チェイン・リアクション(1) 

モントリアーニ・ファミリー

 

とある惑星の高級住宅地に、周りの家よりもひときわ目立つ大きな屋敷があった。

広大な宇宙の半分を手中に収めるマフィア、モントリアーニ・ファミリーの屋敷である。

その中では、今パーティーが行われていた。

「集まってくれてありがとう」

緑色の皮膚に白髪の老人、マフィアのボス、シャリース・モントリアーニは

パーティーに集まった仲間達に声をかけた。

「出所するまでよくファミリーを守ってくれた。皆に感謝するぞ。

 さあ、好きなものを好きなだけ食べるんだ!

 そして倒れるまで酒を飲め!」と言うと、パーティー会場が一気にわいた。

 シャリースが椅子に座りグラスを傾けていると、側近の男が近付き、耳打ちした。

「奴の居場所がつかめました」

それを聞いたシャリースはグラスの飲み物を一気に飲み干すとゆっくりと立ち上がり、

「あいつらを書斎に呼べ」と言って会場をあとにした。

 

 書斎の椅子に座ってしばらくぼんやりと庭を眺めていると、

ドアをノックして五人の男達が入ってきた。

一人は背が高く、腰には長い刀を下げている。

その後ろにいる男は小柄で、腰のホルスターに拳銃を収めている。

続いて入ってきた男は体つきのいい男で、ぴったりとフィットする服に筋肉が浮かび上がっていた。

その隣に立っている男は肩にチェーンを巻いている。

そして最後に入ってきたのは、やせ形の、めがねをかけた男だった。

「座れ」

 五人が席に着くと、シャリースは机の引き出しから手紙を出して、机の上に放り出した。

「地球署のドギーから出所祝いの手紙が届いた。

 嫌みたっぷりの内容で胸くそが悪い。

 出所とは言ってもドギーが手を回したおかげで、どこへ行くにもサツがくっついてきやがる。

 これじゃファミリービジネスも満足にできやしねぇ。

 そこでだ。まず手始めに・・・」とシャリースが言いかけた時、刀を下げた男、コルテスが口を開いた。

「ドンにくっついてる奴らを消せって事ですか?」と静かに言った。

シャリースは頷き、 「そうだ。遠ざけるだけでもいい。方法はお前達に任せるから奴らをなんとかしろ。

そのあとでお前達には地球へ向かってもらう。

宇宙船も用意してある。・・・それと金もな」

「地球? あんな腐った星でなにを?」

「俺をムチョにぶち込んだデカブレイクが地球署にいるんだ。

俺に変わって奴に礼を言ってきてほしい。

そっちも方法は問わない。好きなだけやれ。

ただし殺すな。生きたまま捕まえて俺の前に引きずり出せ」

「わかりました。ご期待に添えるよう努力します」

 それを聞いたシャリースはにやりと笑い、 「頼んだぞ・・・」 と呟くように言った。