さてさてさてさて西方浄土というと、阿弥陀如来のおわす場所ですが、これがお墓の向きなどに関係していることをご存知でしょうか。
通常、仏教では六向拝といって、東西南北上下、すべての方向に吉凶なしとされています。したがってお墓を建てるに当たって(下や上は別として)方向についてそれほど神経質になる必要はありません。あ、北枕を縁起悪いとするのは日本だけ。むしろ、地磁気の関係から北枕は健康に良いとまで言われています。
しかし、その中であえてどれか、というとき、二つの考え方があり、ひとつには、旧来より北を上座と考えていたことから、お墓を北、参拝者を南とする配置があります。一方、特に阿弥陀如来に帰依する教派(浄土宗や浄土真宗など)では、参拝者がお墓に対したとき阿弥陀如来にも対したことになるよう、お墓を東向きに配置することがあります。
これは、お墓だけでなく仏壇でも同じことが言えます。南向きに配するのを「南向北座説」、東向きを「西方浄土説」と言います。さらに、仏壇の場合、自分の帰依する教派の総本山を同時に拝めるよう、本人と仏壇の延長線上に総本山がくるように配する「本山中心説」というものがあります。これだと、例えば真言宗高野山派のように京都に総本山がある場合、関東の人は東向きに、九州の人は西向きに配置することになります。