第5部

黒く終わる刻

第13話

 

 完全な人形へと変えられた超人は全てをラリルのするままに付き従い、

「最期」の部屋へと足を踏み入れた。

ギャァァァァァァァァァァァァァス!

 この世のものとは思えない恐ろしい叫び声は部屋の中央に控えている生き物から発せられていた・・・・

エイリアン・マザーである。

 スーパーマンを苦しめたエイリアン、彼の体を壊すことに一役かったフェイスハガーは

全てこの母体から生まれ出たものだった。

しかも、ルーサーが宇宙で手に入れたエイリアンそのままではなく、

先の戦いで手に入れていたスーパーマンの血液により強化されていた

無敵のエイリアンとしてその部屋に君臨していた。

 スーパーマンの血を取り込んだためにクリプトナイトによる制御が出来るため、

ルーサーの忠実な下部として管理はいたって簡単であった。

クリプトナイトによる制御という点ではスーパーマンよりも楽だったのかもしれない。

シュルシュルシュル・・・・

 背後より伸ばした無数の触手はスーパーマンを雁字搦めにしラリルから

奪い取るようにして自分の腹部へと手繰り寄せた。

 
ラリル:さようなら・・・スーパーマン・・・・楽しかったよ・・・・・

 
スーパーマン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
 ラリルが首輪の鎖を手放すと抵抗しない人形と化したスーパーマンは

瞬く間にマザーの眼前に引き出された。

体を絡め取る無数の触手のせいで倒れることも許されず跪くような姿勢を余儀なくされた。

グルルルルルル・・・・チュバッ

 獲物を前に腹部にある巨大な空間が真っ二つに縦に割け、左右に開いていった。

中は心臓や臓器が蠢き、グロテスクな肉の壁が広がっていた。

 その奇怪な光景を前にしても自我の崩壊しているスーパーマンは逃げることも、

抵抗することもなく、その場から動くことをしなかった。

ニュルニュル・・・・キュパッ・・・シュルシュルシュル・・・・

 心臓から伸びた1本の触手は粘液にまみれたその体を唸らせて獲物を探し、

スーパーマンを見つけると迷うことなく獲物に襲い掛かった。

先端部分が大きく広がり、筒状になったかと思うと、身動き1つしないスーパーマンの

頭に覆いかぶさり始めたのだ。

そこからは誰もが目を背けたくなるような行為が続くだけだった。

獲物の頭を捕捉した魔の触手は少しずつ少しずつスーパーマンの体を食べ進め、

触手を広げながら体の起伏に沿って体の下方部分へと移動を始めた。

 顔、首そして両肩を抱くようにして両腕ごと腹部まで降り、両足を束ねた状態で

つま先までを味わいながら取り込み始めたのだ。

溶解液により拘束具は解け、フェイスハガーはマザーの体に吸収された。

スーパーマンの自慢のスーツも全て溶けてなくなり、生まれたままの姿で

マザーに取り込まれていった。

 触手の中を通り、マザーの心臓へと飲み込まれていった。

そして、体の一部として取り込まれたスーパーマンは心臓の肉壁と同化していく運命に囚われ、

その哀れな姿をお礼とばかりにラリルに披露した。

 心臓の表面にスーパーマンの前半分のシルエットが浮かぶ。X字に広げられた体は

その肉体美の起伏をそのまま忠実に肉の壁に写し取り、四肢はすでに心臓の一部にされたようで

同化して広がってさえいた。

口や耳には管が通されているらしく、その管の膨らみが見て取れた。

グルルルルルル・・・・・スゥゥゥゥゥ・・・・・

 ラリルへのお披露目は済んだのか、二つに割れた腹部の壁は心臓と囚われの超人を

抱きかかえるように閉じていき、裂け目も修復されて元に戻ってしまった。

もう二度と獲物を離さないとばかりに・・・・。
 

 

地球が悪に支配され滅んだことは言うまでもない・・・。