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「「自分の顔が許せない!」中村うさぎ・石井政之(平凡社新書 2004年) | |
「美容整形の女王」・中村うさぎささんも、「顔にアザを持つジャーナリスト」・石井政之さんも、先行する著作は特に読んでいないのですが、この対談集はナカナカ刺激的でした。美容整形をしたことを公言する行為には矛盾があります。その矛盾を敢えて言語化することで自意識のバランスをとり、商売にしている女性のタフさと、先天的に顔に大きな赤痣があり、懊悩を経て顔と肉体に関することを言語化していくこと---それがときに同様の悩みを持つ人を却って傷つけることがあるとしても---を職業に選んだジャーナリストとが、自身の経験と肉体を通してぶつかり合うからでしょう。 人を容貌で判断するなというのはキレイ事です。これを言うとき、常に自分のことは棚上げされているからだと思います。自分のことを棚上げしているときに人はもっとも無責任になれるのではないでしょうか(笑)。 しかし、なんでついキレイ事がいいたくなるのでしょうかね? 幼い頃から躾られたマナーですとか道徳観念ですとかは、間違いなくキレイ事の方を指し示します。例えば身体障害者が自らが口にする本音は、説得力をもちますが、所謂健常者が吐く本音にはそれがないから、ならばせめてキレイ事くらい言わせてくれ!ということなのでしょうか? 道徳の成り立ちというものを考えてしまいます。 当たり前だけど、自分の顔や姿を自分でじかに見ることはできません。じつは肉体を言葉で現すのは、意識を言葉で表す以上に困難なのかもしれません |
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2004.12.17
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