本書『マイナンバーは監視の番号─徹底批判まやかしの共通番号制度─』の表紙には、日の丸がデザインされています。
まず、このデザインについて著者である私たちには出版前に緑風出版から全く相談なく決められたことを読者の皆さんにお伝えしなければなりません。つまり私たちの本意ではなくこのデザインができたということです。
書籍の表紙デザインはその書籍の内容を象徴的に表現している場合が多く、大変重要なものです。本書の場合、日の丸を背景に人間にナンバーがふられています。出版社の意図はそのナンバーが日の丸=国家によって管理されるというものだったのでしょう。しかし、マイナンバーの本質を理解しない人にとって、その意味は全く異なる捉え方も十分可能です。日本再生のための番号付番を積極的に支持していこうという意味に解することも当然ありえます。こうした意味の多義性を孕んだ日の丸を本書において積極的にデザインとして取り入れなければならない必然性は全く見当たりません。
さらに日の丸には歴史的な経緯が存在しています。その使用には極めて慎重でなければならないと私たちは考えます。通常、日の丸はデフォルメすべきものと考えられていないため、アートの世界でも日の丸をデフォルメした作品はそれを否定的に捉える効果を持ちます。ところがそのまま使用するとそれは肯定的なメッセージとして伝わる効果を持つ場合が多いと言えるでしょう。
本書は共通番号利用に反対するために出版されました。表紙に日の丸がデザインされていることで無用な誤解を受けることを恐れます。
表紙のデザインと本書の内容は全く無縁であることをご了解いただき、忌憚のない本書に対するご意見・ご質問などをいただければ幸いです。
2012年7月20日
やぶれっ!住基ネット市民行動