セラシティー、ネラトン川。
セラシティーは、主に住宅地からなる中規模都市である。
町の端には大河川、ネラトン川が流れているが、その川の、市街地と反対側の沿岸には高い崖がそびえている。崖の上に立てば、眼下のネラトン川の向こうにセラシティーの町並みを一望できるため、観望スポットとしてもある程度知られた町であった。

巡洋艦「ジュピター」から飛び立った大型輸送機が、その崖の上に接近しつつあった。
崖の上には、黄色く光るタンクACを肉眼でも確認できる。

「あれですわね。」

輸送機に格納された四脚AC”ジャンネッタ”のコクピット内で、リンダ君は、ACの戦闘モードを起動した。

「…侮るな。アレをただのACと思うと、痛い目を見るぞ。」

輸送機の下部に繋留された大型人型機動兵器、”ダークネススカイ”のチューマー君が警告する。

と、その黄色いタンク型ACの肩部が発光した。
あっと思う間もなかった。
輸送機の鼻先から機体後部にかけて、一条の光線が貫通し、轟音と共に輸送機は爆散した。

「ちぃッ！」

その爆炎の中から、白い煙を引きつつも、”ジャンネッタ”は脱出していた。
”ダークネススカイ”は無傷のまま、崖の上に地響きを立てて着陸。
ここに、黄色いタンクAC−”イエロードック”と、四脚AC”ジャンネッタ”、機動兵器”ダークネススカイ”が対峙した。

「話し合いの余地はなさそうね。
破壊目標、”イエロードック”。パイロットの捕獲が条件です。」

「…わかった。努力しよう。」

チューマーの言葉が終わるか終わらないかのうちに、”ダークネススカイ”は崖っぷちを背に、”イエロードック”に向かって突進していた。

キュィン、という鋭い音と共に、”イエロードック”からレーザーキャノンが撃ち込まれるが、”ダークネススカイ”は展開したエネルギーシールドでそれをはじき返し、一瞬で間合いを詰めた。
”ダークネススカイ”の腕部に仕込まれたグレネードキャノンの砲弾が”イエロードック”を襲うが、”イエロードック”はオーバードブーストによりそれを回避し、”ダークネススカイ”の背後に回る。
”イエロードック”が、その右腕に握ったバズーカ砲を”ダークネススカイ”の背中へ突きつけるが、その刹那、”ダークネススカイ”はその巨体からは想像もつかない速さで向き直り、左拳で”イエロードック”のバズーカ砲をその手首ごと吹き飛ばした。

圧倒的パワー。

”イエロードック”は再度オーバードブーストで逃れようとしたが、間髪いれず、それを”ダークネススカイ”の右拳が襲った。
鈍い音と共に、”イエロードック”の頭部が吹き飛び、火柱を上げる。
一切の容赦はなかった。血も涙もないとは、まさにこのことであろう。
”ダークネススカイ”の双肩の２門２連、計４門のグレネードキャノンが展開し、トドメと言わんばかりに、”イエロードック”を直撃した。

あっけない最後だった。
…”イエロードック”は、無残に吹き飛ばされ、崖の下へと落ちていった。


その下には、　セラの市街地が広がっていた。