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「キッチン・ストーリー」 2003年ノルウェー・スウェーデン合作 
監督:ベント・ハーメル 出演:ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールストローム
 中年以上の男性ばかり出演させて、驚くほどユーモラスでほんわかした雰囲気を醸しているのに、まず感心。

 ユーモアはhumanの本質なのね。ユーモアを理解しない堅物で、任務遂行と規則遵守をいう調査団の上司は、一番情けなく見える。そのさらに上にいる、プロジェクトの権威であるの博士(ピカピカの飛行機に女連れでのって世界中を飛び回っているらしい)は、かなり不真面目っぽいのに。

 老人と中年男性の間の不思議な友情。

 観察する側とされる側、無表情に見下ろす視線と不愉快そうに見上げる視線から、同じ高さの目線になって、隣同士ならんで誕生日のケーキを食べるように。きっかけはやはり「食」。すこしずつ近づいていく二人の心を現す、言葉少なな動作がなんともいとおしい。

 全体的にファンタジックで、慎ましく、ほのぼのとした生活風景のなかに、さりげなく重みのある言葉や時代背景がでてくる。

 イザックの家には電話線自体はひかれているものの、通話料が高いから、受話器をとって通話はせず、呼び出し音で暗号的なコミュニケーションしている。リン・リンと鳴って、グラントが来るな、とコーヒーを準備する。

 イザックは、停電が多いから、いつもジャガイモがうまく茹でられない。原子力だとジャガイモが焦げてしまうと思う、という。フォルケは、水力を使うかか原子力を使うかの違いであって、電気は電気だよ、と答える。イザック、「そうじゃない。そんなに簡単な問題じゃないんだ。」

 都会で、アカデミックな世界からきたフォルケが、田舎の不便な生活(一軒しかないお店では、しょっちゅう品切れの物がある。トラクターのオイルとか、チーズとか。)にとどまる決心をした理由は・・・

2004/05/31
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