ウルトラマンAの敗北

=  1  =

 

ヤプール星人は当惑していた。

無敵のウルトラマンAを倒す最終戦略が考案され、その一環として、エースの地球での

活動調査が徹底して行われた。

ヤプール星人が繰り出す超獣はことごとくエースに倒される中、ヤプールは自らの知力

を結集し完成させてたスーパーコンピュータで過去の戦いを解析分析した。

99.999%エースは無敵。との判断が出てしまった。

ヤプールは自らの発想の転換を求められていた。

「今のままだと、絶対にエースに勝てない。くっっ。」



崖っぷちにたたされたヤプールは囮超獣ゼミストラーに特殊な処置を施した。その血液

に発信機能をもつパルスリキッドを溶解させ、その肉片を浴びたものを追跡できる仕掛

けを施したのだ。



エースにメタリウム光線を至近距離から使わせることで、爆破時に生じる肉片をエース

に浴びせ、エースを追跡した。

そして、とうとう、ヤプールはその地球人としての活動生態を突き止めた。

なんと、エースはTACの隊員、北斗星司と南夕子の二人が変身していたのだった。



しかし、またも、ヤプール星人は当惑していた。

暫くして、エースはルナチクスを倒した後、南夕子が、北斗星司と別れ自らの星の再建

の為、冥王星へと旅だったのだ。

全宇宙に張り巡らしたヤプールの情報網に引っかかってきたウルトラ一族に関する情報

では、表向きの理由は、月星人である南夕子が、自らの星の再建の為ため冥王星に旅立ったとある。

(んっ、何かある。)

ヤプールの直感が何かを感じた瞬間だった。

狡猾なヤプールの眼が一瞬輝いた。

(きっと背後に何かある。それを突き止ることができれば、0.001%の可能性に、

少しは光が見えてくるかもしれない。ふっふっふっ。)



ヤプールは即座に、行動を起こし自ら冥王星に飛んだ。

夕子は、滅んだ月の王宮調査の為、月に来ていた。

ヤプールは、その情報を嗅ぎつけ、月へと向かった。

自らのホームではないため、どうしても護衛が甘くなる中、ヤプールは夕子の私室に忍び込んだ。

驚愕する夕子。

ヤプールは催眠光線を発し、夕子の脳波をコントロールした。

夕子の中では、ヤプールは今は亡き親愛なる月星人の父となっていた。

(楽なもんよ。既にエースではない夕子は単に、か弱き月星人にすぎない。)

「夕子よ、なぜ、お前はエースの任を外れたのだ。冥王星の再建の為と聞いているが本当か。」

「。。。。。。。」

「本当かと聞いているんだよ。」優しく話しかけるヤプール。

「いいえ。。。。。。」

「さぁ、続けて。」と、促すヤプール。

「違うの・・・・。結果として私は、その任を解かれたの。」

「どうしてなんだ。夕子。」更に、ヤプールは夕子に答えを促した。

「私は北斗隊員の抑止の任を帯びていたの。エースはまず、エース自ら、地球人の北斗

隊員と組むことを選んだ。

そこに、ウルトラ一族の意思が入り、私を北斗隊員のもとに遣わせ、二人同時にエース

に変身するように組み込まれたの。」

「一族の意図は?」鋭く問いかけるヤプール。

「北斗隊員は、女性に奥手だったの。。。。というか女性は駄目だったの。そこで、私に

何とかしろと。」

「結果は?」詰め寄るヤプール。

「駄目だったは。それでお役御免となった訳なの。」

「エースは?」ヤプールは更に畳みかける。

「北斗隊員を選んだのはエースよ。言いたいことはわかるでしょ。」

「最後に一つ聞こう。エースの弱点は?」ヤプールは最後の問いを夕子に投げかけた。

「『最大の急所であるカラータイマーは、最大の急所により劣化する。』という伝説の言い伝え。。。」

(睡眠光線が切れてきたようだ。まあ、仕方がない。)

「もういいよ。夕子。疲れたろ。ありがとう。今日は安らかに眠れ。」ヤプールは再び優

しい月星人に戻り微笑んだ。

「父さん・・・・・。」と、つぶやく夕子。



ヤプールは思わず喝采した。

(そうだったのか!エースよ。いや北斗星司を調べ上げれば、0.001%の壁を崩せるかもしれない。)

(ん、急所であるタイマーは、急所により劣化する。。。。おぼろげながら見えてきたぞ。)