連載小説
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共同
今日は土曜日。
いつもなら仕事なのだが、凛さんがお前は明日から3日間休みだ。
とか言うから逆らえるわけもなく休みだ。

ピタ、ピタ、ピタ。

昨日の疲れもあって今日はなにもする気が起きない。
てか、昨日何があったけ?

ピタ、ぴた、ピた。

昨日僕は仕事が終わっていつもと違う帰り道を通って・・・。
何だこの違和感・・・。

ぴた、ピタ、ぴタ。

ある光景と、ある人に会って・・・。
って、人って誰だ?
何ださっきから頬にある冷たい感覚は・・・?

ぴタ、ぴた、ピた。

そうだ・・・。
僕は彼女に出会って、家に連れてきた。
そのまま介抱して、自己紹介したんだっけ?

ぴた、ピた・・・。

ならこの頬の感覚は彼女の・・・。
魁のゆ、び・・・!

ピタ。
ハッと目が覚めた。
魁の指は僕の鼻のてっぺんを指していた。
僕の顔の表情はまさに点だっただろう。
魁はいたって冷静なまま僕に向かい。
「おはよう、ナオヤ。」
なんて告げてきた。
「お、おはよう。魁。体調はもういいのかい?」
「私は大丈夫だ。それよりナオヤ、腹が減った。何か作れ。」
なんて当然のように言うもんだから。僕の緊張は解けた。
「作り置きので良いなら構わないけど?」
「うん。お願い。」
女性にそんなことを言われたら動かないわけにはいかない。
僕はキッチンに入った。
時刻は午前10時を回っていた。朝食なのか、昼食なのかわからないが仕度を始めた。
作り置きがあるとはいえ、一品くらいは足さないと気が済まない。
僕は野菜を眈々と切りながら、魁に聞きたいことがあり聞いた。
「魁、1ついいかな?」
「何?」
いつの間に見ていたのか、魁はテレビから視線を外し僕に視線を向けた。
「僕を・・・、殺さないのかい?」
さっきから気になっていたことを聞いた。
魁は僕を見据えたまま
「殺す必要がないから。」
と答えた。
「そっか。うん、良かった。」
僕は微笑み言った。
そして出来た野菜炒めと作り置きの煮物をテーブルに持っていった。
今日は出来がいい。我ながら感心する。
「魁、食べよう。」
魁は考え事をしていたのか少し遅れて席についた。
「よし、いただきます。」
だが、魁の箸はすすまなかった。
「どうしたの?まだ体調悪い?」
魁は首を横に振り、僕を見つめてきた。
その表情にまた見惚れてしまっていた。
それも束の間、魁は
「私をしばらく、ここに置いてくれないか?」
なんてすごいことを言ってきた。
「な、僕の家にか?」
魁はコクりと頷いた。
穆は魁がどんな人なのかまだ知らない。僕は彼女をあの光景にいさせたくなかった。儚くも美しく、悲しい光景・・・。
そんなとこは魁の場所じゃない。
僕は魁を守りたい・・・。
「・・・わかった、ここにいていいよ。ただし、僕がいるとこでは勝手な真似はしないように。」
魁は俺を試すように
「例えばどんな?」
と聞いた。
「・・・。」
「冗談だよ。本気にするなよ、ナオヤ。」
魁は少し笑いながら食事を始めた。
時折、美味しい・・・。
なんて口に出すもんだから、嬉しくて仕方なかった。

食事が終わりソファに横になり休んでいると、魁が僕の顔を覗き込んできた。
「ど、どうしたんダい?」
声が裏返ってしまった。
そんなことも気にも止めないで、魁は冷静なまま
外に行こうと言ってきた。
行きたくない。と言ったら
「いいから行くの。」
と力ずくで外に連れてこられた。
華奢なくせに力はあるようだ。
外に出たはいいものの、どこに行くかわからないのでどこ行くの?と聞いたら、わからない。何て言ってきた。
「あのねぇ、目的がないなら何のために外に出たのさ。」
なんて不満をこぼすと
「目的がないと駄目なのか?」
と不思議そうに聞いてきた。
その純粋さに僕は負けた。
「はぁ・・・。わかった。ゆっくり散歩しようか?」
魁は少し笑って、うんと頷いた。

2人肩を並べて、河川敷に沿って歩いた。

太陽は空高く上がっていた。






12/02/12 13:30更新 / N-BYk
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まろやか投稿小説 Ver1.50