アバレッド陵辱(3)

 

 トリノイドが用意した薄暗い部屋の中央におかれたリングの上で、

アバレッドはバーミア兵のなぶり者にされていた。

 脇腹を蹴られて吹っ飛んだところを顔面にパンチを浴びせられ、

倒れると無理矢理たたされてまた殴られる・・・。スーツもたびた

び爆発を起こして、もう耐久性もほとんど失われ始めていた。

「くっ・・・」

 バーミア兵に首を掴まれて無理矢理たたされ、胸にあのライフル

を突きつけられて弾を撃ち込まれる。もう悲鳴すら出せず、着弾す

る衝撃に身を任せるしかなかった。

「そこまでにしておけ。私の楽しみがなくなる」

 トリノイドが言うと、バーミア兵達はアバレッドを担ぎ上げて、

リングの外へ放り出した。

 ドサッと床に落とされ、痛みにアバレッドがもがく。

「こっちへ連れてこい」

 脇に控えていたバーミア兵に言って、足元にアバレッドを連れて

こさせた。

「さて、どうする? 武器は全て奪った。対抗する手だてはもう無

い」

 トリノイドは棍棒を握りしめて、アバレッドの頭を小突いた。

「降伏しろ。命だけは助けてやる」

「・・・嫌だ」

 欠けたヘルメットから覗く凌駕の目が、トリノイドを睨み付ける。

「そりゃ残念だ。もう次はないぞ」

 トリノイドは棍棒でアバレッドの頭を殴った。床に倒れたアバレッ

ドの背中をトリノイドが踏みつけ、棍棒でしつこく頭を殴る。

 頭の中で赤、白、黄色、色んな色が花火のように散る。一発殴ら

れると頭の芯が痺れたようになり、さっきの色がスパークして、痛

みを感じる隙もなく、棍棒が振り下ろされる。

「ぐっ・・・うぅ・・・」

「そろそろかな?」

 トリノイドは棍棒を放り出して、アバレッドの体を起こすと、後

ろから羽交い締めにしたのである。

「何を・・・」

「テレビでも見ようじゃないか」

「え?」

 トリノイドが指を鳴らすと、部屋の隅に置いてあった水瓶から、

生き物のように水が上り、テレビのスクリーンのように横長に広が

る。そして、映し出された映像を見て、アバレッドは思わず絶句し

た。

「うがぁッはああぁッ!」

 トリノイドの分身が、アバレブルーを斬りつけたのである。

「三条さん!」

「いや、君達には恐れ入るよ。何が楽しくてやってるんだかしらな

いが、彼らは半分死にかけてる。それなのに、勝ち目がないと分かっ

ているのに、こうやって向かってくる。その勇気は褒めてやらねば

ね」

 アバレイエローが銃撃を受けて吹っ飛んだ。地面を転がって立ち

上がろうとした時にはもう、トリノイドの剣が目の前に迫っている。

イエローを斬りつけようと剣を振り下ろすと、アバレブラックが盾

になって、頭からズバッと斬られてしまったのである。

 スーツが大爆発を起こして、アバレブラックが倒れる。トリノイ

ドはブラックの背中を踏み越えて、アバレイエローを斬りつけたあ

と、あの液体に包み込んで爆発させた。

 イエローが地面に突っ伏すると、アバレブルーが雄叫びを上げて、

スーツの柄模様が浮き上がる。

 アバレモードになったアバレブルーが、剣を振り回しながらトリ

ノイドに突っ込んでいく。結果は目に見えていた。

 剣を弾かれ、トリノイドの剣が、アバレブルーの腹に突き立てら

れたのである。

「ぐああああッ!」

 剣から電撃がくわえられて、アバレブルーのスーツが大爆発を起

こした。

 剣を引き抜くと、アバレブルーが地面に倒れる。トリノイドはア

バレブルーの頭を掴みアバレブラックのところへ引きずっていくと、

同じようにアバレイエローも引っ張ってきて、再び液体に包み込ん

だ。

 見る見る上空へと上っていく三人を、凌駕は涙ぐみながら見つめ

ていた。

「さあ、お前の不注意が引き起こした悲劇を見るがいい」

 三人を包んだ液体が爆発した。白いもやの中から落ちてきたのは、

アバレブルーのヘルメットだった。

「そんな・・・」

 まるでそれは、凌駕にとってスローモーションを見ているみたい

だった。ゆっくりとアバレブルーのヘルメットが地面に落ちてくる。

 そしてコンクリートに叩きつけられ、粉々に砕け散ったのである。

「あっ・・・あっ・・・なんで・・・」

 アバレッドの体から、力が抜ける。

「どうした?」

 トリノイドがアバレッドから離れると、アバレッドは何かをブツ

ブツ呟きながら、大の字になっていた。

「ちとショックを与えすぎたかな?」

 トリノイドは心にもない事を言って、小さなナイフを出すと、ア

バレッドの股間のところを引っ張ると、スーツに突き刺したのであ

る。

 強化スーツも役に立たなくなるほどの衝撃を与えられて、小さな

ナイフの刃で、スーツが切り裂かれていく。

 二センチくらい切り取ると、トリノイドはその中にあの液体を流

し込んだ。アバレッドの股間がふくれあがり、フニャフニャのアレ

にまとわりつく。

「なっ・・・」

 アバレッドが何かを言いかけた時だった。その液体がうねうねと

動いて、アバレッドのアレを刺激し始めたのである。

「んあぁっ!」

「おい、いきなりそんな声を漏らすなよ」

「へっ・・・変態! やめろ!」

 液体の「手」は、両側から包み込むようにアレを刺激して、じん

わりと染み渡る快感が、下半身から頭へと駆け抜けていく。

 両側から挟むように揉みほぐし、先端をいじくり回し、睾丸を撫

で回す。

「はっ・・・ふぅっ・・・」

 絶望と無力感に支配された体は、もう凌駕の思うようには動かな

い。

 トリノイドはナイフで今度はアバレッドの秘所の上を切り裂き、

液体の性器をゆっくりと差し込んだのである。液体の性器の先から

細い触手が何本も延び、アバレッドの秘所をとろけさせながら、突

き進んでいく。

「うあっ・・・」

 奥へと入り込んだ性器で、アバレッドの中を蹂躙する。トリノイ

ドがゆっくりと腰を振り始めると、アバレッドの嬌声が更に大きく

なっていった。

 あの液体には快感のみを増幅させる作用があるのだ。もちろんそ

んな事は知らないアバレッドは、犯されて喘ぐ自分が不思議に思え、

また恥ずかしかった。周りにいたバーミア兵が集まってきて、その

様子をしげしげと見つめているのだ。

「あとでお前達にもおこぼれをやる。仲間の恥辱を十倍にして返し

てやるのだ」

「やめっ・・・く・・・のむ・・・」

「何だって?」

「頼む・・・やめっ・・・」

「やめない」

「あっ・・・あぁっ!」

 アバレッドの体がビクンと動いて腰を浮かせる。そして身震いす

ると、大きく息を吐いたのである。

 トリノイドがアバレッドの性器に絡みついていた液体を抜くと、

その中に白濁した体液が漂っていたのだ。

「情けないな」

 トリノイドはその液体をアバレッドの顔めがけて投げつけた。バ

シャッとそれがはじけて、凌駕自身の白濁がヘルメットのバイザー

にねっとりと絡みつく。

 トリノイドが腰の動きを速めると、ヌチャグチャといやらしい音

が響き始めた。

「ほら、聞こえるだろう? お前の体が悦んでいる音だ」

「ち、違う・・・」

「違わない。お前の穴から漏れてる音だぞ? そら、お前のそれを

よく見ろ」

 言われて、アバレッドが顔を起こす。自分の性器が射精したあと

だというのにパンパンにふくれ、トリノイドの越塚委に翻弄されて

ビクビクとうずいているのだ。先端の感覚がない。あるのはただ悶

々とした快楽の渦だけである。

「あひっ・・・あっぐ・・・あっ!」

 また、アバレッドが射精した。スーツにじんわりと、白濁液が浮

かび上がり、下腹に生暖かい感触が広がる。

 じわじわと精液でスーツの股間を濡らしながら、凌駕はあの『揺

らぎ』に近付いた事を後悔していた・・・。

「さて、待ちきれない奴もいるだろうからな」

 とトリノイドが呟いて、自分の性器を引き抜くと、今度はアバレッ

ドを四つん這いにさせて、欠けたヘルメットから見える口へ、無理

に押し込んだのである。

 ぶよぶよとしたものが喉の奥に当たり、思わずアバレッドが噎せ

返る。

「よし、お前、後ろを使っていいぞ」

 と、トリノイドがバーミア兵を指さすと、バーミア兵は大喜びで(?)

後ろにしがみつき、凶悪な形の性器を押し込んだ。

「んぐぅぅっ!」

 前と後ろを同時に犯され、まだ衰えない凌駕のアレがビクビクと

スーツの中を動き回り、止めどなく精液をほとばしらせる。

 そうやって、アバレッドは散々トリノイドとバーミア兵に陵辱し

尽くされたのだ。

 最後のバーミア兵が精を放ち、身も心も疲れ果てて地面に座り込

む。そして、目の前にいる宿敵アバレッドの姿を見て、満足そうに

頷いた。

 スーツを裂かれ、トリノイドとバーミア兵の精液にまみれ、自ら

が放った精液でスーツの股間をびしょびしょに濡らし、尻のあたり

からも精液をダラダラと垂れ流して、小刻みに震えている。

「作戦は・・・上手くいったようだな・・・」

 疲れ切ったトリノイドは水をがぶ飲みしながら、再びバーミア兵

に取り囲まれて犯され始めたアバレッドを眺めていた。

 秘所に一本の男根が差し込まれると、バーミア兵がアバレッドの

体を抱き起こした。そして、今度は前から、バーミア兵が男根を無

理矢理秘所に突き立てたのである。

 アバレッドが苦しそうな呻き声を上げる。だが、それに構うこと

なく、口にも押し込んで、両手にも性器を持たせた。

「気の済むまで遊んでもいいぞ」

 トリノイドが高笑いを上げると、バーミア兵達は一気に行動を開

始した。秘所に突っ込んでいる二人が動き出し、両手と口に突っ込

んでいる三人も腰を振り始める。

「んぐッ・・・ふぐぁ・・・」

 狂宴は、その後も延々と続いたのである。

「うああぁんっ」

 何でこんな目に遭わなくちゃならないんだ・・・。口の中に精を

受け止めた凌駕は、心の中で自分を呪い始めていた。

 顔に精を吐き出され、秘所にも生暖かい体液を注ぎ込まれ、そし

て自らもスーツの中に射精する。

「まだまだ足りないようだな。よし、こいつを磔にしろ」

 トリノイドの命令で、バーミア兵達がアバレッドを再び磔にする。

「降伏するならここでやめてもいい」

 トリノイドはそう言って、アバレッドの腹を思い切り殴った。ト

リノイドの拳がめり込んで、アバレッドの秘所からバーミア兵達の

精液が噴き出す。

「誰が・・・」

「そうか・・・。なら解放してやる」

「え?」

 トリノイドは、あの液体を再び吐き出すと、アバレッドの股間と

秘所にそれを忍ばせたのである。

「うああ! あっだっ・・・は・・・腹・・・がッ・・・」

「中で動いているのが分かるか? これを中に入れたままで返して

やる。お前の無様な負け姿を見せてやるがいい。さっきの奴らはみ

んな偽者、仲間はまだ生きてる」

 トリノイドはそう言って、アバレッドの腕の高速具を取り外した。

ドサッとアバレッドが床に落ちる。

「さあ、来い」

 トリノイドは、アバレッドの頭を掴んで、部屋の外へと引きずっ

ていった。

「あっ・・・んぁっ・・・」

 アバレッドは、あの『揺らぎ』から元の世界へと戻ってきた。

「大丈夫か!?」

 と、ブルー達が駆け寄ってくる。

「来ちゃ・・・ダメです・・・」

 足がもつれて、アバレッドが倒れると、ブルーがすかさず助け

起こした。

「何だ?」

「来ちゃ・・・触らないで・・・」

 様子がおかしい事に気付いたアバレブルーが、レッドの股間に

視線を向けて、目を丸くした。

「な、何をされたんだ?」

「逃げてください・・・」

「一体何があったんだ!?」

「早く・・・奴が来ます・・・」

 アバレッドがそう言った直後、『揺らぎ』の中からトリノイド

が姿を現した。

「同胞の痛みを、お前達にも味わってもらうぞ」

 トリノイドが剣を抜き、アバレブラックに向かって突進する。

 地面に横たわったままのアバレッドは、仲間が無惨に敗れてい

く様を横目に、あの液体にコントロールされて精を吐き出し続け

ていた。

 イエローが液体に包まれて爆破され、らんるの姿になって地面

に落ち、らんるをかばおうとしたブラックがトリノイドの剣に倒

れ、そしてブルーがアバレモードになって突っ込み、腹に剣を突

き刺されて倒される・・・。

 <向こうの世界>で見た事が、ほぼそのまま自分の目の前で再

現されていく。

 もう・・・これまでか・・・。

 アバレッドは立ち上がろうともせず、仲間達の姿を脳裏に焼き

付けながら、そっと瞼を閉じたのだった。