(10)
地球を守護していたメビウスから始まり、Aを手中に落とし、
ついにはウルトラ兄弟を戦わずして捕らえ、助けに入ったレオと80を
一瞬にして亡き者にしたヒッポリト星人。
その姿は過去にウルトラ兄弟をブロンズにし、地球の夕日に晒した、
あのヒッポリト星人と同じだが、全く違う、桁違いな力を持っていた。
メビウス、Aは魂を残されたまま体を物言わぬブロンズ像に変えられ、
未来永劫終わることのない後悔の時間を経験していた。
兄弟達を呼び寄せる餌にされた後悔、そしてその敵地の門にオブジェとして飾られる屈辱。
耐え難い恥辱であった。
餌におびき寄せられ囚われた兄弟たちはそれぞれ地獄を経験していた。
長男・ゾフィーはガラスの人形にされ、終わることのない実験という名の拷問を与え続けられていた。
ウルトラマンは名誉ある子孫繁栄の礎に組み込まれてしまったのだ。
魂を快楽に支配され、改造された下半身からは耐えることのない種の放出を余儀なくされていた。
セブンは体を溶かされ、終わりのないエネルギー排出機として保管されてしまった。
ジャックにいたっては精神を支配され、惨めな姿で奴隷として城の中で飼われているのだ。
どの光の戦士も、あの勇敢な姿はなく、哀れな、そして惨めな姿で殺されることもなく
終わらない恥辱にまみれていた。
兄弟達を助けようと助太刀したレオと80は城の側に転送され、
魂の抜けたブロンズ像は何をされるわけでもなくそのまま野ざらしにされてしまった。
レオと80の捨て置かれた周りには突如として行方のわからなくなった
警備隊員達のブロンズ像も同じように捨て置かれていた。
ヒッポリト星人の住む星の生き物なのか、正体がわからないナメクジの様な生き物に
体を這われ無残な姿になっていた。
レオと80も辿ることになる無残な姿に・・・・
ヒッポリト星人:さぁ、今回の作戦のクライマックスに行きますかねぇ・・・・
くくく・・・・・
城から歩き出し、霞の様に消えたヒッポリト星人。
光の国の勇者であってもなしえなかったテレポートさえも身につけ、
自分の根城と地球さえも瞬く間に移動することさえ可能にしていた。
そして本拠地から消え、ワープしたヒッポリト星人がいたのは
偽のウルトラサインで呼び出されたタロウのいる地球だった。
ウルトラサインが出た場所に到着するも、
サインの打ち出した主であるはずのメビウスがいない・・・・
自分が光の国で教え子として面倒を見たメビウスが・・・・・。
ヒッポリト星人:疲れたでしょう?タロウ
タロウ:な、何故、貴様がここに!!!
ヒッポリト星人:それは、こうするために決まっているじゃないですか?
タロウ:・・・?!・・・・し、しまった・・・・・
突如として目の前に現れたヒッポリト星人に驚いていると、
蜃気楼の様に現れたカプセルに閉じ込められてしまった。
タロウに油断はなかった。
カプセルのことも熟知していた。
しかし、過去のデータにはカプセルが蜃気楼の様に現れるというものはなかった。
いや、タロウを閉じ込めたカプセルの出現速度では、事前に知っていたとしても
防ぐ手段はなかっただろう・・・・
タロウ:・・・・くっ・・・・・
ヒッポリト星人:安心なさい、兄弟達のもとへ連れて行ってあげますよ、
君のお父さんが来たらね
タロウ:・・・・と、父さん?!
ヒッポリト星人:ほうら、噂をすればなんとやらですね・・・・
青い球体が地球に降り立った。
その青い球体は紛れもなく過去にA達を助けた時に現れた救世主、ウルトラの父だった。