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謎の声:ぐはははははは、無様だなぁ〜スーパーマン
スーパーマン:・・・くっ・・そ・・・・・
謎の声:私にたてつくからそうなるのだ・・・
その愚かさを骨の髄まで教えてやるわ・・・・
ふははははははは・・・・・
謎の声が暗闇に響きわたる。戦ったにも関わらず、コスチュームが破れることもなく
完全な敗北をしたスーパーマン。
自慢の赤いマントを持たれ、引きづられ、出現した異空間への扉に連れて行かれたのだった。
爆発した惑星クリプトンの最後の生き残りであるカル・エルは
その超人的な力を第二の故郷・地球のために使い凶悪事件や悪質宇宙人から地球を守り
平和の維持を行っていた。
地球人は彼をスーパーマンと呼び称えていた。
今回も、いつもの様に地球に襲来した敵と戦い勝利を収めるはずだった・・・・・・
そんな油断があったのかもしれない。いや、油断などしていなくても、
いつか出会うことになったであろう絶対的な力を持つ敵と出会ってしまったのかもしれない。
謎の声の配下の者にスーパーマンは奴隷の様に引きつられ、
大勢の観客の見ているステージに連行された。
両手首と首を横一列にして一枚の板で拘束されてしまった。
板の上には両手と顔が出るだけ、何とも哀れな姿である。
力を入れ様にもまるで力めない。
いや、力めていてもここで逃げ出して助かるわけなどなかった。
自分がいるこの空間が地球ではなく敵の支配する空間だとわかっていたからだ。
板の下にかろうじてある首の部分からは鎖がかけられ、
その鎖を犬の散歩の様に連行されている。
両足には鎖の足かせがされ、必要以上に大股では歩けない状態になっているのだ。
どのくらい歩いただろうか・・・・・
観客からのヤジも何を言っているのか聞き取れない、
いや聞く気力がないのかもしれない。
ずいぶんと歩いた先で地面に白い線で丸が書かれていた。
配下の者の指示でその円の中に立つ。
そうすると、周りから人がいなくなり、円の部分以外の地面が下がっていき、
孤高の絶壁に立たされることになってしまった。
裁判官:これより、罪人スーパーマンの裁判を始める。
スーパーマン:・・・・裁判?
裁判官:そうだ、我らの神であるダークサイド様に反抗した罪の裁判だ。
スーパーマン:な、何を言う!奴が地球に攻めてきたのではないか!
裁判官:それに反抗しなければ良いだけの話ではないか。
貴様はダークサイド様のペットにしてやるという提案を拒み、
その上反抗したそうではないか。
スーパーマン:わかっているのか?
ペットだぞ!侵略者の分際で!
裁判官:お前の言い分はそうなのだな。
仕方ない・・・・反省の余地なし・・・・・
よって貴様を処刑する。
スーパーマン:こんな裁判、間違っている!
裁判官:貴様をクリプトナイトで出来た棺に閉じ込め時間をかけて処刑することにする。
スーパーマン:くそっ・・・・・・・・
ここまでか・・・・・・・
謎の声:ちょっと待て、裁判官!
裁判官:ダ、ダークサイド様・・・どうなさいました、この様な場所においでとは・・・
ダークサイド:この死刑囚、私にくれないだろうか?
裁判官:こんな者の命、どの様にしてもかまいませぬ。
では、このまま連行されますか?
ダークサイド:いや、こやつをマイクロプラネットに置いてみようと思うのだ。
ダークサイドの発言の瞬間、ギャラリーがざわつきだした。
よほどダークサイドが提案した内容が酷いものだったのであろう、
敵である私に同情のため息さえつく者がいたほどだ・・・・。
今、考えればそうだろう、こんなことになるのだから。
裁判官:それは名案ですな!
スーパーマン:ど、どういうことだ!
ダークサイド:今から貴様を転送するある星の名だ。
もしもそこで生き抜けたのならば、自由に生きるがいい。
再度、私に挑戦するもよし、逃げ隠れて生きるもよし。
自由だ。
スーパーマン:あとで後悔するなよ!
裁判官:ダークサイド様、少し離れてくださいませ。
転送に巻き込まれますゆえ。
ダークサイド:もしも生き残っていたら、力があることを認めてやるよ、
生きていればな・・・・・くくくく・・・また、会おう・・・・
ダークサイドの不適な笑みを見たのが最後だった。
そう最後だった。
その瞬間、スーパーマンの体だけが転送され、拘束具はその場に落ちた。
クリプトナイトの棺の方がよかったのかもしれない。
運命の神は、ダークサイドに目をつけられた時点で
スーパーマンを見放していたということなのだろうか・・・・・・