成型合板の装置
 

 この写真の、なんだか大仰な代物は何であろうか。答は曲面状の合板を作る道具である。

 クッション座の椅子(→参考)を作るときに、これが必要となる。私は、クッション座を曲面にしている。平面でも問題ないという人もいるが、おしりは丸いのだから、座面は凹の曲面になっていた方が座りが良いだろう。また、見た目にも美しい。

 クッション材そのものは軟らかい物だから、クッションを曲面にしようとするならば、下地板を曲面にしなければならない。その下地板を作る際に、この道具を使うのである。

 やり方は、薄めの合板(市販品)を所定の大きさに切り、全面に接着剤を塗布する。それらを重ねて張り合わせ、凸と凹の押し型の間に挟んで圧着するのである。いわゆる成型合板の技術である。私の場合は、4ミリの合板を3枚重ねて一枚の曲面合板を作っている。その凸と凹の押し型が、この写真の道具である。

 張り合わせには接着剤を大量に使うので、ホルマリンを含まないタイプを使うというのも、ユーザーに対する一つの配慮である。

 圧着には大きな力が必要となる。こういう作業を専門にやっている業者は、鋼鉄製の大きなプレス機を使う。私はそのような設備を持っていないので、写真にあるように、ダブルクランプという締め具を6ケかませて締め付ける。手で押した感触では、とても曲りそうもない3枚重ねの合板も、クランプの力を借りると簡単に曲り、ぴたりとくっ付く。

 接着剤で着けてあるとはいえ、無理に曲げているものだから、そのうちバインとはじけて元の平面に戻ってしまうのではないか。当初はそんな心配もしたが、現在までそのようなトラブルは発生していない。






(Copy Right OTAKE 2009.10.13)

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