6月11日(水) “〈『共同通信』『中国新聞』より−〉改正援護法ついに成立。森田会長は手を合わせ…”

 平成20年6月11日 参議院本会議

 日程第五 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)。
 日程第六 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律案(衆議院提出)。

 この日を、当協会の森田隆会長は傍聴席で、直立不動のまま口を一文字に結び、厳しい表情で迎えました。

 午前10時10分頃。

 ……「投票総数234。賛成233、反対1。よって両案は可決されました」。

 江田五月 参議院議長の声が、議場に響きました。
 被爆者援護法改正案が成立したのです。

 森田会長はその一瞬、ようやく表情を和らげました。静かに手を合わせ、正面の議場に向かって一礼しました。
 報道各社のカメラが、いっせいにフラッシュのせん光を森田会長に浴びせました。

………

 在外被爆者が居住国で被爆者健康手帳を受けられるように。
 在外被爆者への医療費助成に機械的な上限を設けないように。
 在外被爆者にも原爆症認定が申請できるように。

 私たちの長年の願いが、立法機関にようやく届き、受け入れられた瞬間でした。

 ご理解くださったすべての皆さま、本当にありがとうございました。

………

 しかし、これで問題がすべて解決したわけではありません。
 私たちの訴え、運動は、まだこれからも続きます。

(ホームページ管理者)

 以下に「共同通信」「中国新聞」の記事を紹介させていただきます。

手帳申請の来日要件撤廃 改正被爆者援護法が成立
( 「47News」ホームページ6月11日掲載【共同通信】配信記事から全文抜粋)

 海外に住む被爆者が来日せずに被爆者健康手帳の取得を申請できるようにすることなどを柱とした改正被爆者援護法が11日、参院本会議で可決、成立した。

 在外被爆者への対応が同法に盛り込まれたのは初めて。近く公布され、半年以内に施行される。

 被爆者援護法ではこれまで、被爆者健康手帳について「居住地または現在地の都道府県知事が交付する」とだけ規定されていたため、在外被爆者は高齢や病身を押して来日し、滞在先の自治体に申請する必要があった。

 今回の改正では、在外被爆者が被爆当時住んでいた広島か長崎の知事、市長に健康手帳の取得を申請できると明記。政府内では在外公館で手続きを可能にすることなどを検討しており、利便性が大きく向上する見通し。

 さらに付則で、年間14万5000円に上限が決まっている医療費助成や、海外での申請が認められていない原爆症認定についても、国が必要な措置を講ずるよう定めた。

改正被爆者援護法が成立
(「中国新聞ホームページ」6月11日付から全文抜粋)

 海外在住の被爆者(在外被爆者)が来日しなくても被爆者健康手帳が取れるようにする被爆者援護改正案が11日、参院本会議で可決、成立した。

 改正で手帳取得の「来日要件」を撤廃、在外被爆者が被爆時に住んでいた広島、長崎の両県知事、市長に海外から申請でき、交付も受けられる。現状では年間14万5000円が上限の医療費助成や、海外での申請が認められていない原爆症認定についても国が必要な措置を講ずるよう付則で定めた。

 在外被爆者をめぐっては、広島市の旧三菱重工業に強制連行され、被爆した韓国人元徴用工たちが国などを相手取った訴訟で、最高裁は昨年11月、在外被爆者を援護の対象外とした旧厚生省通達を違法とし、国に賠償を命じる判決を確定させた。同法が在外被爆者への対応を明記するのは1995年の施行以来初めて。

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