行殺(はぁと)新選組 りふれっしゅ『恐怖! 機動ビグ・サノ』
第4話『私の最高傑作です』


「まったく、あのジジイ! か弱い美少女のあたしにこんな重労働をさせるなんて、今にきっと神罰を落としてやるんだから!」
 雇い主に神罰が下ったらバイト料をもらえなくなるんじゃなかろうか?
 ブツブツ文句を言いながら大八車を引いてるのは、頭に巨大な鈴をつけた白衣びゃくえ朱袴あかばかまの美少女(※本人談)巫女さん。バイト少女のおまちちゃんだ。
「高額のバイト料に目がくらんだあたしが馬鹿だったの。でも手っ取り早くお金を稼ぐには、お水か、肉体労働か、宗教に限るけど、黒船が来ても神風が吹かないから、神社の信用ガタ落ちなのよね。学者ならあたしに相応ふさわしい知的労働だと思ったのに、科学って体力だったのね! でも、純情可憐な超絶美少女のあたしでも、運命のマイ・ダーリンに出会えるその日まで、生きていく為には働かなければならないの。働かざる者食うべからず! 欲しがりません勝つまでは! 大東亜共栄圏で鬼畜米英なのよ!」
 言葉の機関銃のごときおまち節が炸裂するが、それでも大八車は猛スピードで進み続けている。

 大八車は止まる事なく東海道を東へ向かい、大津から船で長浜へと向かった。途中、文句を言いっ放しだったおまちちゃんは割と凄いと思う。




「ただいま〜」

 今日の仕事を終えて原田沙乃&新選組10番隊(含む俺)が京都守護職戦車隊の長岡京基地に帰って来た。
 黒谷の金戒光明寺は御所から遠くて不便なので、現在、御所のすぐ西(※現在京都府庁の建物の建ってる敷地全部)に広壮な京都守護職屋敷を建設中なのである。荘麗で立派なお屋敷なのだが、実は御所の近辺に会津藩兵1千名を常駐させる事が目的だ。これが完成すれば長州も下手に動けなくなる。
 んで、新選組建設班になってしまった10番隊は、この守護職屋敷の建設に駆り出されているのだ。新選組のスポンサーである会津藩の御下命ごかめいなのでもちろん通常のお手当だけである。

 沙乃が格納庫ハンガーの鉄扉を開けて中に入ると、近藤さんの虎徹戦車キングタイガーが解体されていた。天井走行ホイストクレーンが砲塔を吊り下げて天井のレールを移動中で、機関室エンジンルームの上の装甲板パネルが外されている。
 珍しい光景なので10番隊の皆はその場に立ち止まってしげしげと見入ってしまった。
「ついにスクラップかな?」 俺が首をかしげると、
「違うもん、改造するんだもん」 戦車の陰から近藤さんが猛反発してきた。両手をぐるぐる回して怒ってる。
「そー。キングタイガーは強いけど、何せトロいからねえ。エンジンを載せ代えてパワーアップするのよ」
 エンジンルームの上に屈み込んでいた整備兵がひょこっと顔を上げる。ポケットのたくさんついたオリーブドラブ(←こーゆー戦車色)の作業ズボンに同色のタンクトップといったラフな服装だ。ちなみにノーブラである。革手袋に工具を持ち、ウェーブのかかった長い金髪は帽子の中に押し込んである。
「なぜにカモちゃんさんが???」
「だって、ほら、アタシ前世じゃ戦車整備兵だったじゃん」 しれっと答えるカモちゃんさん。
「それより、見て見て、ほらー」
 近藤さんが有線リモコンの操作ボタンを押すと、先程砲塔を持って行ったホイストクレーンが天井のレールを滑って来る。吊り下げられているのは真新しい白い・・・エンジン?
「最新のマイバッハ製ディーゼルエンジンよ☆」 と自慢気じまんげに近藤さん。
「何とターボつきで1500馬力もあるのよ」 同じく自慢気じまんげにカモちゃんさん。
「ターボというと一気に加速して空を飛ぶ!?」
「島田、それナイトライダー・・・」 俺の横で斎藤が適切なツッコミを入れる。
「ターボは空気を強制的にたくさん送りこんで、エンジンの燃焼効率を上げる装置だよ。元々は空気の薄い高空を飛ぶ戦闘機用に開発された技術なの」
 とへー(※藤堂たいら)。前世でモバイルコンバットオフィサーだった彼女はこちらの世界では砲手だ。システムに強いので無線係なども兼務している。
「じゃあ、ターボで空は飛ばないんじゃないか?」
「飛ばないよ」 あっさりとへーが肯定する。
「ナイト2000は・・・」
「ポパイのホウレン草みたいなものだよ。アメリカ人的なお約束ね」
 言われてみると、米国のヒーローは普段は弱いのに、変身すると無敵になるのが多いような気がする。
「でも、これでようやく普通に運転できます」 これは戦車操縦手のそーじ(※沖田鈴音)だ。砲塔のなくなった砲塔リングから顔を出す。彼女は戦車の内部で作業中らしい。
「セラミック製だから重量も軽いし」 とカモちゃんさん。なるほど、それで白いのか。
「そういえば、セラミックエンジンって無意味だから開発が中断してたよーな・・・」
「燃焼温度じゃ意味ないけど、大幅な軽量化に繋がるのよ。だからクランクケースやコンロッドはセラミック製だけど、シリンダーやピストンは合金製よ。ラジエーターや空冷ファンも新型にして効率は上げるけど、基本的に水冷エンジンよ」
 うお! カモちゃんさんらしくない技術的な話を・・・。
「セラミックという事は・・・伊万里焼だと割れちゃうんじゃないですか?」 ボケた質問をするのは斎藤だ。
「どこの世界に伊万里焼のエンジンがあるんだ?」
「白いから信楽焼じゃないよね?」
「ファインセラミックスの方だ」
「ああ、あのがなくていい包丁の?」
「斎藤、なんでお前の知識は家庭科方面に片寄ってるんだ?」
「このセラミックは剛性と弾性を兼ね備えてるから性質は金属に近いんだよ」
「金属との違いは耐熱性ね。熱しても溶けない〜☆」
「いや。溶けるエンジンってのも嫌な感じですが・・・」
「トランスミッションも小型の流体トルクコンバーターに変更するの☆」
「簡単に言うと、オートマね」
「これまでは前進8速、後進4速のマニュアルだったから、運転は楽になります」 とそーじ。時速30kmしか出ないのに8速というのは確かに嫌だよなあ。
「トランスミッションのユニットは床下にあるから、砲塔を外さないと取り出せないんだなあ」 なるほど、それで砲塔を取り外したのか。
「トランスミッションはエンジンと一体型のユニットじゃないんですか?」 実は現在のエンジンはトランスミッションまで一緒にユニット化されていて、それでパワーパックを構成しているのだ。
「そうよ。だから、要らなくなった前のトランスミッションを撤去するの☆」
「主砲も88mm砲からラインメタル社製の44口径120mm砲に変えるんだよ。破壊力抜群よね」
 カモちゃんさんが恍惚の表情で続ける。カモちゃんさんは大砲屋だからなあ。
「給弾ベルト方式の自動装填装置付きだから速射が可能なんだよ」 とへー。彼女は鉄の架台の上に載せられた、その120mm砲の所にいる。
「はい! 世界最強の戦車砲は140mm砲じゃないんですか」
 俺が挙手してつっこんでみる。90式に代わる陸上自衛隊の次期主力戦車KT−Xは140mm砲を搭載するのだそうな。
「えー、あれ反動が凄そうだし〜。第一、携行砲弾数が少なくなるじゃん!」
 とカモちゃんさんから瞬時に返された。
「はい! 現在、120mm砲は44口径よりも射程の長い55口径が主流になりつつありますが!」
 レオパルド2の最新型であるA6型以降から主砲は44口径120mm砲から55口径120mm砲に換装されている。
「確かに初速は速くなって貫通率が上がって射程は伸びるけど、滑空砲だから命中率が下がっちゃうんだよ」
「百発百中の砲1門は、百発一中の砲100門にまさるのよ!」
 今度は2人から反論されてしまった。たしかにどんなに強力な攻撃も当たらなければ意味はないので、2人の選択は正しいのかもしれん。

「ゆーこちゃん、装甲板は英国製の複合装甲チョバムアーマーでいい? 大幅な重量軽減になるよ」
「カーモさん、フェイズシフト装甲はどうかな?」
「あれ、電気を食うからねえ」
「ラムダ・ドライバは?」
「あれも電気を食うからねえ」
「発電機も変えるけど、そんな大電流は無理だよ。ゆーこさん」 とへー。
「じゃあ、パラジウム・リアクターを積んで〜」
「けほけほ、原子炉は身体に悪そうだから嫌です」
「じゃあ劣化ウランも駄目ね」
「つーか、それらはまだ全然実用化されてないのでは?」 劣化ウランを除けば全てSFの世界だ。
「でも重量が減って、エンジンの出力が2倍以上になるから、えーと時速60kmぐらい出ると思うよ」
「高機動・大火力・重装甲の世界最強の戦車の誕生よ☆」
 どうやら俺たちが出掛けてる間に虎徹戦車キングタイガーの改修案は4人で議論し尽くされてるようだ。

「ねえ、ゆーこさん」

「なーに、沙乃ちゃん」

「そのエンジンとか大砲とかどうしたの?」

「・・・・」 無言の近藤さん。
「・・・・」 同じくカモちゃんさん。
「・・・・」 そしてそーじ。
「・・・・」 更にへー。全員が一瞬固まった。

「買っちゃった☆」 まるでアクセサリーを衝動買いしたかのように言う近藤さんだが、戦車RPGでもあるまいに、戦車のパーツを衝動買いしないで欲しい。つーか、一体どこに売ってるんだ?
「・・・素朴な疑問があるのですが、その金は一体どこから・・・」
「外にあったガラクタが売れたんだよ☆」
「外?」 近藤さんの指さす先を一斉に見る俺たち。
「あ! 戦車の残骸がなくなってる」 と斎藤。
 帰って来たときは気付かなかったが、そう言われてみると、再生と部品取りの為に戦場から拾い集めて来たM4シャーマン戦車の残骸の山がきれいになくなってる。あれの一部は鋳潰されて沙乃専用シャベルとか沙乃専用ツルハシとかに作り直されたのだが、大部分が鉄屑のまま放置されていたのだ。
「あんなに大量に一体、どこに売れたんですか?」
「島田くんの恋人が1万両で売って下さいって」
 1万両という事は、日本円にすると約2億円。
「億ですか! あの鉄屑にそんな無茶な!」
「島田の恋人って大金持ちなんだね」
「そんな大金持ちの恋人がいたら、俺は新選組に居ないと思うぞ」
「それはそうだね」
 俺と斎藤が小声で話していると、なぜか沙乃が怒り出した。

「島田の恋人って誰よ!?」

「沙乃に決まってるじゃないか」 と冷静に返す俺。そしてその瞬間、俺の周囲が暗くなった。
 ズシンッ。次の瞬間、畳サイズの靴底が俺たちのいた所に落ちて来た。
「うおっ!」 とっさに横に飛んで床を転がる。俺の隣にいた斎藤も反対側に飛んでいた。

「いつから、沙乃がアンタの恋人になったあ! 馬鹿言ってると踏むわよ!」

「いつも踏んでから言うな! 避けないと死んじゃうだろ!」
「島田、命懸けの冗談を言うくせめた方がいいよ」 と巨大な靴の向こう側から斎藤。巻き込まれた割には冷静だ。
「今の沙乃は俺とサイズが合わないからな。本当の所、俺の恋人と言えばアダルティな土方さんに決まってるだろ。 元の沙乃はお子様だけどな」 踏まれかけた腹いせに更に沙乃をあおってみる。これは言わば儀式のようなものだ。俺は沙乃の更なる攻撃を予測して、そのままハンガーの床をゴロゴロ転がって避ける。
「あれ?」 だが沙乃からの追撃はなかった。変だな、いつもなら『お子様って言うなー!』とか言ってキレるのだが・・・。
「えっ、島田くんとトシちゃんって付き合ってたの?」 そして俺の言葉に近藤さんが反応した。
「秘密にしろと土方さんから言われてたのですが、ばれてしまっては仕方がない」
 よく分からんが沙乃からの攻撃はなかったので、そのまま転がる勢いを利用して立ち上がる俺。沙乃はあわれむような目で俺を見下みおろしてる。なんだ、この反応は?
「え〜、島田クン、歳江ちゃんのどこがいいのよ?」 カモちゃんさんが笑っている。よし! どうやらウケは取れたようだ。
「夜は素直でかわいいんですよ。昼間は『島田』と呼び捨てにされますが、2人きりになると『誠様』って色っぽい声で・・・」

「島田、トシさんそこにいるわよ」 沙乃が不吉な言葉で俺の台詞をさえぎる。

「はっはっはっ。沙乃、悪い冗談はよせ」

「いや、冗談じゃないんだけど・・・」 沙乃の表情かお不安気ふあんげだ。

「2人の秘密をベラベラしゃべるものではないな。なあ、誠様」 その声に俺は凍りついた。
 虎徹戦車の車体を回り込んで土方さんが出て来る。どうやら戦車の向こう側に居たらしい。俺よりも視点の高い沙乃からは見えてたようだ。
「ひ、土方さんっ」 俺の声が恐怖のあまり裏返る。
「夜はかわいいということは昼間はかわいくないのか?」
「昼間は美人ですが・・・」 その程度のお追従ついしょうで誤魔化されるような土方さんではない。ダラダラと冷や汗が流れる。まさに蛇に睨まれたカエルだ。
 助けを求めて周囲を見回せば、近藤さんは車体を叩いて笑いをこらえているし、カモちゃんさんは戦車の上で笑い転げている。そーじとへーはあきれており、沙乃は哀れんでる。
「だから命懸けの冗談はした方がいいと・・・」 と斎藤がつぶやくが、もう遅い。


「そういえば、トシさんがここに来るって珍しいわね」 どうやら助け舟を出してくれたようだ。

「うむ。芹沢さんが虎徹戦車の改造に長岡京に行くというのでな。そのまま逃走しないように見張りに来た」 よし! 土方さんの気がれた!
「そんな事言って、本当はいとしの誠様に会いに来たんじゃないの?」
 と蒸し返すカモちゃんさん。お願いです、余計な事を言わないで下さい!
「・・・・」 うあ! 土方さんが無言で怒ってる。やばい、このままだと俺は確実に殺される!
「えーと、じゃ、俺はこのへんで・・・」
 逃げようとする俺の腕がガシッと捕まれた。万力のように指が腕に食い込んでる。
「そうだな。久々に積もる話もあることだし、工場の裏にでも行こうか、誠様」
 そのままズルズルとコンクリートの床の上を引きずられて行く。
「うわ〜、誰か助けて〜!」
 もちろん誰も助けてくれないのであった。

「連れて行かれちゃった」
「トシさんを相手に冗談を言うなんて誠も命知らずだね」
「歳江ちゃんも堅物かたぶつだからねえ」

「島田のバカ・・・」


「ところで近藤局長、島田の恋人って誰なんですか?」
「何で、斎藤クンが気にするのかなぁ?」 カモちゃんさんが茶々を入れる。
「い、いえ、ぼ、ぼくは別に・・・」
「おまちちゃんだよ」
「自称、島田さんの恋人です」 とそーじ。
「門の所で会津藩のお侍さんから止められて、『あたしは、新選組の島田誠さんの心と体の恋人です〜』って大声で叫んだのがここまで聞こえてきたから、慌てて出て行ったらおまちちゃんだったの」
「おまちちゃんらしいというか何というか・・・」
「話を聞いたら、別に島田くんに用事があるんじゃなくて、外の鉄屑を買いたいって言ったから1万両って吹っかけたの☆」

「1万両って吹っかけ過ぎじゃないの?」

「だって虎徹戦車キングタイガーの近代化改修費用が欲しかったんだもん」
「でも、本当に1万両を持って来たのには驚きましたね」 とそーじ。
「うん。冗談だったのに」
「1万両も運んで来るのって大変だったんじゃないんですか?」 と斎藤が尋ねる。
「あ、1万両を持って来たんじゃなくて、鴻池こうのいけの手形だったよ」
 鴻池というのは大坂の両替商だ。1万両と言えば千両箱で10個にもなる。それを運搬するのは大変だし、警備も必要になる。現在でもそうだが、麻薬や武器などのヤバい取引を除けば2億円もの取引をするのに1万円札詰めたジュラルミンのトランクを運んだりはしないものだ。江戸時代も現在もそういう大きな取引は手形や小切手で行うのである。

「それ、本物だったの?」 おまちちゃんの事だ。手形の偽造ぐらいはやりそうである。

「本物だったよ。ちゃんと鴻池で小判に両替できたし。お買い物もできたし」
「偽物だったらどうする気だったんですか?」
「斬ります」 そーじが真顔で答える。美少女揃いなので誤解されがちだが、新選組はそういう組織なのだ。

「なんであのがそんな大金を持ってたの?」

「さあ?」
「さあ・・・って、変じゃない。戦車の残骸からM4の性能を分析されたらどーするのよ」
「相手はおまちちゃんだから別にいいんじゃない?」 とカモちゃんさん。

「裏でキンノーと繋がってるかもしれないじゃない!」

「でもあれ、元々、向こうの戦車だし」 とへー。
「それに使える部品は予備パーツとして全部取っちゃったたから、後は本当に残骸ですよ」 とそーじ。
「大丈夫なんじゃないかな?」
 そろって呑気のんきな連中である。

「単なる町娘のおまちちゃんが1万両もの大金を持ってて、しかもその金で戦車の残骸を買いに来るなんて、どう考えても裏があるわ!」

「そう言われると、確かにそうね」
「あんなにたくさんの鉄を何に使うのかな?」
「・・・・」
「・・・・」
 どうやら2人とも不安になったらしい。
「壬生に戻ったら監察部に調べるように命令を出してみる〜」 とカモちゃんさん。

「はぁ」 沙乃は大きなため息をついた。




 近江国おうみのくに、琵琶湖の東岸に天領(幕府直轄地)の国友村がある。元々、京極氏の領地で鍛冶職人の集まる村だったのだが、足利義輝から鉄砲の生産を命じられ、天文13年(1544年)8月12日には2丁の火縄銃を完成させて足利将軍に献上している。種子島に鉄砲が伝来したのが天文12年(1543年)の8月25日だから、日本に鉄砲が伝わってから1年も経たない内に国友では鉄砲が生産された事になる。驚異的な技術力だ。
 この後、戦国時代の霸者は次々と変わるが、その間も最新鋭兵器である鉄砲の生産地として国友村の重要性は変わらなかった。最終的に徳川家康が将軍となり徳川の世が来るが、関ヶ原の戦いの前から徳川家に対して鉄砲を供給してきた国友村は幕府の鉄砲生産工廠のような感じで幕末に至るまで国内最大の鉄砲生産地として名を馳せるのである。

 その鉄砲生産基地たる国友村におまちちゃんが来ていた。長岡京から鉄を買い付けて来たのである。浦賀に黒船が来航して以来、海防の必要性から鉄の値段が高騰している(沿岸防御に大砲が必要だから)のだ。そして長岡京では大量のM4戦車の残骸が放置されている。そこに目をつけた国友一貫斎なる老鉄砲鍛冶がおまちちゃんを雇ったのである。
 雇用条件は『会津藩又は新選組に縁故コネのある事。身体頑健であること』。給料は日給2分(=1両の半分)という高給である。これに応募して来たのがおまちちゃんだった。巫女さんが募集に応じて来たので、一貫斎老人は戸惑ったものの、かなりの量の良質の鉄をたった・・・1万両の金額で商談をまとめて来たので、バイト料を1日1両と倍増し、そのまま雇うことにしたのである。バイト料が2倍になったのでおまちちゃんも大変喜び、2倍速で動くようになったので一貫斎老人としても言うことはない。
 1日1両のバイト代の為におまちちゃんの動きは素早かった。1日100文で男衆を雇い、100台の大八車で数往復してあっという間に全てのM4のスクラップを国友村に持ち帰ったのである。新選組の人達も1万両(≒2億円)の大金が手に入ったので大喜びである。

「うーむ、この丸さは鋳造か。このサイズの鋳造でこの数とは大したもんじゃのう」
 M4戦車の丸い砲塔部分のスクラップを触りながら一貫斎老人がつぶやく。鋳造とは溶かした金属を鋳型に流し込んで製品を作る技術で、日本でもお寺の釣り鐘などをこの製法で作っている。だが、一貫斎老人の目の前には同じ形の丸い砲塔が山のように積まれている。これだけの精度の部品を鋳造で大量生産できる技術はただ者ではない。

「千両箱を10個、ポンと出すんだからよっぽどのお金持ちよね。そうは見えないけど。やっぱり科学って儲かるのね。でも国友って鉄砲とか大砲を作ってる所だから、ひょっとして死の商人のブラックゴーストでデストロ!?」
 一貫斎の屋敷の近くの休耕畑に、エンジンはエンジン、砲塔は砲塔とパーツごとに分けてスクラップが積まれていく。
 身体が動いてる時は口も動いてるのがおまちちゃんである。何というか、一貫斎も最近、その事が分かってきた。しかもしゃべってる内容にあまり意味はないのである。
「心配せずとも、君の給金はちゃんと払えるぞ」
「え、いや〜、そんな心配はしてないけど、でも1万両も払ったら貧乏びんぼーになるんじゃない?」 年長者に対してタメ口である。だが、これにも一貫斎は慣れた。
「何の何の。おまち君が運んでくれた、これらの鉄を8割方売りに出すからの」
「売れるの? こんな穴だらけの鉄屑が?」
「うむ。最近では、薩摩藩や佐賀藩が150ポンド砲という巨大な沿岸砲を製作しておるし、蒸気船の製造も盛んじゃ」
「ふ〜ん」 おまちちゃんの頭は話にあまりついて行けてない。
「150ポンド砲は砲身だけで2213貫(=8.3t)の鉄を使うんじゃ。量産されておる普通の大砲でも300〜400貫(=1〜2t)の鉄を使う。蒸気船も機関部は鉄の部品をたくさん使う。そういうわけで鉄の値段はうなぎ登りなんじゃ」
「でも1万両も使ったのに、それを売ったら損しちゃうじゃない」 中古品は売り買いを繰り返すとどんどん値段が下がるのである。
「今の鉄の相場は10貫で166両(1t≒90両)ぐらいじゃ」
「へー、そうなんだ〜」 気のない相槌を打つおまちちゃん。
「おまち君が買い付けて来てくれた鉄は、まあ鉄以外の金属も混じってるが鉄だけでも軽く見積もって40万貫(=1500t)はある」
「それって軍艦と同じ重さじゃないですか!」 ちなみに幕末当時最強と言われた新政府海軍のストーンウォール(甲鉄)で排水量1358tである。
「そんな重いものをこんなか弱い乙女に運ばせるだなんて・・・まさに『船頭多くして船山に登る』よね」 全然違う。
「つまり、この鉄は13万5千両(≒27億円)の価値があるわけじゃな」
「・・・あれ? でも1万両で買って来たんですよ!?」 そう、1万両で買って来たのだ。
「そういうわけで、これらを売ると10万両(≒20億円)ほど儲けが出るわけじゃ」
「新選組の人達、よろこんでましたよ!?」
「鉄の相場など、知らん者は全然知らんからの〜。彼らには単なる邪魔な鉄屑が1万両で売れて大喜びだったんじゃないかの」 実際、その通りである。
「何て悪徳なジジイなの!」
「頭は生きてる内に使わんとの」
「じゃあ、鉄転がしの為に純情可憐なアタシを利用したのね!」
「女の子を転がすよりはマシじゃろ」
「何て事言うのよ、このジジイは! はっ、もしかしてあたしもそういう運命なの!? 転がされて外国に売り飛ばされるんだわ! なまじ超美少女なだけに高く売られてしまうのね」 芝居がかってよよと泣き崩れるおまちちゃん。
「鉄よりも高く売れるかの?」
「そりゃ、いくらあたしが絶世の美少女といっても、物事には相場ってもんがるのよね。で、あたしの場合、磨けば光るダイヤの原石なわけだけど、10万両のダイヤってそんなにたくさんあるわけじゃないのよ」 いくら何でも20億円で売れる美少女なぞいないと思う。
「あれ? でも、そうすると、あたしの価値って、この鉄屑以下!?」
「そうなるかの」
「なんか、それって物凄い屈辱・・・鉄屑に負けるなんて・・・」
 ず〜ん、と効果音をつけて沈み込むおまちちゃん。
「実は鉄の値段が上がってワシらも困っておったんじゃ。新しい発明品を作るのに使う鉄が足りんでのう。まあ、こんなに大量に手に入るとは思わんかったからの。別に転がすのが目的ではなかったのじゃ」
「んで、博士(※国友一貫斎の事。趣味でこう呼ばせている)は何を作るつもりなのよ」
 どうやら立ち直ったらしい。浮き沈みの激しい娘だ。
 おまちちゃんは現在、助手1号に昇格している。が、取り敢えず与えられた仕事はM4のスクラップの運搬と分類である。その後も1日1両で雇ってもらえるのならば御の字だ。
「欧米の主力陸戦兵器の戦車は強力じゃ。じゃが、弱点がある」
「真上と真下ね」 それは白色彗星の弱点である。でも戦車の弱点でもある。
 とりあえず、おまちちゃんの冗談は無視して一貫斎は続けた。
「戦車は山に登れんし、海も泳げんのじゃ」
「そんなの当たり前じゃない」
「そこで戦車を撃破でき得る火力を持ち、戦車の砲撃を跳ね返す装甲を持つ美人型・・・兵器を作れば死角なくして無敵になるのじゃ!」
 どどーん! 一貫斎老人の背後で波濤が砕ける。
「な、なぜに美人型?」
「山に登れるし、海も泳げるじゃろ?」 単なる人型でも良いような・・・。
「いや、そーじゃなくて、なんで美人?」
「美少女型でも良いぞ」
「なにゆえ!?」
女子おなごを攻撃するのは武士道に反するじゃろ」
「そーゆー理由!?」 天才の思考法ってよく分からない・・・理にかなってるようなそうでもないような・・・って言うか異国が武士道を気にするのだろうか?。
「なに、カラクリ人形を大きくするようなもんじゃ。それに大きな鉄砲を持たせれば天下無敵! 如何いかに異国が攻めて来ようとも、攘夷を実行できるのじゃ」
 おまちちゃんに勝るとも劣らない壊れっぷり。さすが幕末のマッドサイエンティストである。さすがのおまちちゃんもあきれて作業に戻っていった。後ろではまだ一貫斎が何やかやと演説をぶっていた。




 京の河原町の材木商『酢屋』の2階の海援隊本部に武市なかばが龍馬を訪ねて来た。
「坂本のお兄ちゃん、面白い情報が手に入りましたわ」
 武市なかばは、土佐キンノー党という土佐系キンノーの情報部とでもいうべき組織を束ねている。中岡しずかが陸援隊という実行部隊。首領の坂本龍馬の海援隊が輸送組織、武市なかばの土佐キンノー党が情報部である。
「中岡の戦車部隊が全滅した事なら知っちゅうぜよ」
 その中岡しずかは龍馬の傍らに控えている。酢屋まで逃げて来てここに潜伏しているのだ。
「それは初耳ですわ。お兄ちゃんが苦労して運んで来たM4戦車百輌が全滅したなんて。よっぽど指揮官が無能じゃない限りあり得ませんわ」
「くっ・・・」 中岡が項垂うなだれる。
「しかも、指揮官が無傷で生き恥を晒してるだなんて考えられません。厚顔無恥ですわ」
「うう・・・」 情け容赦ない言葉の暴力が中岡を襲う。だが、事実なので反論できない。
「まあ、そう言うな。中岡はちゃんと罰を受けちゅう」
 そう言うなり、坂本は中岡しずかの修道服ハビットの裾をめくった。
「きゃっ」 中岡が短い悲鳴を上げる。黒いワンピースの下は素っ裸で、白い裸体を荒縄できっちりと縛ってあった。中岡が恥辱に顔を赤らめる。
「ちなみに逆らうとこうじゃ」 龍馬が手元の縄の端を引っ張ると、中岡を縛る縄がギリギリと締まる。そういう縛り方をしてあるのだ。
「お兄ちゃん、まだ何も!」 別に逆らってない。
「ちなみに口答えしても、こうじゃ」 龍馬が更にぐいっと縄を引っ張る。
「あうっ!」 中岡が苦痛に顔を歪める。
 つまり現在、そういう調教中なのだ。
「お兄ちゃん、しずかばっかりずるい! あたしも!」 武市が羨望の眼差しで中岡を見ている。
「ん、後でな」 嫌がる者をいじめるのが楽しいのであって、苛められて喜ぶ奴を苛めてもあまり面白くもない。
「それより情報とはなんじゃ」
「これを」 武市が1冊の冊子を取り出す。
「これは・・・公儀への上申書か? ようこんなもんを手に入れるのう」
 武市から手渡された、その上申書のページめくる龍馬。中身は巨大人型決戦兵器の構想書だった。
「ボツにされたそうなので入手は容易でした」
「じゃろうなあ」 まともな人間ならボツにする。
「ですが・・・」
「ああ、新選組の原田に対抗できる唯一の武器かもしれんな」
「そう思いましたので、お手元にお届け致しました」
「ふ、国友一貫斎か。うてみるか」
「お兄ちゃん、ご褒美は?」 期待のもった眼差まなざしで龍馬を見つめる武市なかば。
「・・・ん、後でな」 やはり気分が乗らないらしい。
「ああん、お兄ちゃんのいけず〜」
 一人身悶みもだえする武市を無視して、龍馬は冊子をふところへ入れた。




 長岡京の京都守護職戦車隊基地では、近藤さんの虎徹戦車キングタイガーの改造が終盤に差しかかっていた。このかん、自称、前世整備兵のカモちゃんさんは虎徹戦車に付きっきりで、長岡京基地で寝泊まりしている。改造中の虎徹戦車は動けないので代わりに近藤さんが局長として壬生の屯所に通っている。
「ただいまー」 近藤さんが基地に帰って来た。近藤さんの護衛として壬生まで迎えに行ってた10番隊の半分(含む俺)も一緒だ。
「ゆーこちゃん、見て見て、ほら〜」 整備兵スタイルのカモちゃんさんがハンガーの向こうで手を振っている。
「カーモさん、何?」
「88ミリ連装ツインカモちゃん砲よ。ゆーこちゃんの虎徹戦車の88mm砲があまってたからくっつけたんだ。これで破壊力は2倍。しかもパッシブ型の赤外線暗視装置スターライトスコープとレーザー測距計を追加装備して命中率も大幅アップなのよ」
「あ〜、いいな〜、いいな〜。カーモさん、それ虎徹戦車にもつけて〜」
「掘り出し物で1セットしかなかったのよん」
「連装砲にするより、88ミリ砲2門の方が使い勝手が良かったんじゃないですか?」 と俺。
 2門だと、2カ所に配置したりとか、別々の目標を狙ったりとかできるが、1門にまとめてしまったら、そういうメリットがなくなってしまうような気がする。
「だって連装の方がカッコいいじゃん。ちゃんと砲弾の衝撃波による干渉を防ぐために右と左でコンマ3秒ずれて発射する装置までつけたんだから」
「うーむ、芸が細かい」
 同時に発射すると、それぞれの砲弾の衝撃波が干渉しあって、真っすぐ飛ばないのだ。その為、連装や3連装の砲塔を持つ軍艦で同様のシステムが採用されている(陸戦兵器では大口径の連装砲というものが存在しないよーな気が・・・)。
「しかし一体、どこからそんなもんを買って来るんですか?」
「それは秘密よ。女の子には独自のルートって奴があるんだから☆」
 でも戦車屋と繋がりがあるのはカモちゃんさんぐらいだと思う。
「あ、カーモさん。おまちちゃんの件が分かったよ。監察方から報告が来たんだけど、割とあっさり見つけたみたい」
「ウチの監察は優秀だからねえ」 とカモちゃんさん。
「大八車をいてる巫女さんはとにかく目立つから、簡単に分かったんだって」

「まあ、目立つわよね」 と沙乃。彼女も今日の仕事から戻って来てる。

「それでM4のスクラップは一体どこに?」 と俺。
「国友村よ」
「国友村?」 って、どこだ?
近江国おうみのくにの長浜よ。鉄砲や大砲を作ってる幕府の直轄地ね」
「近藤さん、詳しいですね」
「うん。ウチにも国友村出身の隊士がいるから」
「そんなのいたっけ?」 と斎藤に振ってみる。
「さあ?」 斎藤も知らないようだ。
「伊藤保くんが国友村出身なんだよ。
 M4のスクラップは、国友一貫斎という鍛冶屋さんの所に運ばれたみたい。
 おまちちゃんはそこでアルバイトしてるみたいね」
「あー、なるほどー。鉄屑が欲しくても、新選組につてがないと基地に近づけないもんなあ」
「おまちちゃんは知り合いみたいなものだしね」 と斎藤。
「嫌な知り合いだがな・・・」 と、つぶやく俺。彼女は天然のトラブルメーカーなのだ。
「あはは・・・」
「そっか、鉄砲鍛冶だから鉄が必要だったんだね」 とへーが会話に混ざってくる。

「じゃあ、おまちちゃんの件は一件落着ね。そっかー、ただのアルバイトだったのね」 と沙乃。

「斬らなくて済んで良かったです」 小声でボソリとそーじがつぶやく。眼鏡のレンズが光っている。
「恐いこと言うなよ、そーじ」
 相手がキンノーならば斬らねばならぬ。それが新選組。おまちちゃんは目茶苦茶な人間だが、とりあえずキンノーでないのならば斬ることもない。おまちちゃんの仲介で、近藤さんの虎徹戦車キングタイガーもカモちゃんさんのカモちゃん砲もパワーアップした事だし、まあ、良かったという所だろうか?

(第5話に続く。続くったら続く)


 えーと、おまちロボ、出て来ませんね。まだ製造前段階で、今回は材料集めで終わってしまいました。本来は、おまちロボが暴れる所までで第4話にしたかったのですが、そこまで書くと、少なく見積もってもこの倍の長さになるため、分ける事にしました。
 今回登場する国友一貫斎という人物は実在の人物ですが、天保11年(1840年)に63歳で死んでます。新選組の時代は文久3年で1863年ですから、やっぱり死んでるのですが、死んでなかったとしたら80歳代なので、まあ無理はないかな? と。
 この国友一貫斎という人物は、三宅猫之助様のアイデアにより登場させた人物で、国友村の鉄砲鍛冶ですが、実用的な連発空気銃(早打気砲)を作って、幕府やあっちこっちの藩に売ってますし、高性能な天体望遠鏡を作って月の観測をしたりしてる人です(天体望遠鏡もあっちこっちの藩に売ってる)。他にも飛行機を作ろうとしてたみたいなのですが、作る前に死んでしまってますね。国友一貫斎に関してはWikipedia辺りで調べれば割と詳しく載ってます。
 台詞回しとかの人物像のモデルは、ライアーソフトの『絶対地球防衛機メガラフター』に登場する万城目博士です。

 ・・・つーか、第2話からこっち、この作品はどんどん行殺から遠ざかってるよーな気がする・・・。

 そして、このお馬鹿な作品を書くために、滋賀県長浜の国友村まで行ってしまう私は一体・・・。だが、作者の知らない事は書けないし、百聞は一見に如かずで、現地に行かないと分からない事は多いのだ。
 だが、逆に国友村に行き、国友村や一貫斎を調べまくった結果、国友村は最後までバリバリの佐幕派で、長州征伐の際は、鉄砲方として参戦してますし、伊藤保という人物が新選組に入隊してるし、何と彰義隊に加わった奴までいる。という事が分かり、国友一貫斎を幕府と戦わせるというこれまでのストーリーが瓦解しました。
 知った以上、それを踏まえてのデタラメは書きたくないのでストーリーの修正も余儀なくされてます。取り敢えず、1回目は新選組と戦うおまちロボだが、国友には幕府や幕府側の大名などにパイプがある為、2回目もおまちロボVS新選組の戦いはできないので、そうするとキンノーに何か強力な武器を持たせるか・・・。誰か何か考えてくれ〜。そもそも無理のあったストーリーがどんどん無理になってゆく〜。

 そーゆーわけで、今回はおまちロボの材料調達までのお話となりました。ちょうど都合よく新選組には大量のM4スクラップがあるため、それがおまちロボの材料となります。新選組にも代価が支払われたので、ついでに近藤勇子のキングタイガーをパワーアップさせてみました。これで相当強いはず〜。

(ネタバレなど)
 さて、問題です。幕末の鉄の価格はいくらでしょう?

 明治・幕末の本や、江戸時代の庶民の暮らし、江戸時代の経済の本などを図書館で調べまくり、インターネットを駆使して調べたのですが分かりませんでした。
 黒船来航以後、幕府や各藩が海防に努めた結果、鉄の値段が急激に上がった(海岸防衛の為、大砲が多数必要になったから)事は分かりましたが、具体的にいくらなのかは不明でした。江戸時代の物価や経済の本は多数存在するものの、鉄の値段までは書いてありません(そりゃそうだろう。市民生活に鉄の地金は必要ないもの)。価格を書かずにお茶を濁す手はあるものの、それは最後の手段なので更に調べまくっていたら、意外な所から価格が分かりました。国友に取材に行った時、現地にしか売ってないような国友関連や火縄銃などの本を買い漁って来たのですが(1万円ぐらい使った。しかも重かった・・・)、その中の一冊に、享保15年に書かれた小型の大砲の見積書(らしきもの)が資料としてあるのですが、

一五〇〇貫(御筒地鉄) 一九貫五〇〇匁

 大砲の砲身の鉄地金として、鉄が1500貫必要で、1貫は3.75kgだから、1500貫だと5625kg。
 一九貫五〇〇匁ってのは、銀で19貫500匁かかります。という事だろう。江戸時代の貨幣は金と銀の2種類があり、国友はどちらかというと関西なので銀本位制だったと思われます。1貫=1000匁だから、使う鉄の代金は銀19500匁。享保15年の銀相場は、1両≒60匁なので19500匁=325両。
 すなわち、5625kg=325両。鉄1tに換算すると、鉄1t≒57.8両。
 享保15年と幕末の銀相場を比べると、幕末は享保15年の約1.5倍になってるので、鉄1t≒90両。
 という計算になります。(正しいのかどうかは不明だが・・・)

 現在(2007年11月)の鉄相場は大体1t=4万円前後。幕末の1両≒2万円とすると、鉄1t=180万円。うーむ、鉄屑を幕末に持っていって売れば45倍の価格で売れるので大儲けできますね。

『私の最高傑作です』:機動新世紀ガンダムXの第12話のタイトル。

陸上自衛隊の次期主力戦車KT−Xは140mm砲を搭載するのだそうな。
 :防衛庁技術研究本部のホームページによると、90式戦車は重すぎて北海道以外では運用出来ず(仮想敵がソ連のT−72またはT80だったのでそれに対抗出来る戦車として90式は開発された)、北海道以外の地域では、いまだに74式戦車が現役である。優秀な戦車だったのだが、さすがに旧式なので、74式戦車に代わる新型戦車を開発中なのである。重量を40tと小型にして全国で運用出来るようして、主砲は140mm砲を積むそうなのである・・・それは無理があるのだが・・・。

「百発百中の砲1門は、百発一中の砲100門にまさるのよ!」:ロシアのバルチック艦隊を打ち破った有名な東郷平八郎の台詞である。

「カーモさん、フェイズシフト装甲はどうかな?」:ガンダムSEEDシリーズに出て来るMSの装甲板で、実体弾をはじき返すという卑怯な装甲。でもビームは効くのでIフィールドとちょうど逆の働きをします。ビーム兵器の存在しないこの物語でフェイズシフト装甲にすると無敵になる。

「ラムダ・ドライバは?」:フルメタル・パニック!に出てくる装置で、搭乗者の思考波を物理的エネルギーに変換するという無茶な機械。シールドとして展開された場合、同じラムダ・ドライバによる攻撃以外受け付けなくなる。

「じゃあ、パラジウム・リアクターを積んで〜」:フルメタル・パニック!に登場する小型の常温核融合炉。

ブラックゴースト:サイボーグ009の敵組織で、死の商人である。

デストロ:GIジョーに出て来る兵器商で、悪の組織コブラに兵器を調達している。

「真上と真下ね」 それは白色彗星の弱点である。:デスラー総統の台詞。


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