連載小説
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後編
明日もまた平穏が続けばいいのだが・・・
何処かの宗教団体ではないが、そう祈りながら過ごすしかない。
時は既に夜で就寝の床についているところだが、眠れない。
夜勤でもないのに、さっきコーヒーを飲んだのが不味かったか・・・
まあ、目を閉じて居ればその内眠ることができるかもしれない。
だが、意識ははっきりしており、この事を考えるのももはや何回目だろうか。
意識が完全に覚醒してしまっている。

「・・・?」

隣のベッドにはサンが寝ているわけなのだが、何やらまだ起きているようだ。
もぞもぞと布団が動いている音がしている。
何だ、サンも起きているのかと思ったが、突然にその音がやんだ。
そしてそれと同時に隣のサンがベッドから降りて立ち上がった。
最初はトイレにでも行くのかと思ったが、どうやら違うようだった。
完全に部屋を出て行ってしまった。
こんな時間に何をしに行くのだろうか・・・
完全にサンが出て行ってからしばらくした後に俺はゆっくりと身を起こした。
その瞬間に隣の部屋のドアが開く音がした。
隣の部屋は何もない部屋だったはずだが、サンは何をしに行ってるんだ?
俺はやっぱり、気になったのでゆっくりとベッドから降りてサンと同じ様にゆっくりと部屋の外に足を向けた。
そしてドアを開く時もゆっくりと音を立てずに開け、忍び足で隣の部屋に向かう。
一体、此の先でサンは何をやっているのだろうか、押し入る様に素早くドアノブに手をやって中になだれ込むようにして入った。

「あ・・・!?」

「・・・何をやってるんだ?」

部屋の中は何も無く、目の前には床にかがんで何かをしているサンの姿が見えた。
サンはドアが開いたのを感じたのか、慌てた感じで後ろを見た。
俺は首をかしげながらサンに対して言葉を言ったが、その瞬間に黒い物が部屋の奥に駆けるようにして動いた。

「猫・・・どこで見つけたんだ?」

「だ、弾薬庫から・・・。」

俺は奥に行った黒いものを視線で追い、それが何か確認できた。
こんな砂ばかりの砂漠に猫が居るなんてあり得ないだろう。
となると、物資に紛れて搬入されてしまったのか・・・
俺はそう推理したが、一応はサンに聞いてみる。

「弾薬に紛れ込んでたのか・・・」

「兄さん。このことは黙っててくれないかな?」

俺は猫を本来の場所に返すのが一番だと思ったが、弾薬庫に紛れ込んでいたとなると、それは難しい。
なぜなら、弾薬はありとあらゆる場所から供給されているからだ。
俺は呟くように言葉を言いながらも対策を考えるが、正直言うと思い浮かばなかった。
ちょうどその時、サンはすがるような声で俺に対して言葉を言った。
俺はその表情を凝視するように見てしまった。
こんなの厳しいことをいえないじゃないか・・・。
よく言われるが、俺は身内には甘いのだ。

「駄目だ。」

「・・・そんなぁ。」

俺はハァと息をついてサンに対して言葉を言った。
サンはその言葉を聞いて泣きそうな感じで声を言った。

「僕、ちゃんと面倒みるから、それに・・・。」

「違う、皆に許可を取れと言ってるんだ。」

「へ?」

サンは必死に俺に対して言葉を言うが、俺はその言葉を遮った。
そして俺は少し視線をそらしながら言葉を言った。
その言葉を聞いてサンはきょとんとした感じで言葉を言った。

「明日でいい。猫を見せて皆に許可を取れ。」

「う、うん!」

俺はさっき言った言葉を繰り返す様にサンに伝えた。
何度言わせるんだ。
甘い言葉を言うのは慣れてないと言うのに・・・
サンは俺の言葉を聞いて悲しそうだった表情から笑顔に変わっていった。

「ねえ。猫と一緒に寝ちゃだめ?」

「おとなしくさせてろよ?」

サンは俺に対してまた頼むような表情で言葉を言った。
俺はハァと息をつきながら言葉を返した。
これがAKマスターアームズのある意味なマスコットとの初めての出会いだった。
12/07/06 20:14更新 / シャドウ
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■作者メッセージ
ふう、一応の完結だが、まだ終わってない。
これじゃあ、ただ単に兄弟で完結しちゃうからね。
後日談は盛大にやるぜー。

きゅっぷい、きゅっぷい!

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まろやか投稿小説 Ver1.50