ヴァルキュリア聖騎士団 ◇

戦乙女聖騎士団(オーダーオブザヴァルキュリア) ◇

この組織は、ラウニィ神殿の軍事組織であると同時に、君室の近衛騎士団である。
その内容は乙女で構成された9人のラウニィのパラディンを筆頭とした、
女のファイターとクレリックの集団である。
男や、他のクラスであることは許されない。

この組織は、国の内外を通じてとても知名度が高い。
ラウニィの教義からなる母性(癒し)と父性(攻撃)を具現する彼女たちは、
身分の低い(ラウニィを信奉する)先住ナイニッシュや、
とかく権力の中枢から外されがちな女たちからは、希望と羨望をもって称えられる。
彼女たちは虐げられる者たちの希望そのものなのである。

組織の女たちは、主に君主やその一族、ラウニィの大司教の側に侍り、近辺の護衛を務める。
女で構成されているため、男女どちらの君族でも護衛がかなうのである
(男に君姫や君妃の護衛を24時間はさせられない、という訳である)。

この聖騎士団の団員になるというのは、
ナイニッシュとしても女としても大変な名誉であるので、
毎年数多くの乙女たちがラウニィ神殿の門をくぐり、団員となることを目指す。

聖騎士団員となるには;
  1. ラウニィの信者でなければならない
  2. 精神が混沌や中立に傾倒していてはならない: キャラクターはローフルでなければならない
  3. 女でなければならない
  4. ラウニィの使徒の象徴である武器に嗜みがなければならない: ランス、パイク、スピア、トライデントなどの槍系武器の武器技術度がベーシック以上でなければならない
  5. ラウニィの意志を具現する者として、醜いまたは人の和を乱す存在であってはならない: Cha値が9以上でなければならない
  6. 聖騎士団員として非力脆弱の徒であってはならない: Str, Dex, 及びCon値の全てが6以上でなければならない

聖騎士団員には以下の特権が与えられる;
  1. 年間1200 GP の給金と800 GP の特別給金が支払われる
  2. 聖騎士団員はラウニィの愛し子なので、他者が団員を人間ではなく劣情の対象と見なした時点で自らの尊厳のためにこれを排除してよい。非合意での性行為に及ぼうとしてきた中流階級以下の者を、裁判なしに死刑にする権限が与えられる。

ヴァルキュリア聖騎士団員の女性たちは、自らがその団員であることを誇るのが普通である。
従って団員の証しである印を、身体の、自然に目立つところに付けているのが普通である。


戦乙女(ヴァルキュリア) ◇

聖騎士団の名前にすらなっている、聖騎士団員の筆頭たち。
それが「戦乙女(ヴァルキュリア)」の名で呼ばれる9人の乙女である。
このヴァルキュリアと呼ばれる地位につくには、並大抵の実力と運ではかなわない:
第一に、9人がしっかりと揃っている間は新たなヴァルキュリアが選出されることは決してない。
次に、既にいるヴァルキュリアの誰かが、
40歳を過ぎて勇退するか、
決定的な不祥事を引き起こしてヴァルキュリア位を剥奪されるか、
のどちらかが起きたときに初めて、新たなヴァルキュリアがラウニィ大司教の権限によって選定される。

以下に、ヴァルキュリアとして選定されるに必要な条件を記す;
  1. ラウニィのパラディンでなければならない: ファイターは、パラディンの地位を獲得するためにラウニィ神殿に忠誠を誓う必要がある
  2. 女でなければならない
  3. ラウニィから呪文を授かれるだけの賢明さをもっていなければならない: Wis値が13 以上でなければならない
  4. ナイニーア君主国、ならびにラウニィの使徒の象徴である武器に長けていなければならない: キャラクターはランス、パイク、スピアなど、槍系の武器熟練度のどれか1つがスキルド以上でなければならない
  5. ラウニィへの信仰と同じ水準で、君主国と君主に絶対の忠誠を誓わなければならない: ラウニィのパラディンの義務に縛られると同時に、ナイニーアのナイトとしての義務にも縛られることに同意しなければならない
  6. 君族の側に侍る者として、求心力があり、かつ麗しい存在でなければならない: キャラクターはCha値が16 以上でなければならない
  7. 君族を守護したもう騎士として、質実剛健の徒でなければならない: キャラクターは、Str, Dex, 及びCon の各値が13 以上でなければならない
  8. 君族を守護したもう騎士団員として、若輩に過ぎても年配に過ぎてもならない: キャラクターは19 歳以下または41 歳以上であってはならない

上記の通り、ヴァルキュリアとなるには非常に過酷な条件をクリアすることが必要となる。
このヴァルキュリアになるには相当に狭き門をくぐる必要があるが、
志願者もまた多い為に構成員が欠けた時代はない。
しかし、すぐに見つかるものでないことも確かなので、欠員が出た時の為に、
大司教位の者は聖騎士団員の中から予め次のヴァルキュリア候補を選んであるのが普通である。

また、この狭き門をくぐり抜けた乙女には、
通常では信じ難いほどの特権が与えられることも確かである。

ヴァルキュリアが与えられる特権;
  1. 年間120000 GP の給金と80000 GP の特別給金が支払われる
  2. ヴァルキュリア聖騎士は君主の臣下であるが同時にラウニィの愛し子でもあるので、他者が団員を人間ではなく劣情の対象と見なした時点で自らの尊厳のためにこれを排除してよい。たとえそれが君族であろうとも(君主本人であっても!)、非合意での性行為に及ぼうとしてきた者を裁判なしに死刑にする権限が与えられる。
  3. 君主とその配偶者、ラウニィの大司教の3人以外の、他の何者にも膝を屈する必要はない(この特権がヴァルキュリアにふんぞりかえることを保障するわけではないことに注意せよ)
  4. 一度でも団員となった者は、以後死去するまで税金の義務を免除される。ただし、聖騎士団を退いた理由が不正行為等による不名誉なものである場合を除く。
  5. 有事の際には、将軍の権限とともに騎兵100 騎までの兵を求める権利を有する

以上の特典の他に、パラディンとナイトが持つ特典も同時に与えられる。
例えば、君族または大司教による武装招集や助けを乞う者に援助を惜しまないことなど。
(コンパニオンルール参照)


なぜヴァルキュリア聖騎士団員は優遇されるか?

「場合によっては 主 をも殺してよい」などという法は、
ユリニア広しといえどもナイニーアにしか存在しない。
聖騎士団筆頭ヴァルキュリアは、何故そこまでの特権を享受できるのか?

ナイニーア国外の者は不信がり、
国内の者は自分もいつかは、とか、
自分も女に生まれていれば、
と悔しがる。

ここでもまた、かの「英雄君主」アーサーが関係している。
ラウニィ神殿に依頼し、
そのラウニィの女聖騎士たちを祖先の神話の中に出てくるイモータルたちの使徒の名を冠させ、
護衛として近辺に侍ってもらう代わりに巨大な特権を与えたのは、
他ならぬアーサーその人なのである。


君主アーサーとラウニィ神殿の関係

君主アーサーの出自は、現在でも宰相位の者を輩出し、
今までにも様々な実力者を送り出した、
名門ウィルバーフォース家の出自となっている。
そのウィルバーフォース家であるが、
君主アーサーの腹心「軍略の祖」の高名で知られるギルバート卿の父ヘンリーが、
当時ラウニィ神殿の長に恋をしたことがあったという。
一部では君主アーサーはヘンリー ウィルバーフォースと当時のラウニィ神殿長との間の子ではないか、
という説が根強く残っている。
真実の程は定かでないが、もしそうならば、
君主アーサーがラウニィ神殿にこのような巨大な特権を与えた理由のひとつには数えられるに違いない。


ナイニーアのラウニィ神殿への世間の評価

本来、戦乙女位や大司教位のような、
国から様々な特権を享受する地位を得ることは、ラウニィの教義からは外れた行いと言える。
この事実を元に世間では彼女たちを、
「他国のラウニィ神殿より権力を求めるほど腐敗している」
と酷評する者たちもいる。
だがひとつ確かなことは、彼女たちは確かに呪文を行使できるということである。
もし世論が真であるならば、
彼女らはいったいどのイモータルから呪文を授かっているのだろうか?

"群がる悪"の勢力

少しでも神学を学んだ者であれば、善なる自由意志を尊重するラウニィと、
悪の秩序を是とするケ=ヴィシュが、激しく対立していることは常識である。
そしてそのような神々の険悪さを代行している訳でもないのだろうが、
古来よりラウニィの勢力が根強いナイニーアの地では、
一方で暗躍する闇のイモータルの手先は
(メルビットやラカラカーンといったイモータルがいるにもかかわらず)
ケ=ヴィシュのしもべたちが圧倒的に多かった。
ナイニーアは、ラウニィとケ=ヴィシュの代行戦争の地とまで言われたゆえんである。
そしてここに、「ナイニーアのラウニィ神殿への世間の評価」の噂と相成って、
これまたまことしやかな噂がナイニーアでは流れている;
「戦乙女も大司教も、実はラウニィ僧を装ったケ=ヴィシュの手先なのではないか。
奴等が、ラウニィ神殿の名声を貶めようとしているのではないか」

無論、(今のところは)そのような事実は存在していない。
しかし、ラウニィ神殿はそのような噂を放置しており、噂は今のところやむ気配がない。

ナイニーアの社会 に戻る

K340へ 目次へ