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人類と建築の歴史」 藤森 照信 (ちくまプリマー新書)
 近代建築は、歴史主義(ヨーロッパ伝統様式に基づく)から抜け出し、造形意識として
アール・ヌーボー=生命の相 → アール・デコ=鉱物の相 → モダニズム=数学の相
と進んだと説明しでモダニズムをこのように説明する。

「数学の相とは幾何学に基づく抽象的な造形世界のことで、この相をさらに掘り進めるには、物体から離れてより抽象性を高めなければならない。厚い壁よりは薄い壁を、太い柱より細い柱を、より軽く、より透明な空間を。その時、主要な材料となるのはガラスである。ガラスは透明ゆえにもっとも物体性が弱く、抽象性が高い建材に他ならない。」(p.166)

建築の誕生は、内部構造としてのインテリア(女性的・安心感といった感情)と、外部=社会への態度を示すファサード(男性的・至高性を求める精神)をもって定義づけられるそうだ。

古代・中世の主に教会建築がこの定義の根底にあるのだろう。現在社会における相当物としては、狭義には都庁舎・公共運動施設などの公共建築、ランドマークタワーなどになるが、マンションというのは、同時に住居でもあるので、定義上もっとも比較をしやすいようだ。

だとすると、近代というものは、所謂個人の「自我」なるものが発展し、一方で社会に対する態度が均質化した。

個性の重視が唱えられる上で、殻はなるべく薄く透明なほうがいいということか・・・

2005.06.20