Robin in an exam room  

(15)

永遠の被検体

 田舎の高校の犯罪研究会。

その一室に集められたゴッサムの英雄達。

 あれからどのくらい時間が経っただろうか・・・・

バットマンは長時間に渡り種を搾取され続け、薬の作用で気を失うことも出来ず

拷問を受け続けた。

そして、お互いへの罪の意識も消えることもなく、時間と共に増し続け、

文字通り心と体を責め続けた。

 

ジョージ ご苦労様、バットマン。

     君の種も有効に使わせてもらうよ。

 

バットマン ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ジョージ さぁ、君もそろそろ実験に戻らないといけないね。

     もう満足だろう?

     ロビンと同じことされたんだから・・・・

 

 ジョージは床にバットマンをつなぎ止めている液体をライトで溶かし、

バットマンを軽々と抱えて別な部屋へと移動した。

 コウモリのミイラを抱えて移動したその部屋には中央に寝台があり、

コウモリのミイラは台の上に仰向けの状態で置かれた。

 ジョージは仕上げとばかりに、テープの巻かれていない股間部をテープで念入りに巻き始めた。

搾取の直後ということもあり、最高潮に勃起した竿で押し上げられているビキニ。

今までは体の起伏に素直にテープを巻いていたが、股間部だけは力一杯押さえつけテープで封印をした。

膨らみきった竿を強引に押し込められ、ビキニは今にもはち切れそうな程に膨らんでいた。

今までとは違う巻き方を終え、完全にテープによる封印が完了した。 

 この寝台に寝かされている物は博物館で展示されているミイラと何の違いがあるだろうか、

生きたままテープに巻かれているという点だけが違い、姿はミイラそのものだった。

そして、もう1つミイラと違うのはこの哀れな姿は透明なテープによって外から

容易に観察が可能なことだった。

 

ジョージ 喜んでよ、バットマン。

     君の体にもロビンと同じように少ない蒸気で君に生を維持させてくれる

     細菌を入れておいたからさ。

 

バットマン (?!俺も剥製にするつもりか・・・・・・・・・・・・・・・・

       こ、このままでは・・・・・・)

 

ジョージ でもね、剥製は一つでいいから、君は違う処理を施そうと思うんだ。

 

 ジョージはぐるぐるとテープに巻かれた英雄のミイラに向けてボーリングの球ほどの

ガラス玉を見せた。

 

ジョージ 博識なバットマンなら、これわかるよね?

 

バットマン (?こ、これがなんだと言うんだ・・・・・)

 

ジョージ これ、密閉容器でも生物が環境を維持して生きていけるっていう

     地球の模型みたいなものなんだけど。

     小エビが水草を食べて、水草は光合成をして育ち、

     小エビの糞なんかは細菌が栄養にして水草に戻すっていうやつね

 

バットマン (それがいったいなんだと言うんだ・・・・?)

 

ジョージ 君の体にも仕掛けたのさ、これ

 

バットマン (?!)

 

ジョージ 君の体を密閉しても大丈夫な様に二つのシステム、

     心臓とか脳に1つ、肺に1つ仕掛けたんだ。

 

バットマン (い、いったい何をするつもりで・・・・

       そんなことを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか?!)

 

ジョージ ミイラになるのかと思ったかい?

     少し外れだな。正解は・・・・・

 

 ジョージはこれからバットマンが経験する地獄の舞台をお披露目するために

寝台の横のケースを開けて見せた。

 見せるためにそうなっているのか、それとも学校の古さからくるのかわからないが、

寝台が斜めになっており、動けないバットマンにもケースの中を見ることが出来た。

 

ジョージ これ、油なんだ、僕特製の

 

バットマン (油?)

 

ジョージ 君の体を完全に密閉して、この油に漬けこむ。

     君の体を覆うテープは徐々に性質を変え、君の体を生きたまま化石に変えるんだ。

     テープだけがそうなると思っただろう?

     それが違うんだ、このテープにも少し仕掛けがしてあって、

     触れているものにも同じ変化を促すように同化性のテープを巻いてあるんだ。

 

バットマン (?!と、ということは・・・・・・・・・・・)

 

ジョージ もうわかるよね?このテープは化石になりやすい。

     そして、君の体は徐々に徐々に化石に変わっていく。

     だけど、命は維持されたまま。

 

バットマン (な、なんて残酷な・・・・・・・・・・・・・

       な・・・なんとかしないと・・・・・・)

 

 ジョージは動かぬ英雄に独り言の様に、この後起こる事の次第を伝え、

満足そうにバットマンの体に仕上げを施した。

 股間を巻き終え、残してあった目と鼻下の封印に取りかかった。

瞼を指で閉じテープをしっかりと貼り付けた。

油が目に入らないように、そして綺麗に化石になるようにと願いを込めて。

残る鼻下には鼻の穴に詰め物をしてから丁寧に鼻の輪郭に従って封印を施した。

ジョージお手製の薄手のテープは何重に巻いてもバットマンの筋肉隆々の体つきから

起伏を奪うことはなかった。

むしろジョージによって体を固められ、いつまでも変わることのない鍛え上げられた体を

観察することが出来た。

 準備が済んだのを確認し、これから化石に変えられる1匹のモルモットを

愛らしそうに眺め、ジョージはゆっくりと優しくバットマンを油の中に沈めた。

 鉛が沈むように漆黒の油の中に身動き一つ出来ぬままバットマンは沈んでいた。

 

ジョージ 時々完成具合見に来るから安心してよ。

     その時ならロビンにも会えるかもしれないな。

 

バットマン (ま、待つんだ・・・・おい・・・・待ってくれ・・・・・・)

 

 声にならないバットマンの叫びなどジョージの耳に入るわけもなく、バットマンを納めた油の棺はフタを閉められ、

静かに静かに英雄の体を石に変え始めた。

  この事件のあと、バットマン、ロビンの二人を見たものはいない。