第3部
悪夢再来
第2話
ロボットに敗北し、妖しげなピエロに敗北し・・・
正義のヒーローとしての彼の心はズタボロだった。
痛めつけられているのは心だけではなく、体も限界ギリギリを走っている状態だったのだ。
ここにきて、エイリアンの襲来・・・
そして、繭の中でフェイスハガーに体中にまとわりつかれ、血を吸い上げられている。
今のスーパーマンにとっては最悪の状況だった・・・。
ジュルジュルジュル
体の各部に張り付くフェイスハガーは口から吐き出す溶解液でスーツやブーツを溶かし
皮膚に直接口を付けて吸血を始めた。
スーパーマン:なっ・・・ぐっ・・・(血を吸っているのか・・・・)
腕を動かそうにも繭に引き戻され、足を動かそうにも地面から離れず繭に包まれた姿勢のまま
動きを完全に封じられてしまった。
その間にも体液は徐々に吸いだされていく・・・ほんの少しの時間さえもないことを物語っていた。
スーパーマン:(し、仕方ない・・・くそっ・・病み上がりなのに・・)
完治していない体でエネルギーの大量放出は危険な行為であった。
しかし、相手はあのエイリアン・・・手を抜いて勝てる相手ではないことはわかっていたが、
選択肢はもはや残されていなかった。
目に力を集中させヒートビジョンで次々に繭を焼き払っていく。
顔、首、胸元と徐々に体の自由を回復していくスーパーマン。
後はない・・・・・・。
そんな思いを胸に抱き、恐怖を背にフェイスハガーを破壊していった。
エイリアン:シャァァァァ・・・ジェァァァァァァァ・・・
亀の歩みで繭を破壊していく獲物目掛けて鋭くとがった尻尾を走らせるエイリアン。
繭もそしてスーツさえもあっさりと貫通し無敵の超人の体内へと
その先端をやすやす侵入させてしまった。
不可侵と思われたあのスーパーマンの腹部へと・・・。
グサッ・・・ドクン・・・ドクン・・ドクン・
スーパーマン:ぐっ・・・はぁ・はぁ・はぁ・・・
腹部に強烈な痛みを覚えつつも繭を焼き払わない限りは体に侵入した尾も除けない、
この現状の打破のために吸血と流血による血液の喪失に耐えながら繭を破り、
一つ一つフェイスハガーを破壊していく・・・
体に侵入した尾に自由を許したまま。
ごそごそ・・・キルルルルルル・・・
仲間達が次々と焼き払われていく中、背中に張り付いていた一匹が繭の破れる衝撃に
合わせて繭の中を移動し地面に身を潜めていった。
元が何匹だったのか、初撃で何匹倒せたのか、今何匹倒すことに成功したのか・・・。
そんな勘定など出来るわけもなく地下深く潜っていった1匹の存在に気が付かず
足に付着していたフェイスハガーを破壊して全てを倒したと考えてしまった。
全てのフェイスハガーを焼き払うまでに予想以上に時間がかかってしまい
大量の血液を失ってしまった。
フラつく体にはまだ巨大な尾が突き刺さったままだったが、
ようやく体を解放することが出来た。
その矢先・・・・。
エイリアン:シェアァァァァァァァァ
スーパーマン:ぐっ・・な、何を・・・・
腕なども使うことなく腹部に突き刺さった尾を使い瀕死の獲物を
自らの腹部に乗せ上げてしまった。
水風船の様な腹部に仰向けに乗せられた超人。
腹部に乗せるという役割を終えたからなのか、尾は引き抜かれスーパーマンの体には
大きな穴と流血跡が残るだけであった。