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結婚の条件」 小倉千加子  (朝日新聞社 2003年)
なんとも律儀な人である。

フェミニストにしては芸達者だし珍しくヒステリックでないバランス感覚の持ち主だと思っていたら。

今現在の晩婚化・少子高齢化現象を深く憂い、その原因を相変わらず確かな歴史的・社会現象の分析と卓抜した「ギャク」センスにもとずく舌鋒でびしばし記述しながら若者に---女の子に---結婚を勧めている。(しかし、この人の場合論証にに際してかなり大胆な対照と比喩を使う。それが面白いのだが、わざわざその二つを比較することもあるまいに・・・と感じることもままある。)

「高望みしちゃいけないよ。じぶんの身の丈にあった相手と一緒になりなさい」というのは、結局なんだか昔の世話焼き婆さんの言ってた事と同じで面白い。

相当に日本社会の将来に対し悲観的になっているが、これは短大とあまり就職先のよくない大学で長らく学生と話をした結果かしら。諦めてしまっている人を前にし、自分はなにもしてあげられないのは、確かにとても悲しい。

すでに結婚を全面否定するタイプのフェミニズムは時代遅れになった、あるいは、一部の「経済特区」としての弁護士・医者・学者フェミニストなど社会的経済的身分の保証された職につけた人にしか当てはまらないときちんと宣言しているのは正直いってすばらしい。良心的だと思う。高い学歴・とび抜けた才能・抜群の美貌をもたないフツーの女の子が、この不況下・就職難のもとで生き残るためには高い収入の夫を見つけること、とフェニニスティック(女の子に優しいといった意味のみ)に言ってしまっているのが、「高望みするな」というメッセージにたいする矛盾として残る気がするが・・・。

2004.02.17