甦った悪魔(1)

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 敵の目の前で性を強制的に搾り取られ、その効果により体が石になっていく一輝。

首から下は完全に石に変わり、遺跡で目撃したギリシャ彫刻へと加速しながら近づく。

遺跡の主の性への攻撃が止んだと思った矢先、これ以上ない苦痛が哀れな聖闘士を襲った。

 

一輝:うっ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・

 

 フードの中で一輝の生命力を吸い込み続けるガタノゾーア。

かろうじて生命力が残っているために抑えられた石化も、最後の砦が崩壊を始め再侵攻を始める。

 聖闘士の中でもかなりの力を有する一輝の力を漏らすことなく取り込むガタノゾーアの体は

その恩恵にあずかり、体中から闘志がみなぎり、活力に満ち満ちた姿へと変わり始めた。

 

一輝:(瞬・・・・俺は・・・・もう・・・・・)

 

 薄れゆく意識の中で、ついに一輝の体は完全な石に変わってしまった・・・・物言わぬ体へと。

体には性も生も残されず、無機質な物体に成り下がった。

生前見せたことのない苦痛に歪んだ、そして敗北に染まった敗者の表情を残し

動かぬオブジェへと姿を変えた。

こうやってあの彫刻達も姿を変えたのだろう・・・いつの時代の者かはわからないが、

きっと一輝が受けた苦しみと変わらないのは誰でも予想が出来た。

 

ガタノゾーア:では、デザートもいただくとしますかねぇ・・・・

 

 体を無機物へと変えられた一輝の魂が体から抜け出そうとしていたが、

石に変えてもなお止まないガタノゾーアの吸引により、昇天し開放されるはずの魂までもが

ガタノゾーアの口に飲み込まれていった。

文字通り、何一つ残さずに一輝の体から全てを奪い取ったのである。

そこに残されたのは、英雄の骸ではなくただの石像だった・・・一輝の姿をしただけの。

 

ガタノゾーア:・・・実に旨い目覚めの飯であった・・・・ふふふ・・・・・・

 

 黒い煙に体を包まれ、姿を消したガタノゾーア。

 

一輝:・・・ん?・・・・お、俺は・・・・・・?!

 

 生き物としての全ての力、エネルギーを奪い取られ、

その骸を遺跡に晒すことになってしまった一輝。

彼はそれが最期の瞬間、そう聖闘士として、人間として、

生き物として全てが終わったと思っていた・・・

いや、誰もがそう思う瞬間だったに違いない。

 しかし、魂が抜き取られ体内に取り込まれたあと、

ガタノゾーアは一輝の魂をさらに堕としめて最高の味に仕上げてとどめをさそうとしていたのだ。

 一輝の意識体は肉の壁に拘束されて目を覚ました。

両肩から先が壁に取り込まれ感覚がないのだ。両足は、ふとももから先が腕と同様に

壁に取り込まれて感覚がない、まるで自分の体ではないかのように、

動かそうとしても動かない・・・でも押さえつけられているという感覚もないし、

密閉されているという感覚もない。

まるで一体化しているかの様だというのが正しい表現なのだろう。

 

一輝:・・・こ、これは・・・・一体・・・?!

 

 肉の壁から触手が無数に伸び、一輝の体を撫で回し、責め上げる。

触手の海に一輝が埋もれたように見えるほどに獲物の体に触手が襲い掛かった。

クロスは無残に壊され、スーツも破り捨てられた。

一輝を守るものは何もない・・・抵抗力も・・・・。

襲い掛かる触手は容赦なく、耳や鼻・・・ありとあらゆる穴からの侵入を許し、体を犯され始めた。

 

一輝:んぐっ・・・んんっ・・・んん・・・・・・・・

 

ガタノゾーア:極上の色に染まるまで・・・魂を黒く染めて我の一部となるがよいわ・・・・

        ふふふ・・・・・

 必死に抵抗を試みる一輝の体は責め上げられる度にズブズブと肉の壁に沈み始め、魂が取り込まれる。

責めに対して正義の心が負けるたびに妥協した分だけ体が沈んでいく・・・。

 ガタノゾーアの中で終わることのない恥辱を受け、一輝の魂は堕落していった。

 雨の降る遺跡には無数の彫刻に紛れ、苦痛に歪んだ姿を晒して・・・。