死の幻想  

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 テントに入ってから一方的に攻められ、とうとう磔にまでされた悟空。

何も抗うことも出来ずに種を残らず綺麗に抜き取られてしまい、

敵の前で気絶する失態までおかした。

 

悟空:(・・・・んっ・・・ここ・・・は・・・・?!)

 

アメミット:そろそろ意識が戻るころだと思いましたよ、悟空さん。

       どうです?その姿、気に入ってもらえました?

 

悟空:(い、いつの間に・・・・・オラは・・・負けたの・・・か・・・・)

 

アメミット:これで私のこの星でのコレクションは終わりです。

      さて、次の星にでも行きますかねぇ・・・・

      次は・・・・・

 

 いつの間にか施された覚えのないことを体中に受けていた悟空。

もともと頭の回転は速いほうではなかった悟空だが、

この事態は理解できるものではなかった。

悟飯もベジータも同じ状況にあったに違いない。

 

アメミット:そうそう、あなたの魂お返しするの忘れていましたね。

      体に戻りなさい・・・・・

 

 アメミットの持つガラス玉から一度は奪われた悟空の魂が戻っていった。

 悟空の体に戻った魂は体が覚えていない自らの末路をそっと体に伝え始めた。

映画を見るように悟空は自分のサイヤ人としての最期の映像を見ていった。

 

 そもそもの始まりはベジータと悟飯の像に向けたものだと思っていた、

あの指輪の光だった。

 あまりのまぶしさに目を閉じた悟空。

この時既にアメミットの幻術にかけられてしまっていたのだ。

 最初の戦いで封じられた思った力は、封じられたのではなく、

封じられたと思い込んでいたのだ。

いや、そもそも悟空はアメミットとは戦っていないのだ。

 

アメミット:おやおや、サイヤ人はこう簡単に幻術にかかってくれて助かります。

      コレクションに労力をあまりさきたくないのでね

 

悟空:・・・・・・・・・・

 

悟飯:駄目だ・・・父さん・・・・逃げ・・て・・・・・

 

ベジータ:カカロット・・・起き・ろ・・・・・

 

アメミット:二人とも、無駄なことだとわかっているでしょう?

      あなた方もこれでやられたんだ・・・・

      今頃、トランクス君と悟天君と戦う幻覚を見ているはずです。

 

 アメミットは指を弾き何かの合図をした。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

 合図に合わせてテントの中にカマイタチが起こり悟空を包んでいく。

 自慢の武道着は切り刻まれていき、激戦の後と見間違うほどにボロボロにされた。

 カマイタチが止むとアメミットのマントから2本の巨大な触手が伸び悟空を撫で回す。

その触手には溶解性があるらしくボロボロになった武道着を片っ端から溶かしていく。

 

アメミット:裸はさすがに可哀想ですからね・・・・・

 

 アメミットの瞳が光ると悟空にベジータと同じようなボディスーツを装着されていった。

鍛えられた筋肉が強調される姿となり、先に像にされたベジータ、悟飯と同様に

ギリシャ彫刻の様な体をしていた。

その鍛えた筋肉を、胸板を、逞しい股間を眺めうっとりするアメミット。

 

アメミット:さぁベジータさん、悟飯さん、悟空さんもこれで晴れて仲間になりますよ。

      ふはははははははは

 

 悟空に近づくアメミットの両手は黄金に輝いていた。

生気が抜け、地面に跪く悟空の両肩を掴むアメミット。

手に蓄えられた黄金色の輝きが少し強くなったかと思うと

悟空の体がみるみる黄金に変えられていく。

瞬きする間ほどで全身が黄金に変えられてしまった。

 黄金に変えられはしたが、動けないというわけではないらしく、

アメミットにかけられた幻術の中で息苦しいのか呼吸が乱れてきた。

 黄金に変えただけでは飽き足らないのか地面から出現させた柱に悟空を押し付けた。

そうするとどうだろう、柱は粘土の様に押し付けられた悟空をゆっくりと柔らかに取り込みだした。

悟飯やベジータがされた様に悟空も体の半分を柱に取り込まれてしまった。

そして、やはり両腕は後頭部で束ねられているだろう状態で柱の中に消えている。

 

アメミット:ここで魂を返してもいいんだが、まだまだ楽しみ足りないので

      後にとっておくことにしましょうか・・・・・

 

 柱に取り込まれた悟空に近づき口を塞ぎ、股間に手をかざした。

黄金の像に変えられた悟空の股間から種がどんどん抜き取られ

アメミットの手のひらから吸収されていった。

柱の中でもがく悟空。

しかし、柱の強固な拘束と黄金に変わった柔軟ではない体で

全くと言っていいほどに体は動けていなかった。

種の吸収が終わると悟空の口を塞ぐ柱の拘束も解けてベジータや悟飯と同じ

コレクションの一つに変えられてしまった。

黄金の柱のオブジェへと変えられたのだ・・・・

 

 

 悟空の魂が体に伝えた最期の記憶はようやく終わり、

悟空も自分が施されたものがどういうものなのか理解した。

 ずっと戦っているつもりだったが、テントに入り仲間を見つけたところで

既に敗北が決まっていたのだ。

いや、敗北というのは違うのかもしれない、戦えてすらいないのだから。

そう悟空達、地球にいるサイヤ人達はアメミットの狩りにあったのだ。

そして狩られた獲物としてコレクションにされた、ただそれだけなのである。

アメミットに狙われた時点でこの5人がこうなる運命にあったのかもしれない。

サイヤ人がもっと卑怯で、テントを外からいきなり大技で爆破する様な、

そんな種族だったら結果は違ったのかもしれない・・・・。

しかし、事実として、宇宙を代表する3戦士は金銀銅の3種類の柱のオブジェとして

アメミットにコレクションされ飾られている。

 柱に取り込まれていないトランクスと悟天は完全に催眠状態にあり、

アメミットの忠実な僕としてこれからもコレクション集めに利用されるのだろう。

 その後も奇妙な事件は宇宙の各地で続き、悪い戦士も正義の戦士も

失踪するといった事件は終わらなかった。