連載小説
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8.「その名はポーカーフェイス」
ある男の話をしよう


彼は正義の味方に憧れていた。

だがそれとは逆に男は正義とは逆の世界へと足を踏み入れた。

何故ならば正義とは多くを救う為に少数を犠牲にするという事だったからだ。

それを知った時男は絶望した、「どうしてこんな事が簡単に出来る」

男は悟った、全ての悪を消し去る為に自分もその道を歩むと。

そして男はなった、正義の味方へと。そして男はその術に長けていった。

殺しの方法を。

そして次第に志を共にするものが増え始め、大きな軍が出来た。

ある者は元殺人狂・ある者は狙撃の名手・ある者は武器のスペシャリスト

多くを救うために少数を殺す事に長けてきた連中が集まる組織。

それがポーカーフェイス大佐率いる傭兵集団

AC特務師団MOME大隊なのだから。

 フェンリル大尉に執務室に連れてこられたアナザーは今正にその男と対峙していた。フェンリルはアナザーの手錠を外すと

「では、失礼します」

と言い、部屋を去ってしまった。
ポーカーフェイスはこちらを見ないで何事も無かったかのように書類に目を通していた。時計の音だけが鳴り響く沈黙、アナザーにはそれが何時間にも感じた。沈黙という名のプレッシャーをアナザーは感じていた、空気が重いとはこの事だ。
アナザーは思った、ここで何かを発しなければ始まらないと。
息を飲み勇気を振り絞って何か言わなければ!

「お・・俺は唯の一般市民だ!・・・・・」

沈黙が続く・・・

・・・・・

ポーカーフェイスからの返事は無く書類に目を通している。
意図が通じないのか聞こえていないのか?はたまた無視しているのかアナザーには解らなかった。

「話を聞けよ!」

アナザーは担架を切った口調で言ってみた。
するとポーカーフェイスは目を通していた書類を机に置くと立ち上がり、アナザーの方へと向かう。
身長はさほど大差は無かったのだがポーカーフェイスから滲み出る気迫で何倍にも大きく見えた。
するとポーカーフェイスはアナザーの両肩を掴むと近くに有ったソファーへと突き倒した。

「・・・まあ座れ・・・話はそれからだ・・・・」

アナザーは一瞬殴られるかと思い身構えていたが、予想は外れたようだ。
前歯の1本くらいは覚悟していたのだが、結果的に助かった。

「では聞くが・・一般市民が何故あのような施設にいるんだ?・・見たところあそこの関係者ではなさそうだが?」

懐にいれていたタバコに火をつけ、ポーカーフェイスはアナザーに聞く。
良いタバコを吸っているのか、煙からでもハーブの香りがしてくる。

「良いタバコ持ってるんだな。金持ちのあんたには解らないだろ。一般人の考えてる事なんて」
アナザーはタバコの事をネタにして皮肉で返した。

「何故そう思った?、俺が良いタバコを吸っているからか?」

「そうだよ・・」

ポーカーフェイスはアナザーの皮肉にも余裕を持って返す。

「・・・・・俺には最愛の人が居る・・・守りたい者も大勢居る・・故に周囲の健康管理も俺の仕事でな。これはタバコで有ってタバコでは無い。ただハーブを乾燥させて燃やしている、これは自作だ・・・・」
 
アナザーは驚いた。戦闘集団の上官がここまで周りの配慮に敏感なのかと。
そこまで信頼における組織という事なのか。

「そうかよ。で、あんたはお山の大将気取って部下に命令して戦地に送ってるんだろ?」

ポーカーフェイスはタバコの火を灰皿で揉み消す。

「お前は軍人が嫌いか?憎いか?」

アナザーはその言葉に怒りを覚えた、そして叫んだ

「ああ嫌いだ!戦争は家族や友達を殺した!俺に希望を無くさせた!それが憎くて何が悪い!お前ら戦争屋風情が偉そうに言いやがって! お前ら軍人は皆そうだ!・・」

アナザーが淡々と叫び続けると

「大きな力を持ちながらそれを使わずしまって置いて何の意味がある!?何の得がある!?誰が救えるというんだ貴様は!お前はただ何も出来ないと決めつけておいて逃げたのではないのか!?馬鹿馬鹿しいにもほどがある」

言い返せない言葉にアナザーは呟いた

「それでもお前たちは・・争いを生むんじゃないか・・人を殺すじゃないか・・」

アナザーを言葉で落ち着かせたポーカーフェイスはアナザーの胸ぐらを掴み顏をこちらに向かせ目をジーと見た。

「終わらない連鎖を終わらせる、それが俺達の部隊だ。それに俺達は軍人では無い、個々に集まった傭兵集団だ。階級があるのは序列を決めなければ大衆をまとめる事に支障をきたす為。奴等と俺達は違う・・」

アナザーは唖然とした表情でポーカーフェイスを見るとポーカーフェイスはアナザーの胸ぐらから手を離した。

そしてこう言った。

「アインから聞いた。お前この部隊に興味があるんだろ?・・・だったら俺がお前を雇ってやろう」


沈黙・・・

「はあ!?」
アナザーはポーカーフェイスの言葉が何を言っているのか最初は理解できなかった。むしろしたく無かった。

「簡単な事だ、興味があるなら間近で見ればいいだけの話。無論傭兵としての基礎訓練はしてもらう事になるが・・・なんだ・・不服か?」


「一般人を戦場に送り込むってのか!?そんな事する馬鹿聞いた事ないぞ!」

「・・・・・・・・・・・・・・目の前にいるじゃないか・・・」

ポーカーフェイスはアナザーの突っ込みにさらりと返した。

ポーカーフェイスは自分の椅子に座ると目を通していた書類とは別の書類を出し、アナザーに渡した。

「傭兵として雇う契約書だ・・目を通しておけ・・後は。・・・・・・・・・・・・・お前次第だアナザー」


アナザーは書類を受け取るとポーカーフェイスの方を見る。

「部屋を用意させる、そこで1晩考えろ。明日の午後に車を用意させるからそれまでに決める事だ、以上」

そう言うとポーカーフェイスはさっきの書類を取り、仕事に取り掛かった。
それ以降は何を言っても反応は無く、仕方無く部屋を後にして言われた通り用意された部屋へと向かって行った。

・・・・・・・・・



同時刻

アインとスーパースターはポーカーフェイスに休暇を出された為仕方なくショッピングモールで買い物をする事にした。
とりあえず買うものは決まっている、彼女、スーパースターの衣服だ!
いつまでも他人のワンピースを着せる訳にもいかず、(それにお気に入りだし)新に買っておいた方が良いと2人の思考の一致で決まった。
まずは私(アイン)の服から選ぶらしい。
 自分は動きやすいショートパンツやTシャツを選ぶのだがスーパースターは
フリフリの付いたドレスや【それ何処で着ていくの!?】的な衣装を持ってくる。しかもイキイキとした目で。

「あの・・スター・・それは私には似合わないと・・・思う」

私(アイン)は恥ずかしながらも言うスーパースター少佐に言うのだがどうしても着てほしいと言われ、しかたなく・・・・・
ゴスロリ衣装を着せられた。

「きゃー><。可愛いですよおおアインさん!」

「!!−−−−−−−−−−−///////////」

普段冷静な私(アイン)でもこればっかりは恥ずかしい通り越して超恥ずかしい。逃げたい、早くこの場から立ち去りたい!
そればかりが頭に浮かぶ。


「わ・・私は・・もういいので・・・満足しましたから・・こ・・今度は・・少佐の番ですよ・・」

声が裏がえってしまうほど緊張してしまった私は少佐の「ブーブー」という声を無視してスーパースター少佐の服を選ぶ事にした。
そう今度は私の番である!どんな服を着せようか。私と同じゴスロリか?それとも猫耳か?ウサ耳か?色々提示しては見たものの少佐は恥ずかしげも無くすんなり着こなして魅せた。

「どうですか〜?似合います?」

ニコっと笑いクルっと回るその姿に私(アイン)は見とれてしまった。

「似合いますよ・・・スター」

「でもちょっと胸がキツイかなあ・・」

ぴくっ

アインは思った、そうだ!この子私より小さい癖に胸はあるんだった。

アインはその話題に触れるのを止めて次の服を探そうとする。

「では。。他のにしましょう。まだ洋服はたくさんありますし、似合う物があるかもしれません・・」

そう言って他の衣服を探していると茶髪のロングヘアーの女性に声をかけられた。それはまさにアインにとって会いたくなかった知り合いであった。

「あれ?アインちゃんとスターちゃんじゃないのさ!2人でこんな所でどうしたの?」

アインはその声の方向に目を向ける。

「ショッピングモールでやる事と言えば・・・買い物としか思えないのだけど・・・・貴方もそうなじゃいのかしら?コロン」

【コロン】と言われた20台中盤の女性は目をしかめアインを睨み付ける。

「なによ、せっかく親友が声をかけてあげたのにそれはないんじゃない?」

私(アイン)も普段しない目をしかめた表情でコロンを見る。

「・・・誰が親友よ・・・その大きいボーリング玉、重そうだから軽くしてあげましょうか?」
 私(アイン)はナイフの先でコロンの胸を突っつく。
つまりそういう事だ、コロンもアインとはまったくの逆の超巨乳なのだ。

「自分が無いからって僻まないでよね!このナイチチ」

「・・・・・コロス・・・・・・・・・」

まさに一触即発の状況で静止させる一声が現れた。

「ストップストップ!2人とも久しぶりに会ったんだから落ち着いて・・・;」


そうスーパースター少佐だ、彼女もコロンとは顔見知りである。
少佐が2人を懸命になだめると2人は落ち着きを取り戻した。

「すいませんスター・・少々ムキになってしまいました・・」

「ごめんね、スターちゃんそんな気は無かったのよ。こいつが突っかかってくるからさ」

コロンの余計な一声でアインの怒りにまた火が付いた。

「・・・一度死んでみる・・・?・・・」

目が本気であった。

「もう止めてよーう;」

この後私(アイン)は少佐にこっぴどく叱られました。


「ところでポーカーフェイス大佐は元気にしてる?。」

コロンが2人に話かける。

アインとスーパースターは目を合わせコロンに今までの事情を話した。

「なるほど〜。事情は大体解ったよ。それでアタシが呼ばれたって訳だ。納得」

「・・大佐に呼ばれたのね・・・こっちも何故貴方が此処に居るのか理解したわ」

コロンとアインは互いに納得しあった。
スーパースターはさっきの喧嘩が嘘のようだと思えるくらいすんなり話が噛みあって、良かったと心から思った。

「でもなんでここにいる訳?」

コロンは触れてはいけない話題に触れた。
むしろ地雷というべきだろう。

「私の服の変えがないので、アインさんと一緒に買いにきたんですよぉ〜」


「そうなんだ、じゃあ私も買い物に付き合ってもいいよね?」


「はい、大勢の方が楽しいですし」


「じゃあ決まり!行こう!・・・何してんの?アイン置いてくよ」

私(アイン)は思った。こいつ業とやってるのか?
「・・・・え・・・ええ・・・」


するとコロンはアインに止めの一撃を刺した。


「大丈夫だって。ナイチチでも着こなせる服も探してあげるからさ」

私(アイン)は思った。【やっぱこいつコロス】と。









12/06/01 00:45更新 / PF大佐
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■作者メッセージ
俺らが部隊入り!?どうするよw

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まろやか投稿小説 Ver1.50