
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ヤプール星人は当惑していた。
無敵のウルトラマンAを倒す最終戦略が考案され、その一環として、エースの地球での
活動調査が徹底して行われた。
ヤプール星人が繰り出す超獣はことごとくエースに倒される中、ヤプールは自らの知力
を結集し完成させてたスーパーコンピュータで過去の戦いを解析分析した。
99.999%エースは無敵。との判断が出てしまった。
ヤプールは自らの発想の転換を求められていた。
「今のままだと、絶対にエースに勝てない。くっっ。」
崖っぷちにたたされたヤプールは囮超獣ゼミストラーに特殊な処置を施した。その血液
に発信機能をもつパルスリキッドを溶解させ、その肉片を浴びたものを追跡できる仕掛
けを施したのだ。
エースにメタリウム光線を至近距離から使わせることで、爆破時に生じる肉片をエース
に浴びせ、エースを追跡した。
そして、とうとう、ヤプールはその地球人としての活動生態を突き止めた。
なんと、エースはTACの隊員、北斗星司と南夕子の二人が変身していたのだった。
しかし、またも、ヤプール星人は当惑していた。
暫くして、エースはルナチクスを倒した後、南夕子が、北斗星司と別れ自らの星の再建
の為、冥王星へと旅だったのだ。
全宇宙に張り巡らしたヤプールの情報網に引っかかってきたウルトラ一族に関する情報
では、表向きの理由は、月星人である南夕子が、自らの星の再建の為ため冥王星に旅立ったとある。
(んっ、何かある。)
ヤプールの直感が何かを感じた瞬間だった。
狡猾なヤプールの眼が一瞬輝いた。
(きっと背後に何かある。それを突き止ることができれば、0.001%の可能性に、
少しは光が見えてくるかもしれない。ふっふっふっ。)
ヤプールは即座に、行動を起こし自ら冥王星に飛んだ。
夕子は、滅んだ月の王宮調査の為、月に来ていた。
ヤプールは、その情報を嗅ぎつけ、月へと向かった。
自らのホームではないため、どうしても護衛が甘くなる中、ヤプールは夕子の私室に忍び込んだ。
驚愕する夕子。
ヤプールは催眠光線を発し、夕子の脳波をコントロールした。
夕子の中では、ヤプールは今は亡き親愛なる月星人の父となっていた。
(楽なもんよ。既にエースではない夕子は単に、か弱き月星人にすぎない。)
「夕子よ、なぜ、お前はエースの任を外れたのだ。冥王星の再建の為と聞いているが本当か。」
「。。。。。。。」
「本当かと聞いているんだよ。」優しく話しかけるヤプール。
「いいえ。。。。。。」
「さぁ、続けて。」と、促すヤプール。
「違うの・・・・。結果として私は、その任を解かれたの。」
「どうしてなんだ。夕子。」更に、ヤプールは夕子に答えを促した。
「私は北斗隊員の抑止の任を帯びていたの。エースはまず、エース自ら、地球人の北斗
隊員と組むことを選んだ。
そこに、ウルトラ一族の意思が入り、私を北斗隊員のもとに遣わせ、二人同時にエース
に変身するように組み込まれたの。」
「一族の意図は?」鋭く問いかけるヤプール。
「北斗隊員は、女性に奥手だったの。。。。というか女性は駄目だったの。そこで、私に
何とかしろと。」
「結果は?」詰め寄るヤプール。
「駄目だったは。それでお役御免となった訳なの。」
「エースは?」ヤプールは更に畳みかける。
「北斗隊員を選んだのはエースよ。言いたいことはわかるでしょ。」
「最後に一つ聞こう。エースの弱点は?」ヤプールは最後の問いを夕子に投げかけた。
「『最大の急所であるカラータイマーは、最大の急所により劣化する。』という伝説の言い伝え。。。」
(睡眠光線が切れてきたようだ。まあ、仕方がない。)
「もういいよ。夕子。疲れたろ。ありがとう。今日は安らかに眠れ。」ヤプールは再び優
しい月星人に戻り微笑んだ。
「父さん・・・・・。」と、つぶやく夕子。
ヤプールは思わず喝采した。
(そうだったのか!エースよ。いや北斗星司を調べ上げれば、0.001%の壁を崩せるかもしれない。)
(ん、急所であるタイマーは、急所により劣化する。。。。おぼろげながら見えてきたぞ。)
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