ウルトラマンAの敗北

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キラーはゆっくりと楽しむように、キラーのシンボルをエースの臀部から抜き取ると、

エースの前面にまわりこみ、静かに点滅するエースのカラータイマーのあった場所を

覗き込んだ。

薄っすらと半透明だった円形のカラータイマーは溶解し、ぽっかり空いた穴の奥から、

弱いがしかし燃えるような青い閃光が点燈して見える。

「これが、やつのエナジー。ウルトラマンエースの全てか。」

「徐々に回復してきたようだな、急がねば。」

キラーは自らのベルトまさぐると、そのバックルからダイヤの形をした薄黒く透明な

鉱石を取り出した。

そして、その鉱石を溶解したタイマー部分にねじ込んだ。

その薄黒く透明な鉱石は、周辺のエースの皮膚を取り込み、またたく間にエースと

一体化した。

エースの胸の上で、そのダイヤモンドの形の鉱石は、くすんだ青色の光を放ち始めた。

いまや、これがエースのカラータイマーだ。

キラーはエースに真っ直ぐに向き直ると、その逞しく盛り上がった赤い胸を、

ぴったりとエースの胸に重ねた。

そして、その胸の中心でダイヤ形状にくぼんだ赤黒く怪しく点滅するキラータイマー

の上に、エースの新たなタイマーをぴったりと重ね合わせた。

寸分たがわぬ形で重なり合うタイマー。喜び共振しあう二つのタイマー。

そして、青く燃えるエースのエナジーが、黒色に透けたフィルターを通し、エースの

タイマーからキラータイマーへ静かに写し取られた。

やがてエースのタイマーは赤黒く変色し、点滅が激しくなったかと思うと、

突然、消えかかる。

しかし、いまだ、一筋の赤黒い灯りがタイマーの真ん中で小さく揺れていた。生存を

保つ最低限のエナジーがエースに残される。

キラーはそれを合図に、自分の赤い胸を、エースの胸からひき剥がした。

キラーの真っ赤な胸には、以前の数倍にも光量を増したキラータイマーが、無敵を誇る

ように、眩しく青白い輝きを放っていた。

「はっはっはっ。エースの力を手に入れたぞ!。エースの全てを手に入れたぞ。!」

 

キラーは、最後に赤い手をそっとエースの銀の胸板にそえ、赤いその繊細な指先で、

弱々しく赤黒く灯るタイマーを愛撫した。

「エースよ。君は俺の大事なエナジーの供給源だ。これからは、青々と輝く前に、

全てを吸収させてもらう。

 エースよ。君のタイマーはもう二度と、青く輝く事はない。

この俺だけの為に、永遠にその赤黒い灯を灯し続けるのだ。!」