12月17日(水) “〈厚労省HP、『長崎新聞』『中国新聞』より−〉15日から改正被爆者援護法が施行”

 12日付で伝えました通り、改正「被爆者援護法」が15日に施行され、日本国外から被爆者健康手帳の申請交付ができるようになりました。
 私たち在外被爆者の積年の悲願が、多くの関係者の尽力のおかげで、また一つ実現したのです!

 17日更新の「厚生労働省ホームページ」によると、枡添要一 厚労相は16日、記者の質問に答え、
・日本国外から手帳交付申請が可能になったことへの喜び
・国内外の被爆者救済に向けた、残る課題に真剣に取り組む意向
を語りました。
 以下、記者との質疑応答から抜粋して紹介します。

厚生労働省ホームページ「閣議後記者会見概要」
(H20.12.16(火)09:37〜09:51 ぶら下がり)

《質疑》

(記者)
 被爆者援護法が改正されて、初めて今日、韓国の方で被爆者手帳を申請される方がいらっしゃるのですけれども、大臣のご所見と今後の対応についてお伺いしたいのですけれども。

(大臣)
 広島、長崎に参った時、特に広島でも韓国系の方、北朝鮮系の方、いろいろそういうご意見がありました。とにかく今までの問題は、日本に来なければ手帳がもらえないということで旅費の負担から何からあったのですけれども、これは皆の総力で法律を変えましたのでそういうことができたというのは大変喜ばしいと思います。ただ、原爆の被害者の方々の救済、だんだんご高齢になっているので、内外問わずまだまだこれも課題があると思いますので真剣に取り組んでいきたいと思っております。

 また16日には『長崎新聞』『中国新聞』ほか主要メディアも、改正援護法の施行を伝えてくださいました。

 このうち
・『長崎新聞』は、これまで手帳取得をあきらめていた「埋もれた(在外)被爆者」が「掘り起こ」されることへの期待と問題点
・『中国新聞』は、原爆症認定や医療費助成の見直しなど、改正援護法施行後も残る課題
に視点をあて、それぞれ報じられました。

 以下に16日付『長崎新聞』『中国新聞』記事を紹介いたします。

(ホームページ管理者)

改正被爆者援護法施行 申請需要など未知数
(「長崎新聞ホームページ」12月16日付から全文抜粋)

 被爆者健康手帳交付申請の「来日要件」を撤廃した改正被爆者援護法が十五日、施行された。高齢や健康上の理由などで渡日しての手帳取得をあきらめていた被爆者の掘り起こしが期待されるが、本人確認などに職員を現地に派遣する自治体からは「(どういった事例が出てくるか)実際に申請を受け、走りだしてみないと分からない」(長崎市)などと手探りの声が聞かれる。

 書類は日本大使館などを通じ、申請者本人の被爆した場所を管轄する四県市(長崎県、長崎市、広島県、広島市)に送付。寝たきりなどの場合は代理申請も認めた。

 ただ、国も四県市も埋もれた被爆者がどの程度いるかなど実態や申請の需要をつかみ切れていない。広島市は「代理申請の場合はこちらから出向き、本人確認のため申請者との面談が必要。出張するのなら業務の効率を考えて何人かまとめて確認作業をしたいが、(どういった国から)どれだけ申請があるか見当がつかない」。これに加え、長崎市は「政情や治安が心配される場所に職員が渡航する際の身の安全をどう保障するかや、国によっては通訳の確保の問題もある。出てきた事例によって対応を協議しなければならない」という。

 当面の申請者と考えられるのが、鄭南壽(チョン・ナムスウ)さんのような被爆時状況確認証の所持者。渡日して手帳を取得できない被爆者に対し、四県市などが交付しており、来日して手帳に切り替えたケースや、死亡者を除き、現在は三十数人とみられている。

 確認証を発行した自治体は本人へ文書を郵送し、改正法施行の通知を始めたほか、厚生労働省もホームページに日本語、英語、韓国語、ポルトガル語の四カ国語で紹介。しかし、高齢化した多くの対象者はこうした情報に接する機会がなく、在外被爆者の掘り起こしが進むかは周知の徹底が鍵となっている。

米伯被爆者と国「和解も」
(「中国新聞ホームページ」12月16日付から全文抜粋)

 改正被爆者援護法が15日施行され、海外に住む被爆者(在外被爆者)が、最寄りの大使館や総領事館で被爆者健康手帳を取れるようになった。遅れていた在外被爆者の救済が一歩進むが、原爆症認定の申請の受け付けや医療費助成の見直しはめどが立っておらず、依然、国の内と外で支援に差が残る。

 厚生労働省は英語、韓国語、ポルトガル語でそれぞれ書いた手帳の申請書を在外公館に置き、申請を受け付けている。申請書は各館から広島、長崎県市へ送り、書類を審査した後、担当者が現地で本人と面談し、館を通じて手帳を渡す。

 医療費の助成は国内では自己負担分が無料だが、海外では年間14万5000円が上限になっている。付則では国内の状況を踏まえた見直しも求めているが、医療や保険の制度が海外と日本とは異なり、検討は進んでいない。

 

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