もう一人の鬼
綺麗な満月だった。
暗くじめじめしたその場所に
「黒いジャケット着た、女の子知らない?」
その場には不釣り合いな青年がいた。
青年は髪は金髪、片方の眼だけ本来白いはずの部分は黒に本来黒いはずの眼の中心は赤に染まっていた。
黒いレザージャケットにレザーパンツにブーツ。
体格も筋肉質なのだが、どこかしなやかで、さながら、バイカーのようだった。
青年の顔には不釣り合いなその笑顔に男達は不気味さを覚えた。
『女?ここら界隈じゃ女っていったら売人か売春やってる奴しか知らねぇな。』
『確かにな。でも、お前知ってるか?殺人機の話。』
「殺人機!?」
青年の異様な食い付きに男達はたじろぎながら話した。
『お、おう。ここ最近じゃ有名な話だよな?』
『え?!ま、まぁ、あくまでも噂の域だけどな。』
『それって、金髪の話か?』
『ちげーよ、黒髪のことだろ?』
男達は青年のことを忘れたかのように口論し始めた。
この男達は使えないと判断した青年はその場を去ろうとした。
『あ、待て!ガキ!』
『情報量30万だ。払え。』
『痛い思いはしたくねぇだろ?』
男達は下品に笑いながら、青年を囲むように追い詰めた。
しかし、青年はため息混じりに嘆いた。
「・・・それで追い詰めたつもりか?」
『あぁ?!』
『何言ってんだよ!?』
『テメーの置かれてる状況を確認したらどうだ!?』
「・・・ヘドが出る。」
その瞬間青年は男達の喉元を掻き切った。
男達は何が起こったかも理解できないまま、地面に伏した。
「俺の名は嵬。山の鬼だ。」
嵬は笑いを堪えながら、呟いた。
「見つけたぞ。魁。」
月は静かに輝いていた。
胸騒ぎがする。
こんなときの僕の直感はいつも当たってしまう。
碧崎さんの事務所から僕のアパートはそこまで遠くはないが、歩いて30分はかかる。歩いていては間に合わない。一刻でも早く魁に会って・・・。
「くそっ・・・。」
会ってどうするんだろう僕は・・・。
僕はただひたすらに走り続けた。
魁がいるべきその場所へ、いて欲しいという願いの場所へ。
アパートの階段を転けそうになりながらも急いで登り、勢いよくドアを開けた。
「魁!?」
返事はなかったが、雰囲気でわかった。
魁は寝ていたのだ。
安堵した途端、疲れが一気にきた。
「まぁ、勝手に心配しただけなんだけどね。」
静かに魁の側に行き、寝顔を覗いた。
その寝顔は年相応の女の子の顔だった。
「・・・んぅ。」
「っと、何してんだ僕は。」
また見惚れていた自分の顔に平手打ちをした。
走ってきたので喉が渇いていた僕は水を飲もうと冷蔵庫にあるペットボトルに手を差しのべようとした時、不意に肩を誰かに掴まれた。
「魁?」
振り向くとそこには誰かいるはずはなく、魁はソファーで眠っている。
すると、閉め忘れていた冷蔵庫のドアが勝手に閉まった。
驚き振り向くとそこには小さい女の子が立っていた。
「君、いつからそこに?」
女の子は答えない。
おそらく年齢は10歳前後だろう。
白いワンピースに黒から先にかけて青くなっている髪をツインテールに絞った女の子。
間が良いのか悪いのか、大きなあくびをしながら魁が起きてきた。
「ふぁ〜。帰ってきてたんだなナオヤ。」
振り向き様に魁にデコピンしてやった。
「痛っ!?何すん・・・。」
台詞も全部言い終えないまま魁は固まった。
「・・・新しい、居候です。」
「えぇ!?」
マス○さんもビックリするくらいの驚きを見せてくれた魁に感謝しておこう。
こうして新たな(?)メンバーが加わった3人の生活が始まった。
「魁・・・。見ーつけた。」
月に照らされた影も忍び寄っていた。
暗くじめじめしたその場所に
「黒いジャケット着た、女の子知らない?」
その場には不釣り合いな青年がいた。
青年は髪は金髪、片方の眼だけ本来白いはずの部分は黒に本来黒いはずの眼の中心は赤に染まっていた。
黒いレザージャケットにレザーパンツにブーツ。
体格も筋肉質なのだが、どこかしなやかで、さながら、バイカーのようだった。
青年の顔には不釣り合いなその笑顔に男達は不気味さを覚えた。
『女?ここら界隈じゃ女っていったら売人か売春やってる奴しか知らねぇな。』
『確かにな。でも、お前知ってるか?殺人機の話。』
「殺人機!?」
青年の異様な食い付きに男達はたじろぎながら話した。
『お、おう。ここ最近じゃ有名な話だよな?』
『え?!ま、まぁ、あくまでも噂の域だけどな。』
『それって、金髪の話か?』
『ちげーよ、黒髪のことだろ?』
男達は青年のことを忘れたかのように口論し始めた。
この男達は使えないと判断した青年はその場を去ろうとした。
『あ、待て!ガキ!』
『情報量30万だ。払え。』
『痛い思いはしたくねぇだろ?』
男達は下品に笑いながら、青年を囲むように追い詰めた。
しかし、青年はため息混じりに嘆いた。
「・・・それで追い詰めたつもりか?」
『あぁ?!』
『何言ってんだよ!?』
『テメーの置かれてる状況を確認したらどうだ!?』
「・・・ヘドが出る。」
その瞬間青年は男達の喉元を掻き切った。
男達は何が起こったかも理解できないまま、地面に伏した。
「俺の名は嵬。山の鬼だ。」
嵬は笑いを堪えながら、呟いた。
「見つけたぞ。魁。」
月は静かに輝いていた。
胸騒ぎがする。
こんなときの僕の直感はいつも当たってしまう。
碧崎さんの事務所から僕のアパートはそこまで遠くはないが、歩いて30分はかかる。歩いていては間に合わない。一刻でも早く魁に会って・・・。
「くそっ・・・。」
会ってどうするんだろう僕は・・・。
僕はただひたすらに走り続けた。
魁がいるべきその場所へ、いて欲しいという願いの場所へ。
アパートの階段を転けそうになりながらも急いで登り、勢いよくドアを開けた。
「魁!?」
返事はなかったが、雰囲気でわかった。
魁は寝ていたのだ。
安堵した途端、疲れが一気にきた。
「まぁ、勝手に心配しただけなんだけどね。」
静かに魁の側に行き、寝顔を覗いた。
その寝顔は年相応の女の子の顔だった。
「・・・んぅ。」
「っと、何してんだ僕は。」
また見惚れていた自分の顔に平手打ちをした。
走ってきたので喉が渇いていた僕は水を飲もうと冷蔵庫にあるペットボトルに手を差しのべようとした時、不意に肩を誰かに掴まれた。
「魁?」
振り向くとそこには誰かいるはずはなく、魁はソファーで眠っている。
すると、閉め忘れていた冷蔵庫のドアが勝手に閉まった。
驚き振り向くとそこには小さい女の子が立っていた。
「君、いつからそこに?」
女の子は答えない。
おそらく年齢は10歳前後だろう。
白いワンピースに黒から先にかけて青くなっている髪をツインテールに絞った女の子。
間が良いのか悪いのか、大きなあくびをしながら魁が起きてきた。
「ふぁ〜。帰ってきてたんだなナオヤ。」
振り向き様に魁にデコピンしてやった。
「痛っ!?何すん・・・。」
台詞も全部言い終えないまま魁は固まった。
「・・・新しい、居候です。」
「えぇ!?」
マス○さんもビックリするくらいの驚きを見せてくれた魁に感謝しておこう。
こうして新たな(?)メンバーが加わった3人の生活が始まった。
「魁・・・。見ーつけた。」
月に照らされた影も忍び寄っていた。
12/09/17 10:02更新 / N-BYk