連載小説
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運命のいたずら
「・・・2枚交換よ!」
「俺は1枚だ。」
人形達がせっせと何か作業をしている部屋の中で、ムーンとアリスは魔理沙の見守る中で椅子に座りながらも熾烈な心理戦と言う争いを繰り広げているようであった。
人形達はビーズの首飾りを作っていたりだとか、編み物をしていたりしていたが、規則正しく音が響き逆に心地よい。
テーブルの上には1つの山札があり、対峙した二人はお互いに5枚のカードを持っているのであった。
そして五個のコインをお互い持っており、その中の1枚を前に出す。
やっているのは、ポーカーで事の発端は、魔理沙の思惑による物であったようだ、アリスと勝負させる為だけに此処に呼ばれたと言う事らしい。
人形の作業音しか聞こえずに静寂のみが、この場を支配しているのだが、アリスが不敵に笑いながら言葉を言うのであった。
そして続けてムーンも無表情のままアリスの言葉を聞いて静かに言葉を言うのであった。
交換するカードをテーブルの上に置いて山からカードを捨てた分だけ引く。
「2枚、更に賭けるわ」
「・・・此方も」
お互いにコインを追加でどれだけ賭けるのか決めるのであったが、アリスの方は強気で余裕げに掛け金を増やすことを選択するのであった。
ムーンは静かに呼応するだけで少々、弱気とも言えるような感じであった。
そしてショウダウン、ムーンとアリスはテーブルの上にお互いの五枚の札を公開するのであった。
絵柄はトランプではなくタロットカードの小アルカナの様であった。
ムーンは剣のWと硬貨のW、剣の[と聖杯の[のツーペア・・・
アリスは杖、聖杯、硬貨のVのスリー・オブ・ア・カインドであった。
「・・・私の勝ちよ。」
「負けたか・・・」
「おい、勝ってくれないと困るぜ!」
「あと3回ある、大丈夫だ」
緊張感が解かれた感じでアリスとムーンは息をついてお互いに感想を言うのであった。
魔理沙の方は単調な感じで勝負をしているムーンに対して不満でもあるのか、ムーンに対して少し怒っているような言葉を言ったが、ムーンの方は冷静に言葉を返した。
どうやらゲームはポーカーで4回やってコインの多かった方の勝ちというルールな様だ。
それもそのはずだ、お互いの持ち物を賭けて勝負しているらしいのだ。
こういう心理戦が苦手な魔理沙の代わりに霊夢を呼ぶ予定だったらしいのだが、男の方が勝負に強いと思っていたのか連れてこられたのだ。
再び静寂が訪れて人形達の作業音がまた部屋の中を支配するのであった。
「次だ、次・・・」
ムーンは言い聞かせる様にテーブルのカードを全て山に戻してカードを切るのであった。
次は勝たなければ魔理沙に合わせる顔が無い。
お互いのコインはムーンが2枚、アリスが8枚、勝負はいきなり厳しい局面に入ってきた。
ムーンは慣れた手つきでカードをお互いに5枚配り、山をテーブルの中央に置くのであった。
早速、配ったカードを見るのであったが、杖、剣、硬貨のU、聖杯のZと]のスリー・オブ・ア・カインド、つまり、いい手であった。
お互いにアンティとして1枚は絶対に渡さなければならない。
残り1枚、厳しい展開の感じがいきなり襲ってくるのだが、この手なら負けないだろう。
「1枚交換・・・」
「・・・・・3枚よ」
「俺は全賭けだ、そっちは?」
「・・・降りるわ!」
ムーンはいい手なのを気取られまいと、静かに言葉を言ってフウと息をつくのであった。
アリスは先ほどとは打って変わって少々、悪い手なのか考えた後に言葉を出すのであった。
ムーンは勝負に出たのか手元に残っているコインを全て、まあ、1枚だが、賭けることを宣言するのであった。
アリスの方は勝負を諦めているのか、静かに言葉を言うのであった。
ムーンは心の中で舌打ちしながらも相手の賭けたコインを受け取るのであったが、3枚と7枚でまだまだ差がある。
ムーンは緊張で疲れてしまったのかカードをテーブルの上に置いて手を伸ばして後ろに伸びるのであった。
後ろには家具があり、上にはビーズを作っている人形が見えた、ムーンは、多少、見つめた後に再び目の前を向いた。
今度はアリスが山にカードを集めて切り配る。
ムーンは配られたカードをテーブルの上に裏のまま並べて、見ることはしないのであった。
「・・・どうしたの?」
「このまま変えずに、コインを全賭けだ」
「・・・・2枚交換よ!」
アリスは青年の不審な行動に首を傾げて聞きながらも、ムーンは無表情のまま静かに言葉を言うのであった。
よほど自身があるのだろうか、それともハッタリだろうか。
アリスの方はムーンの行動に驚いているのか、少々、慌てながらもプレーを続けるのであったが、勝負に出るか出まいかは迷っているようだ。
魔理沙の方はムーンの方を少し呆けた感じで覗いており行く末を心配しているようであった。
「早く決めて貰おうか?するかしないのか・・・」
「・・・・降りるわ」
ムーンはアリスに対して高圧的な態度と言葉で責めるのであった。
ムーンの思惑通りという訳か、アリスはフウと息をついた後に静かに勝負に出ないことを宣言するのであった。
これでコインは4枚と6枚、青年はアリスのカードと自分のカードを再び山に戻して再び5枚、配り直す。
ムーンは先ほどと同じく配られたカードをテーブルに並べるだけであった。
最後の勝負だ、お互いと魔理沙に緊張感が走る。
「このまま変えずに全賭けだ・・・」
「おい、ムーン、勝つ気あるのか?」
「俺は至って真面目だ、黙って見ていてくれ・・・」
「・・・・2枚交換。」
ムーンの二回目の不可解な行動に関して魔理沙は少々、イライラしているのか青年に対して声を掛けるのであったが、ムーンは冷静に魔理沙をあしらうだけであった。
アリスはムーンの行動に疑念を懐いているようでまた、先ほどと同じように勝負に出るか出ないかを悩んでいるようだ。
ムーンは無表情のままアリスを睨むように見ており出方を伺うのであったが、アリスの方は半ば無言の状態になってしまうのであった。
しかし、カード交換を宣言して先ほどと同じようにカードを捨てて引いたのであった。
ムーンはアリスを見たまま動かず、アリスの方も青年の顔色を伺ったまま動かなかった。
「こっちも全賭けよ!」
「俺のコインが足りないが・・・」
「そうね、他の持ち物も賭けて貰おうかしら」
「分かったぜ・・・ムーン、負けたら責任とって貰うぜ?」
アリスは結局、ムーンのハッタリだと見たのだろう、此処で勝負を終わらせるつもりなのか、ムーンと同じように全賭けを宣言するのであった。
ムーンは動揺せずに無表情のままアリスに対して呑気に自分の賭けるコインがないことを言うのであったが、アリスの方は魔理沙の方を見て悪戯げに微笑みながら言葉を言った。
魔理沙の方は了承しながらもムーンに対してフウと息をついた後にムーンに対して言葉を言うのであった。
ムーンは動揺を隠していたが、正直言うと不味いと思った。
今更だがこれまで裏返しにしたままの勝負はハッタリだ。
このまま押し通せば引き分けで平和に終わるだろうと踏んでいたが、アリスの方は勝つために勝負に出てきた。
運命の時、ショウダウン・・・
アリスの手は一件バラバラながらも、聖杯だけで構成されたフラッシュであった。
ムーンはアリスの手に驚きながらも自らの手をまとめて一気にテーブルの上に放るような諦めた感じで公開するのであった。
役はYのフォー・オブ・ア・カインドであった。
ムーンは正直言って我が目を疑ったのかイスから立ち上がってテーブルに手をつけて放ったように公開した自らの手を再確認するのであった。
「・・・そんな」
「凄いぜ!やったな、ムーン!」
「・・・ああ」
自分のやったことが信じられないのか椅子から立った状態からムーンは動かなかった。
アリスの方は予想外の事に一言しか言葉を言えずに椅子に座ったまま、カードを見るしかなかった。
魔理沙の方は有頂天でムーンの肩を叩いて歓喜の声を上げるのであったが、ムーンは未だに信じられないのか、静かに答えるだけで何も言わなかった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/小アルカナ
小アルカナ
タロットの一組78枚のうち、56枚を構成する組を言う。
占いよりもゲームに使用されることが多く、絵柄はワンド(杖)、ソード(剣)、カップ(聖杯)、コイン(硬貨)で、それぞれ1〜10とペイジ・ナイト・クィーン・キングの14枚で構成されており、トランプの原型とする説があるが定かではない。
ちなみに幻想郷では、現実世界で見かけなくなった物が流入することが多い。
11/09/13 01:15更新 / シャドウ
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■作者メッセージ
リアルでフォーカードなんてイカサマでしか出したこと無い・・・
って言うか、トランプと違って一組、14枚だから確率はトランプよりも低いのにムーン良く出せたよな(笑)

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まろやか投稿小説 Ver1.50