おそらく


 

 この言葉を間違って使っている人はおそらくかなり多いと思われます。多分この言葉の意味を知らないせいかと思われますが―。
 今私は意図的に言葉を使い分けました。おそらくと多分、同じ意味だとお思いでしょうが、両者は異なる意味を持っているのです。いくつか例文を挙げてみましょう。

多分こっちの道だ…○
おそらくこっちの道だ…△
多分君だ…○
おそらく君だ…△
多分受かってる…○
おそらく受かってる…×
多分うまくいくよ…○
おそらくうまくいくよ…×
多分だめだ…○
おそらくだめだ…○
多分死んでるよ…○
おそらく死んでるよ…○
多分無理でしょう…○
おそらく無理でしょう…○
多分助からない…○
おそらく助からない…○

 なんとなく分かっていただけたでしょうか。“多分”というのはオールマイティなのですが、“おそらく”というのは“恐らく”という文字からも分かるように、あとに続くのはそうであって欲しくないこと・望まないことなのです。イメージ的には“残念ながら多分”という意味になります。先生によりますと、“恐らく”は、“そうならないかもしれないという、主体の幾分かの疑念・心配・ためらいの気持ちを表す”となっています(太字はメトセラ)。
 ですから、“おそらく受かってるよ”というと、“お前合格したないんかい”と心で突っ込みを入れてしまいます。