはなかったんですから。
さぁ80と同じく罰を受けてもらいますよ。
ヒッポリト星人の合図でカプセルの天井から大量の液体がカプセル内に注がれた。
それはAやメビウスが浴びたものとは少し違うらしく、あまり粘り気もない様だった。
カプセルには瞬く間に液体が満たされ、レオを沈めてしまったのだ。
レオ:・・・ぐっ・・・・・くる・・し・・・い・・・・
ヒッポリト星人:もう十分でしょうかねぇ
液体に満たされ苦しむレオを眺めながらカプセルを消す合図を送るヒッポリト星人。
カプセルも液体も消され、体中が液体にまみれたレオが地面に倒れる。
むせるレオの首を片手軽々と掴み上げるヒッポリト星人。
とても力が自慢である体格ではないが、レオの首だけを持った状態で頭上にまで掲げている。
レオは足をバタつかせ、両手で必死にヒッポリト星人の手を解こうとするが、
全く通用せず、息が出来ないままだった。
ヒッポリト星人:あなたは逃げようとまでしましたねぇ・・・・・・
そこで、80より重い罰を与えます
レオ:・・・げほっ・・・・く、くる・・しい・・・・離・・せっ・・・・・
ヒッポリト星人:あなたはだんだん死んでいくのです・・・・ふふふふ・・・・・
苦しむレオの顔めがけて自慢の口を向けた。
レオの口からは魂が少しずつ抜かれヒッポリト星人に吸収されていった。
80の時とは違い、本当に少しずつ少しずつ魂が抜かれているため、
レオは苦しみが持続されていた。
しかし、ヒッポリト星人の与えた罰はそれだけではなかった。
セブン:な、なんて・・・酷いことを・・・・・・
レオ:・・あぁぁぁぁぁぁ・・・ぐわぁぁぁぁ・・・・
苦しいっ・・・・・助け・・・てっ・・・・
パキッ パキッパキ
レオの叫び声と共に奇妙な音が響く。
その音はレオの体から発せられていた。
魂が少しずつ抜かれているレオの体が足元から徐々にブロンズになっているのだ。
先ほど、カプセルで浴びせられた液体は、生あるものは固めることが出来ないが、
死んでいるものは固めることが出来る特殊な液体だったようである。
レオからヒッポリト星人に吸収されつつある魂の量に合わせて体が
どんどんブロンズになるレオ。
レオ:・・・・あぁ・・あ・・・・・・・・・・
ヒッポリト星人:ご馳走様でした、80そしてレオ・・・・・
自分達を助けに来た二人の戦士が目の前で瞬殺されてしまい、
相手にしている目の前の宇宙人は以前のそれとは本当に桁違いに違うのだと改めて理解した。
ドサッ
魂を抜き終わり、完全にブロンズになったレオを地面に放り投げた。
一瞬だった80とは違い、レオの顔は苦痛に歪み、
絶望も苦しみも全身に散りばめられた状態で置物とされてしまった。
ヒッポリト星人:二人がどうなったのか気になりますか?皆さん
セブン:・・・・・・・
ゾフィー:・・・・・・・
ヒッポリト星人:特別ですよ、彼らが今どうなているのか見せて差し上げます
ヒッポリト星人の頭の触覚からカプセルにいるウルトラ兄弟達へとテレパシーが送られた。
そこに映し出されたのは何とも酷いものだった。
透明なカプセルに入れられた二人の戦士。
そして、頭上からは気の遠くなる様なペースで液体が降り注ぐ。
そして、その液体は体を強力に犯し、ヒッポリト星人の言った食事の意味を担っていた。
二人はカプセルの中でもがき、カプセルを叩き叫ぶが、誰もいない、誰も助けられない
空間で体を蝕まれるのを待つばかり。
聞こえるのは兄弟達に浴びせられるヒッポリト星人の言葉だけ。
ヒッポリト星人:さぁ、邪魔者はもう来ない。あとはあなた達の番ですね。
ウルトラマン:・・・・・・
セブン:・・・・・・くっ・・・・・
ジャック:・・・・・・・・
ゾフィー:・・・・・・・・・
ヒッポリト星人:どうしたんです?
寂しがる必要はないですよ、すぐにみんな同じになりますから
ヒッポリト星人の言葉を合図にしたように兄弟達の入っていたカプセルが蜃気楼の様に消えた。
地面に倒れていた80もレオも、そして魂を封じ込められたまま
ブロンズになっていたAもメビウスも忽然と消えていた。
モルモットと呼ばれた彼らが転送された先は、
一人は空は暗く、空気は淀み、生の感じられない野外に、
一人は機械に囲まれた研究室の様な場所に、
一人は怪しげな彫刻のある部屋に、
一人は何も見えない真っ暗な空間に、
そして惨めなブロンズ像にされたAとメビウスは
ヒッポリト星人の住む城の入り口にオブジェとして飾られ、
魂を抜き取られた80とレオのブロンズ像は城の側に転送されたようだった。
互いの安否はおろか、自らにこれから成されることすらもわからない、
絶望に満ちた時間がたった今始まろうとしていたのだった。