Robin in an exam room  

(1)

体育館

 

ロビン バットマンがいない時に独りで調査かぁ・・・運悪いなぁ

 

バットマンがゴードン市警本部長から依頼されたジョーカーのアジトらしき場所の

調査でいないそんな時に、バットシグナルが・・・。

 

不在のバットマンに代わり、ロビンが警視庁の屋上に出向くとゴードンがいた。

ゴッサムシティの外れにあるハイスクールの高校生がジョーカーに襲われた可能性があると連絡があった。

市警では可能性の段階では調査に乗り出すことが出来ず、

やむなくバットマンの留守ではあるがシグナルをだしたのだった。

フリーズに氷漬けにされたり、アイビーの飼う植物に溺死させられそうになったりと

ロビンには1人で動くことに対して苦い思い出が多くあった。

 

ロビン 連絡のあったハイスクールはここか・・・・・

     ずいぶん田舎だなぁ・・・・・・・

 

ロビンが夜に訪れたその場所はジョーカーの現れる気配など微塵もない、

夜になると明かりもなく人通りもない田舎だった。

被害が多くなるように人混みや繁華街などで犯行を繰り返してきたジョーカーだけに、

こんな田舎のハイスクールを襲うとは考えづらかった。

 

ロビン 取りあえず中を調べてみよう・・・・・・・・

 

そのハイスクールは夜だというのに施錠もされず、入口から中に入ることができた。

いや、この田舎では施錠など必要なかったのかもしれない。

 

中は静まり返り、人など何処にもいない漆黒の闇に包まれていた。

ゴッサムのハイスクールでは体格のいい守衛がうろつきそうなものだが、

守衛を雇う必要がないのか、それとも雇う余裕がないのか定かではないが、

守衛すらもいなかった。

 

ロビン 確か・・・体育館で部活の最中にっていう話だったよなぁ・・・・・・

 

バットマンがいない、そしていかにもガセネタを掴まされた雰囲気の調査で、

すっかりやる気がなくなっているロビン。

だらだらと体育館に向かうものの、まるで穀物の倉庫の様な、

ただ屋根があるだけの粗末な’体育館’を見てやる気の減退に拍車がかかった。

 

しかし、やる気の出ない若き正義のヒーロー様の目に予想にしない光景が飛び込んだ。

 

ロビン まさか・・・・そんな!!くそっ・・・・・・

 

ロビンの目に飛び込んできたのは、体育館の中央に目隠しで後ろ手に拘束された

男子学生達が背中合わせに集められている光景だった。

 

ジョーカーなんていない!と決め込んでいたロビンにとって、

背後にジョーカーがいるかもしれない事実に急に緊張しだした。

 

ロビン まずは人質の解放からだな・・・・待ってろ!!

 

ロビンは目の前の男子学生達に詰め寄り、1人ずつ丁寧に拘束を解き始めた。

3人のうち、2人の解放までは順調に終わった

が、最後の1人の猿轡がどうしてもはずれなかった。

 

ロビン おかしいなぁ・・・・結び目がどこにもないぞ・・・・

     待ってろ、もう少しの辛抱だ!

 

自らのつけている特別なグローブのせいもあり、一向に猿轡が外せない。

ただただ静まりかえる体育館とは対称的にロビンの精神状態は切羽詰まったものとなった。

いつ背後からジョーカーに襲われるかもしれない。

バットマンがいない状態で目の前の男子高校生3人を守りながらジョーカー達と

戦えるだろうかと心は焦るばかり。

背後を警戒する意味と既に解放した学生達にジョーカーの行方を聞くために、

振り返ってロビンは話しかけた。

 

ロビン 大丈夫かい?

 

学生 やっぱり助けに来てくれるんだね、ロビン

 

ロビン そりゃそうさ!ところで、ジョーカーはどこにいったかわかるかい?

 

学生 今、バットマンが探してるんだろう?

 

ロビン な、何でそれを! うわぁっ・・・・んぐ・・・・んんっ・・・・

     ん・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・

 

学生のおかしな発現に動きの止まった背後から、

猿轡が解けず解放できていなかったはずの学生が詰めよりロビンの口に布を押し当てた。

口に当てられた布から化学薬品の臭いが、そして意識が遠のき始めていた。

必死に口に向けられている腕を解こうともがくが

力の抜け始めている体では、たとえロビンであっても虚しい抵抗にしか過ぎなかった。

そして、抵抗も甲斐なく力無く腕を下ろし動かなくなったロビン。

 

学生 残念でした。結び目は口の中!

 

学生 にしても、ここまですんなりいくとは・・・

 

学生 じゃあ、部室に運ぶぞ!

 

今までジョーカーに捕まっていたはずの学生達は床に倒れたロビンを抱え体育館を後にした。