人外シーフ ◇ | ||
| |||
はじめに | |||
D&D game を遊んでいて一番困る時は、シーフ役のプレイヤが欠席した時だと思います。 プレイヤサイドでは、 「シーフがいればこんな所は簡単に潜入できるのに…」などといったところでしょう。 DM サイドとしては、 「自分で作ったダンジョンを NPC シーフに探索させるのって、自分で作ったトリックを自らバラしてるみたいだな」という気分になって、いずれにせよ、ゲームが面白く無いのです。 かといって、同じパーティに二人のシーフを常備しておくのはなんだか勿体無い配役のようにも思えます。 (私自身は、シーフに限らず『二人目のクラス』をやる事には抵抗ないんですけども) D&D game のような、クラス制を導入している RPG では、このような問題も少なくないでしょう。 どんな場面でもそうですが、『2番手』をおいておくのは良い事です。 もしパーティが分断されたとしたら、どうなるのでしょう。 シーフがいる側なら探索に問題はありませんが、そうで無い側は、深刻な問題になります。 もっとも、二人いないと困るのはシーフだけではないのですが、シーフのそのスキルフルな探索っぷりは、スペルキャスターとちがって回数に制限はありませんから、いつなんどきでも、有用なのです。 そこで、デミヒューマンにその憂き目を改善してもらう事にしました。 あえて、デミヒューマンキャラクターに『2番目の』探索役になってもらうのです。 GAZ10 The Orcs of TarsやGAZ13 The Shadow Elvesによると、スキルの選択ルールのなかに、シーフとかぶる DEX 用スキルがあります。 恐らくこれは、シャドウエルフやオークをはじめとしたデミヒューマンには、人間でいう『シーフ』がいないからだと思われます。 それらの GAZ 内だけでキャンペーンをやると、基本的にはファイター(とシャーマン、ウィッカ)だけのキャンペーンになってしまい、探索役がいないということになってしまうのです。 (それはそれで面白そうですが) そこで、探索役、人間でいうシーフ的な役割を持った PC を作ろうとして、シーフとかぶるような DEX ベースのスキルが考案されたのでしょう。 これらを、私のキャンペーンでも導入します(ちょこっといじりますが)。 以下に挙げる DEX ベースのシーフ的スキルはデミヒューマン(またはヒューマノイド)にしか習得されません。 もし、人間キャラクターで以下のスキルを習得した場合、そういう人達のことをこそ、『シーフ』と呼ぶのです。 (人間キャラクターにそれらの修得を認めてしまったらシーフの存在が危ういのです) 以下のシーフ的スキルは、そのときのそのデミヒューマンのレベルに等しいシーフとして成功率を定めます。 例えば、5 レベルシャドウエルフがヒアノイズスキルを習得したとすると、彼は、5 レベルシーフと同じ確率(50%)でヒアノイズできます。 まあ、なにもしなくてもエルフやドワーフは、技術を持たない人間よりもヒアノイズの成功率が高いのですが。 | |||
デミヒューマン用シーフ的スキルリスト | |||
ファインドトラップ(ディザームトラップ、セットトラップ)
罠を探知します。
もしファインドトラップに成功したら、次は、解除するか改めてその罠をセットするかできます。 ただし、解除もセットも、改めてファインドトラップ判定に成功しなければなりません。 ヒアノイズ
同名のシーフスキルと同じ効果を持ちます。
ブラインドシューティングのスキルと組み合わせる事もできます。 ブラインドシューティングのスキルチェック時に、+1 のボーナスを受け取ります。 ブラインドシューティングスキルがないキャラクタがヒアノイズを習得すると、暗闇にもかかわらず、命中判定に +1 のボーナスが入ります。 暗闇によるペナルティは当然受けますが。 ハイドインシャドウ
同名のシーフスキルと同じです。
ムーヴサイレントリィ
同名のシーフスキルと同じです。
ピックロック
鍵をあける為の技術です。
シーフスキルでいうところのオープンロックのことです。 普通のデミヒューマンがシーフ用工具を持っている事はないでしょうから、常にハリガネ等で代用していると考えられます。 シーフツールのない状態でのピックロックには、なんらかのペナルティが科せられるでしょう。 (成功率に -20% とか、そもそも鍵開けを実行できないとか) 註)バックスタビングは習得できません | |||
スキルの使用 | |||
以上のスキルは、通常通りのアビリティスコアに基づくチェックは行なわれません。 なぜなら、DEX 18 の 1 レベルシャドウエルフが、何年も経験を積んできたシーフ並に罠を外せるのは変だからです。 DEX チェック(キャラクターの DEX 値以下を 1d20 で出すと成功)を行なうのは、 「そのシーフ的スキルをいかんなく発揮できるか?」のために行なうのです。 例えば、3 レベルオークが罠を探す時は、もちろんファインドトラップを使うわけですが、ファインドトラップスキルを上手く扱えるかどうかというところで、最初に DEX チェックを行ないます。 もし失敗したら、ファインドトラップスキルをいかんなく発揮できないことになり、つまりは、ファインドトラップそのものを実行できません。 もし成功したら、ファインドトラップを実行できます。 その状態で、3 レベルシーフの様に %d を行ない、その結果が成功ならファインドトラップ成功で、そうでないならやはりファインドトラップは失敗です。 スキルチェックをいちいち挿むのはめんどうですが、すでに PC シーフがいる状況で、あえてデミヒューマンの素人にでしゃばっては欲しくないのです。 その場に PC シーフがいないのなら、スキルチェックは省いても構わないと思います。 そんなときだからこそ、あるいはそんなときにだけ、デミヒューマンの技術者が必要なのです。 これらのスキルをレベルアップさせるということ、例えばファインドトラップ +1 などは、そのシーフ的スキルに関しては、本来よりも高いレベルでシーフ的スキルを判定できるということになります。 例えば、ハイドインシャドウのシーフ的スキルをもつ 4 レベルのオークが、ハイドインシャドウのスキルを一つ上げると、4 レベルシーフとしてではなく、5 レベルシーフとしてハイドインシャドウを実行できます。 もう一つレベルをあげて、ハイドインシャドウ +2 にすると、6 レベルシーフ並になるのです。 このオークが 5 レベルに到達すると、そのハイドインシャドウは 7 レベルシーフとして扱われることになるでしょう。 シーフキャラクターがレザーアーマーまでしか着用できないのは、その技術が重い鎧によって阻害されてしまうからなのでしょう。 従って、デミヒューマンの技術者たちも、シーフ的なスキルを実行する際には、シーフ同様のペナルティが科せられます。 つまり、鎧はレゲーまでです。 (それくらいのペナルティがないとデミヒューマンでシーフ的に振舞う方が有利になってしまいます) | |||
提案 | |||
このローカルルールの導入の注意点は、PC シーフの立場を奪わないようにしなければならないというところです。 シーフにしかできないことをあえて、デミヒューマンにやらせるわけですから、どんな場合においても、シーフのほうが数段有利になるように判定しなければなりません。 (さもなくば、だれも PC シーフをやらなくなります) どうしてもシーフ的デミヒューマンを作りたいのなら、ヒットダイをより小さいものに変更させてしまったり、鎧はレザーまでしか着用できないようにしたりと、いろいろ補正するべきだと思います。 PC のシーフがすでにいるならば、デミヒューマンシーフはその技術を表に出さないように注意しましょう。 | |||
<<< 戻る |