スーパーマン編
第2話:侵入
常に犯罪に目を光らせゴッサムシティの平和を守ってきたバットマン、そしてロビン。
彼らがとある事件で失踪してからというもの、天敵のいなくなった街には
犯罪者が溢れ出し、治安は瞬く間に地に堕ちていた。
その異常な事態にスーパーマンはバットマンのもとを訪れ、
アルフレッドから事件の詳細を聞き、二人を捜索し助け出すことを約束したのだった。
そんなスーパーマンが向かったのはロビンが最初に向かった事件現場、
そして二人のユーティリティベルトから発せられた緊急信号の発信地点だった。
スーパーマン:・・・・!!・・・あそこだな・・
特におかしなところはない・・か・・・・・
空中から辺りを見回し、怪しい場所はないかと探して見たが、
見渡す限りのどかな田舎街の風景しか目に入らなかった。
その風景の中で1つだけ気にかかること・・・高校が廃校になっていることである。
スーパーマン:ここがロビンの向かった場所か・・・・
事件が起きたと通報があり、ロビンが向かった場所・・・
それがこの高校だったのだ。
しかし、事件がどうなったのか、ロビンは?バットマンは?
全てが謎のまま、何もわからないため事態を重く受け止めたゴードンにより
学校は危険区域に指定され廃校になっていた。
事件以前から新しい建物だったわけでもないため、
概観だけを見たら使用年数もわからないほどの古さだった。
また、廃墟にたまる不良すらもいない田舎街だったため、
廃校になった後でも荒れるようなこともなかった。
スーパーマン:・・・う〜ん・・何もおかしなところはないが、
透視してみるとするか・・・・?!・・・・
その不自然な廃墟を透視するスーパーマン。
学校自体にはおかしなところはなく、人がいない建物だったのだが、
その地下におかしな空間があったのだ。
透視が出来ない場所・・・そう、鉛でガードされた空間があったのだ。
スーパーマン:どういうことだ?・・・こんな田舎の高校の地下に鉛でコートした空間が?・・・
悩んでいても仕方がない・・ここから探してみるとするか・・・
とぼとぼと廃校に入っていくスーパーマン。
その侵入を確認したかの様に使われていないはずの学校の校内放送用スピーカーが突然、
音を発し始めた。
ピンポンパンポォォォォン
謎の声:ようこそ、スーパーマン
スーパーマン:・・・?!・・・誰だ!
謎の声:自己紹介はこの後するとして、まずは会場にきていただこうかと思ってね
スーパーマン:ずいぶんと余裕だな・・・ちゃんともてなしてくれるんだろうな?
謎の声:それはもちろん・・フルコースでね
スーパーマン:・・・覚悟しろっ!
謎の声:体育館に地下室への入り口がある・・・
そこから降りてきてくれないかな?
スーパーマン:どうしてわざわざ君の指示に従わないとならないんだ?
謎の声:それはね、こちらに人質がいるからだよ、スーパーマン。
彼らが死んでもいいならどこからでも降りてきたらいいんじゃないか?
スーパーマン:くっ・・・そんなことだろうと思った・・・待ってろ、すぐに捕まえてやる
謎の声:それは楽しみだ・・・では、後ほど
まずは・・と探しに入った廃校には探している2人がいることがわかった。
彼らを人質にとられているために敵の指示通りにアジトに乗り込まないとならないことに
苛立ちにも似た感情を覚えつつも、抗うことが出来ない状況に仕方なく指示通りの
場所へと向かうスーパーマン。
スーパーマン:・・・ここか・・・・ご丁寧に鉛で全てコーティング済みとは・・・
古い体育館の一室に、明らかに場違いな新しい地下室への入り口があった。
準備万端とばかりに鉛が全ての壁や床に使われているために透視することが出来ず、
警戒しながら地下へと降りていくしかなかった。
謎の声:いらっしゃい、スーパーマン
スーパーマン:お前がさっきの声の主か?
謎の声:えぇ・・わたしは犯罪研究会 雑務担当のジョージです。
スーパーマン:わたしが探しているのはジョージ君ではなくバットマンとロビンなんだが?
ジョージ:ちゃんと会場までわたしがエスコートしてあげますよ
スーパーマン:エスコートは必要ない。君を捕まえて
ジョージ:この部屋は監視されているんだ
スーパーマン:なんなんだ、急に?
ジョージ:急激な温度の変化を感知できる部屋なんだ・・・
この意味、わかるよね?
スーパーマン:なるほど、ヒートビジョンとスーパーブレスは使用不可能ってことかな?
ジョージ:えぇ、そうなりますね・・・さぁ、これを
スーパーマン:・・・?!・・・・
ロビンとバットマンを捕獲しコレクションに加えた張本人・犯罪研究会のジョージが
スーパーマンの前に現れた。
あの用意周到なところは変わらず、2度の狩りに成功したことでより
邪悪に磨きがかかった知性を得ていた。
スーパーマンの攻撃手段を封じ、床に投げ捨てたのは足枷と首輪だった。
加えてジョージの手に握られていたのは両腕を拘束する器具と黒いシート状のものだった。
スーパーマン:なんだこれは?
ジョージ:だって、僕達は人間だから超人である君が怖いんだ・・・
エスコートするために君の自由を制限しようとするのは自然なことだと思わないかい?
スーパーマン:このままわたしを捕まえるつもりなのか?
ジョージ:クリプトナイトがないのに君を捕まえておくことなんか出来るわけがない・・
それに、これが嫌なら2人は諦めてもらうしかないな
スーパーマン:ルーサーにも負けないくらいに用意周到だな・・・
仕方ない・・・着けるがいい
ジョージ:君達ヒーローは素直で助かるよ
契約完了!
ジョージはあの手際のよさでスーパーマンを拘束していった。
まずは、両腕を背中に回し、腕を並べると頑丈な黒い鋼の拘束具で
両腕全体を包み込み拘束してしまった。
床にころがる足枷を嵌め、首輪を拾い上げ装着した。
最後に残った黒いシート状のものをスーパーマンの顔にあて、顔を包み込んでいった。
スーパーマン:な、何を・・んぐっ・・・んんっ・・
ジョージ:安心して・・これは透視を遮るための鉛入りのラップだからさ・・
スーパーマン:・・・(なんてことだ・・・ルーサー以上の策士じゃないか・・・・)
ラップは顔を一周すると体温に反応して縮み出し、
顔の起伏を綺麗に浮き彫りにしていった。
首の途中から上は黒いラバーマスクでも被ったように締め付けられてしまった。
さらに首輪、手枷、足枷が装着されているその姿は奴隷だと言われても
違和感がないほどだった。
スーパーマン:・・んぐっ・・・・
ジョージ:こっちですよ、スーパーマン
首輪から伸びる鎖に引かれ、地下室を進んでいくスーパーマン。
黒いラップのせいで透視が出来ず、今、自分がどういう場所を進んでいるのか?
周りには何があるのか?それすらもわからなかった。
ジョージ:到着しましたよ・・・
スーパーマン:・・・・ぷはっ・・・・・?!・・・・
しばらく歩いた先で顔のラップを外されたスーパーマンが見たのは
予想することなど到底出来なかった光景だった。