いきなり結論から言ってしまいましょう。太陽の表面温度は約5780K、摂氏にして約5500℃です。ではこの太陽温度はどうやって出すのでしょうか。サーモグラフ使ってもそうそう測定できるものではありません。
太陽の表面温度の測定方法は大きく2つあります。一つはウィーンの変位則というものを用いるもの。一般的な方法はこれです。これはどういうものかというと、黒体からの輻射のピークの波長は絶対温度に反比例するという法則です。要するに、温度によって白→青→黄→赤と変化するアレです。黒体というのはあらゆる波長を吸収して一切光を反射しないという仮想物質のことです。太陽の色の波長を正確に測定してやれば太陽の表面温度が出るってぇ寸法です。
λmax=0.002898/T ※λmaxはピーク波長(波長の単位はm)
と表現されますので、太陽のピーク波長500nmを代入してやりますと、T=5796と出るわけです。
まぁ計算は簡単ですが、これを雑学と言っていいかは私のプライドにかけて断固否定いたします。だって『黒体からの輻射のピークの波長』って意味分かりますか?言っている意味がわかんないのであればそれは知識じゃありません。単なる記憶です。
というわけで今度は意味の分かる法則を用いて測定してみましょう。ステファン・ボルツマンの法則という方法です。
まず、地球の大気表面上に1分間で垂直に届く1平方センチメートルあたりの熱量を測定すると毎分1.96calと出ます。この数値を太陽定数といいます。
次に、太陽を中心として約1.5億キロ(太陽と地球の平均距離)の半径を持つ巨大球をイメージしてください。この球の内表面1平方センチメートルあたりに届く熱量は、先ほどの測定から毎分1.96calですね。ところで、この巨大球の表面全体に一分間で届く総熱量はそのまま太陽が1分間に発する全熱量ということになります。ここ分かりますか?この測定方法のミソはここですよ。
さてこの巨大球の表面積は
4×3.14×1500兆2=約2.82×1027p2
ですから、太陽が一分間に放つ全熱量は
1.96×2.82×1027で毎分5.53×1027cal
と分かります。
さて、熱量単位1calはエネルギー単位4.184×107erg(エルグ)ですから、太陽の熱量をエネルギー換算すると毎分23.14×1034となり、これを秒に直すと毎秒3.86×1033ergが太陽が一秒間に放つ全エネルギーということになります。
さらにこれを今度は太陽の表面積6.09×1022平方センチメートルで割ると太陽が毎秒1平方センチメートル当たりで放出するエネルギー量6.34×1010ergが算出されます。
ここでステファン・ボルツマンの法則の登場です。ステファン・ボルツマンの法則とは、黒体から放出されるエネルギーは絶対温度の4乗に比例する、というシンプルな法則です。
これを式にすると、
E=σT4
ということになります。
これに先ほど求めたE=6.34×1010ergを代入します。そしてσはステファン・ボルツマン定数5.67×10-5(erg p-2K-4s-1)ですから、あとは単純な四次方程式をチョチョイと解いて、T≒5780となります。はい、ぴったりですね。