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  山の端   yamanohana 

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  このホームページは、やまのはなが利用します  更新:2003年11月1日

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草刈り作戦

昭和四十一年夏、

蝉と鳩の声援を受け、

少年たちは手鎌と殴り鎌(確かにそう呼んでいた、柄の長い造林鎌)で

杉の苗木の下草刈をしていました。

山の上まで行けば一息できるので、

両手の幅ぐらいしか刈らずにどんどん登って行きました。

兄や姉はずっと幅広く、殴り鎌で草刈をしていました。

小さい私は手鎌しか使わせてもらえず、

殴り鎌ならあまり歩かなくていいのにと、

兄や姉が羨ましく思えました。

杉の苗木は、鎌が当たるとスパッと気持ちよく切れました。

タケニグサは、

太くて臭くてやたら大きくて覆いかぶさる嫌なものでした。

一山越えればK県という所で

苗木を続々と消し去って行きました。

雑草の切れ端に囲まれた杉は、

その後無事成長したのでしょうか。

小学校時代の苗刈飛ばし欠株の責任は、

記憶にないので、とらないことにしています。

 

草との付き合いは、

小学校校庭での大掃除仕上げ作業から

始まるとしたものです。

強い日差しと先生監視の下、

偉いお客様がいつ来てもいいように、

片っ端から引き抜きます。

黙々と目の前の小さな植物を手にかけるのは、

無限の退屈時間ではありませんでした。

蟻が植木の株基の手の平ほどの山や

洞窟に列をなしていました。

蜘蛛の巣の巻き付いた枝や

青虫のたかった葉っぱが風で揺れていました。

草引き作業は、だいたい夏休み前の暑い、

真っ青な空のもとで行われます。

頭がボーッとなりながら見上げた空は、

どこまでも続いていた、

というのは物語の世界です。

アポロ宇宙船と光化学スモッグ注意報発令という字が

地方新聞の一面で踊っていました。

ひょっとしたら宇宙船が見えないかと、

湧き上がる入道雲の隙間に飛行物体を探していました。

工場に近い小学校在籍中に、

廊下の西隅の一角を区切って

大気汚染の観測装置が設置されました。

どこかの係官が時折なにかごそごそやっていました。

そこは突然現れた別世界であり、

小学生立入禁止空間でした。

最新鋭科学機器の宝庫がガラス窓越しにあり、

係官の姿は最先端をいく技術者と映りました。

大阪千里の万国博と重なって

現代科学文明を支えてくれていると信じていました。

ppmという単位は、この頃から身辺をうろつき始めました

草引き隊は、その頃既に危険との隣合わせでした。

手鎌で草刈をしていた頃は、

軍手と麦藁帽子ぐらいでよかったのです。

秋口までイタチごっこの草刈をします。

生ゴミのように捨てられた

スイカの食べかすや茄子や葱等の野菜屑は

有機物源として土壌に鋤込みます。

ジュースの空き缶は、

図書券のもとに変身可能の時代が到来しました。

経費節減につながりそうで、

招かれざる客から鮮やかな転身をそのうち拝見できるでしょう。

ある程度は、草生管理も必要ではないでしょうか。

狭い地球、草との共存です。

山の遥か東をまもなく自動車道が開通します。

人間社会から取り残された山奥にも

破壊の嵐が押し寄せてきます。

この道路のおかげで僻地の村にも草刈雇用の場ができます。

投げ捨てられる空き缶で、

読書への道とともに環境汚染への道もできるのでしょうか。

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