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「火宅の人」 檀一雄  (新潮文庫)
 長編小説としては、非常につまらないものだった。構成もなにもないし、物語や人物像の発展もないただ漫然と「放埓」な日常生活を描写し、そこになる語り手の意気込みやら諦観やら思い入れらしいものを書き連ねているだけに思える。まあ、その思い入れが暗くてウェットなものでないのが救いかな。

 部分部分ではまあ面白いところもあったけど、前後の退屈な物語にはさまれてしまうと、魅力が減じてしまう。また、登場人物の命名にセンスのかけらもかんじられないのが、おもしろいといえばおもしろかった。

 

2004.0720