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百万円と苦虫女百万円と苦虫女

シネ・リーブル池袋 2008年9月

リアリティという面からは、いくつも??がつくのですが、全体的な現実味のなさが、主人公の生き方の希望(というか野望というか)および蒼井優の雰囲気とよくマッチしている気がしました。また、上品なユーモアが感じられ、パンフレット(右写真)を見た時は失笑してしまいました。

ひょんなことから「前科モノ」になってしまい、「百万円たまったら、居場所を変え、誰も自分を知る人のいない土地で一人で生きていく」ヒロイン鈴子の軌跡は、
<実家in東京練馬にて新聞配達・ビル清掃・テレホンオペレータバイトかけもち)→海の家バイト→山で桃収穫手伝い→東京から特急で1時間ほどの町のホームセンター>というもの。

海・山(田舎)では初めて取り組む仕事を褒められます。「かき氷の才能がある」とか「桃もぐために生まれてぎたよだあ」とか。それがどうも訳ありげなよそ者〜しかも若くてかわいい女の子〜を快く迎え入れた地元の人の思いやりだと、気づくことで鈴子はだんだん成長してゆくのでしょう。しかし、この時点では彼女には周囲の人の希望を受け入れる余裕がありません。感謝の言葉を述べながらもその地を淡々と離れます。

町ではじめて仕事に関して叱責を受けます。経験・知識のなさで、当たり前のことながら失敗をしてしまうのです。そこでなにかと助けてくれる優しいアルバイトの先輩(森山未来)に初めて心を開き、恋をして・・・ここで丸くおさめたら、たぶんごくごく平凡な恋愛ドラマになってしまいます。

もう一歩前に進むために、ヒロインは最後の旅立ちをしするのでしょう。

恋人の本心(半分本当で半分嘘だけど*1)をちらりと描き、必死に追いかけさせながらも、ラストですれ違い、ヒロインを旅立たせることで、成長譚(*2)として完成したものになっています。

しかし森山未来くんは、あの顔の不細工さが味なのかしら?たしかになりふり構わない風情に走る姿は似合っている。

*1 100万円たまったら鈴子が出て行ってしまうから、たまらないようにお金を取り上げていた、なんてしょうもない理由を大学の後輩の女の子にはしゃべって、鈴子が聞いても答えなかったわけですから〜。

*2 これが成長譚である所以は、成績優秀だけれどもいじめられっ子な小学生の弟を、実家を出て以降文通を通じて同時並行的に描いているから。弟は姉のあり方に勇気を得ていじめっ子たちに反撃し、弟の気持ちを受け、鈴子も自分を見つめなおし成長する。


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