▲やぶれっ!住基ネット市民行動著『マイナンバーは監視の番号 ─ 徹底批判まやかしの共通番号制度 ─』緑風出版。情報保護評価については148〜151ページで批判的に解説。
自治体での番号制度導入作業が具体化してきました。
システム改修とそのための予算については、2014年度当初から動きがありましたが、現在、特定個人情報保護評価や条例改正、独自利用の検討などが進められています。
特定個人情報保護評価の先行例として、ウェブ上で千葉県柏市の個人情報保護評価を見ることができます。住民基本台帳と住民税の二つの事務について全項目評価とパブリックコメントを行っています(2014年10月6日終了)。
特定個人情報保護評価は、特定個人情報(個人番号を含む個人情報)を扱うすべての利用機関の事務について、実施が義務付けられています。ただし、職員の人事、給与等に関する記録した特定個人情報ファイルのみを取り扱う事務、手作業処理用ファイル(紙ファイルなど)のみを取り扱う事務、対象人数の総数が1,000人未満の事務等については、特定個人情報保護評価の実施が義務付けられていません。
なお当該事務で個人番号を利用していなくても、利用する事務と連携して番号が参照できれば、対象事務になります。
特定個人情報保護評価は、事務の対象人数によって、3段階に分かれています。
パブリックコメントを行うのは、対象人数が30万人以上の事務、または対象人数が10万人ないし30万人の事務で担当職員が委託を含めて500人以上などの事務です。これらの事務については、全項目評価と第三者委員会による点検も行われます。
しかし、そもそも市区町村で人口が30万人を超えるのは、1,700余団体のうち90弱しかありません(柏市は約40万人)。このままでは8割以上の市区町村で基礎項目調査しか行われません(「全国の市区町村 人口・面積・人口密度ランキング」参照)。
パブリックコメント実施に該当しない市区町村では、重点項目調査プラス基礎項目調査、または基礎項目調査のみが実施義務なので、何もしなければ住民が特定個人情報の利用事務について意見を述べる機会は保障されません。ただし、これらの事務についても、市区町村が任意でパブリックコメントや全項目評価、第三者点検を行うことが可能です。利用事務のシステムのプログラミングを始めるまでに、評価書の特定個人情報保護委員会への提出と公開を完了させなければなりません。
市区町村に対して、以下のことを求めてはどうでしょうか。
特定個人情報保護評価については、以下の資料を参照してください。