連載小説
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始動
工房の裏の応接室で、コロンさんとフォーラさんがくつろいでいます。
お客が少なくなる午前中は、コーヒーでも飲みながらゆっくりするのが一番ですね。

「コロン先輩ー。コーヒーにミルクはいりますか?」

「うん、お願い。ブラックはお腹に良くないから。」

「先輩のお腹はそのくらいじゃ壊れないと思うんですけど…」

「なんですってー」

いつもの変わらない会話しながら、二人はTVに映るニュース番組を見ながらコーヒーブレイクです。コーヒーの湯気がふわっと上って、いい香りを漂わせます。

「フォーラちゃん、前から思ってたんだけど、その首の猫のペンダントって、写真を入れるロケットじゃない?」

「ええ、そうですよ。」

フォーラさんがロケットを開けて見せると、中には小さな写真が入っています。コロンさんが、コーヒーカップを置いて覗き込みます。写真には、フォーラさんを囲む5人の男女が写っています。

「だれ?これ。」

「私が前にいた、警備部隊の皆さんです…。みんな、あのときに死んでしまいました…。」

「ああ…。そうなんだ。優しそうな人たちだね…。ね、フォーラちゃん。あなた、まだ敵討ちとか考えてるの?」

「はい。」

急に厳しくなったフォーラさんの表情を見て、コロンさんは小さなため息をついて、コーヒーを口に運びます。

「でもまだ、相手が誰なのかもわからないんでしょ?」

「犯行声明が出ましたから、レイヴンを雇った組織はわかりました。テロリスト集団の”ステージフォー”です。きっと接触して、仲間を殺したレイヴンが誰なのか、聞きだします。」

「ま、ほどほどにね…。あまりこだわらないほうがいいと思うけど。」

顔を真っ赤に紅潮させてして話すフォーラさんに、コロンさんは説得をあきらめたのか、TVのニュースに目をやります。TVには緊急速報が流れていました。

『今朝未明、クレストインダストリーの特殊部隊が、テロ組織”ステージフォー”の本拠地を突き止め、掃討作戦を開始しました。クレスト第2艦隊指令キャブ=ノルバスク中将指揮下のAC部隊が突入した模様です。現場より中継でお伝えします…』

「げっ…。」

噴出したのはコロンさんです。

「はっ…。いけない。テロリストがみんな殺されては、仲間を殺した敵が誰なのかわからなくなってしまいます!」

フォーラさんは急に立ち上がり、部屋を飛び出しました。

「ちょ、ちょっと待って!?」

コロンさんも後を追いかけます。
おやおや…。部屋には誰もいなくなってしまいました。
では、お二人より一足早く現場にいってみるとしましょうか。
10/02/25 18:48更新 / YY
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まろやか投稿小説 Ver1.50