吹雪の中で(1)

 

Tac隊員の北斗星児は地球の平和を守るためにM87星雲から来た

ウルトラマンエースに変身し怪獣、星人と闘っていた。

北国の山の中、吹雪の中に異次元人ヤプールの送り込んだ怪獣:フブギララが現れた。

フブギララを倒すために北国に飛び、北斗はエースに変身した。

この日はウルトラ一族にとって不利な吹雪であった。

 

  短期戦に持ち込まなければ

 

短期戦に持ち込みたいエースはフブギララに近づいて一気にたたみかけたいのだが、

フブギララはエースと一定の距離を取り決して近づきすぎたりはしなかった。

吹雪は一向にやむ気配はなかった。

やまない吹雪でエースの体には雪がこびりついて離れなかった。

 

相変わらず一定の間合いを詰めないフブギララに手を焼き短期戦に持ち込めず、

エースは困っていた。

 

  くそっ このままでは体力が尽きてしまう。

 

雪は相変わらずにやまず、エースの体は徐々に白くなっていった。

雪山に長時間立っていたために足下は完全に雪に包まれていた。

これ以上戦闘を長引かせるのはまずいと考えたエースはフブギララに対して

突進していった。

しかし、今までのフブギララとは違い避けるのではなく額にあるいくつもの

赤い球体から光線を発射してきた。

突進をしかけていたエースに避けることは出来なかった。

 

  仕方ない、ここはバリアを張って・・・

 

避けられないのでエネルギーを無駄には使いたくないところだが

エースはバリアを張ることにした。

しかし、エースの開いた両手からはバリアは発生せずに胸を光線が直撃してしまった。

 

  ぐわぁぁぁぁぁっ

 

光線をもろにカラータイマーに受けたエースはその場に崩れ落ちた。

フブギララはそのチャンスを逃さなかった。

崩れ落ちたエースに向かって容赦なく口から冷気を浴びせかけた。

 

  パキッ パキッ パキッ

 

音を起ててエースの体は凍り付き崩れ落ちた姿で固められてしまった。

 

  かっ・・体が・・うごかっ・・・ない・・・

 

エースはその場で必死に体を溶かすために残り少ないエネルギーを

体温上昇に使っていた。

そこにどこからともなくヤプールの声が響いてきた

 

  いいぞフブギララ そのまま、お前の最期の技でエースの動きを完全に封じるのだ

 

それを聞いたフブギララは体を真っ白な冷気に変えエースを包み込んだ。

エネルギーを使いフブギララに凍らされた体を溶かし、

あと一歩のところで動ける という矢先の出来事だった。

 

フブギララの白い冷気に包まれたエースの周りでは何が起こっているのか確認できなかった。

しかし、次第に白い靄のようなフブギララの冷気が晴れると、

そこにはすっかり血色を取り戻したエースが崩れ落ちたままの姿勢で残っていた。

 

  くっくっくっ 動けまいエース 今日がお前の最期だ

 

ヤプールの言うとおり、フブギララによって吹きかけられた冷気は確かに

体には残っていなかった。

しかし、体はエースの思い通りにはならず意識があるだけで

自分の体ではないかの様な感覚に襲われた。

 

  (どういうことだ、体の感覚がまるでない)

 

カラータイマーは赤いまま点滅もせずに沈黙し、目の光は失われてはいなかった。

 

  お前は何が起こったかわからんだろう。

  死ぬ前に自分が何をされたのかを教えてやろう。

  フブギララの最後の技は、お前の体の中を凍らせてしまう技だったのさ

 

尚も吹雪はやまずに容赦なくエースに降り注ぐ。

戦いが始まってからかなりの時間がたち、

すっかりエースの体は吹雪によって白く変えられていた。